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1.昔のこと

もう何日になるのだろうか。





いつもの高校からの帰り道、おれは突然背後から強い衝撃を受けた。おそらくバットのような鈍器で殴られたのだろう。


その日はたまたま、いつも一緒に帰る幼馴染が用事で別々に帰っていた。


そのことを幸運に思ったり逆に不運と思ったり、薄れゆく意識の中おれはそんなことをかんがえていた。


そして目が覚めた時にはなにもない、ただの真っ暗な部屋にいた。辺りを見回しても真っ暗でなにも見えない。大きい声を出そうにも手足を縛られ、そして口元に布を巻かれて声を出させないようにされていた。




こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい。



おれの感情は恐怖に占領されていた。

しかしこれは初めのうちだけで時間が経つにつれて、



誰かに会いたい、

そして人のぬくもりを最後に味わいたい



そんなおもいを抱くようになっていた。


「おれは案外寂しがり屋だったのかもしれないな」


そんな風に諦め半分の少し自虐的な言葉を言った時遠くから物音が聞こえた。


そして真っ暗な部屋に光が差し込んできた。


男性が一人部屋に入ってきた。



この人はおれを助けにきたのだろうか?

それとも、この人こそがおれを誘拐した張本人なのだろうか?


そんな疑問を抱きながらその人の顔を見てみる。その人は初めは驚いたような顔をして

すぐに何かスッキリとしたような顔をしていた。

その人はおれに近づいてきて



「助けにきたよ」



そう言ったのだった。










またあの時の夢か・・・。


何度も何度も見る昔の夢。


昔といっても高校一年の時の夢なのでちょうど一年と半年前ぐらいなのだが。



「まあ、そんなナイーブになるようなことは忘れて、さっさとネトゲでもしますかね」



え?学校?ナニソレキイタコトナイ。

あの事件の後おれは人恋しさで、とにかくコミュニケーションをとりたくなり、

学校の友達に変なテンションで接してしまった。

そしてそれが原因でひかれまくりぼっちになってしまったのだった。



「あー、ネトゲたのしー。毎日が充実してるわー」



・・・はぁ。

実は今でもおれは友達と話したり、彼女を作ったりして、人と接したいと思っている。それなら学校に行け、と言われるかもしれないが、それがとてもこわいのだ。もうこれ以上あの場所で人との接し方を間違えてしまえば、二度とあそこには戻れない気がして。



そしてそんなことを考えるのも疲れてしまい、おれはネトゲをやめ、お昼寝をするのであった。



目が覚めた。時計を見ると 22.30 という数字がおれの電波時計に表示されていた。


「はぁー、またやってしまった」


最近はネトゲのイベントなどで寝る時間がバラバラになりおかしな時間に本睡眠をとってしまうことがある。


「ん?あー、今日は七夕かー」


電波時計を見た時に日付をついでに見て見ると今日は織姫様と巫女姫様が出会う日だった。


その時おれの中である発想が生まれた。

思いつけばいざ行動だ!

おれは行動力があるぼっちなのだ!




「ぼっち脱却するのに、神頼みか」


庭にある竹ではないが大きな木に「友達と彼女が出来ますように。それが無理ならいつでも話し相手になってくれる人が出来ますように!」と書かれた短冊を飾りながら呟く。冷静に考えるとなんだか無性に・・・、なんだろ死にたくなってきた。



「はぁ。もう寝よ」


短冊を飾り終えたおれは、そんな自己嫌悪感を抱きながら、七夕のの準備をするのに費やした体力を回復させるのだった。



布団に入りしばらくしてから意識が薄まる中小さな、消え入るような声でかつとても温かみのある声で


「お帰りなさい」


と聞こえた気がした。


















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