ノルマンディー2
6日朝7時ごろ、第12SS装甲師団は第1SS装甲師団から出動命令を受けた。第12SS装甲師団はロンメル将軍指揮下のB軍集団に配属された。軍集団からリジュー地区に集結し第81軍団の指揮下に入るように命令を受けた師団は軍団と合流すべく行動を開始した。私たちの中隊にも午前10時には命令が届き、第26SS装甲擲弾兵連隊とともにリジューの東部に集結した。
移動の最中、連合軍の戦闘爆撃機が私たちの隊列を襲った。投下された爆弾が第2小隊のパンター戦車に命中し砲手と戦車長以外が犠牲となった。彼らが我が中隊最初の死傷者となったのだ。
午後3時頃、師団はB軍集団よりカーンの西に集結し、反撃に備えろとの命令を受ける。私たちはヤーボの空の下、カーンへと出発する。私たちの隊列をヤーボは攻撃するが、私たちは止まらない。進撃あるのみ!と進撃を続けた。ヤーボに撃破された車両はものの数分で道路のわきに退かされた。この時の1分は平時の1日よりも貴重だった。
しかし、私たちの移動はオルヌの東30キロで行き詰ってしまった。燃料が尽きたのだ。敵の制空権下では燃料が運べないのだ。私たちは街道の脇で未だ来ぬ補給部隊を待っていた。
翌日に師団の戦闘は始まった。歴戦の勇士パンツァー・マイヤーの指揮する部隊がビュロンからオーティに進行中の敵戦車隊を迎え撃った。
この日の戦闘でパンツァー・マイヤーはサン・コンテストを占領した。この戦闘1日目の損害は4号戦車が6両撃破され、内2両が全損となった。だが、交戦したカナダ軍第2機甲旅団第27機甲連隊シャーブルッグ・フォージリアは28両のシャーマン戦車を失いカナダ軍第3歩兵師団第9歩兵旅団に属するノース・ノヴァ・スコティア・ハイランダーズ連隊は245人の兵員を失った。大戦果であった。
結局、私たちは日が沈むまでオルヌの東30キロの位置から移動することが出来なかった。とは言え無為に時間を浪費していたわけではなくヤーボに撃破された第3小隊のパンター戦車を撃破された直後から僚車がけん引してきていたので、燃料を待っている間、修理を行っていた。
だが、日が暮れて私たちの1日は終わったわけではない。闇に紛れて支援部隊の戦友が燃料を持ってきたのだ。燃料が到着すると即座に私たちは腹ペコのパンターに燃料を注ぎいれた。補給が終わるとすぐに部隊は移動を開始した。目標はカーン。暗闇の中、街道上にキャタピラの音が響き渡った。