表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

ロツという小さな村3

ベッカーSS軍曹が脱出の命令を下した。私は命令に従い、急いで砲手ハッチから外への脱出をはかる。


車外に出た私たちを待っていたのは機関銃弾の歓迎だった。脱出したベッカーSS軍曹が凶弾に倒れるも、私は速やかに戦車を脱出した。ついでクラリッサとマヤが脱出する。しかし、ツルタは間に合わなかった。各坐した912号車は正面のカナダ軍戦車から白リン榴弾を浴びせられ炎上。まだ車内にいたツルタは912号車の中で蒸し焼きになった。戦場において死は男女問わず平等に訪れる。私たちの横では撃破された913号車からなんとか脱出した2人の乗員が体についた炎を消そうと地面を転げまわっていた。髪は炎で燃えていて髪型から男女の区別は出来なかった。だが体のラインからいって1人は女性だったと思う。彼女は地面を転げまわりながら私たちの姿を認めると救いを求めるように手を伸ばしてきたが、私はその手をつかむことは出来なかった。手を伸ばそうとした私と彼女を遮るように機関銃弾の雨が降り、彼女はそれきり動かなくなった。


「クソ!」


私は炎上する912号車の陰に隠れる。先に陰に隠れていたマヤとクラリッサとそこで合流する。クラリッサはピストルを、マヤは脱出するときに持ってきたのであろうMP40短機関銃を持っていた。


「こうなったら戦いましょう」


「1人ぐらいは道連れに出来ますよ」


彼女たちは戦意に満ち溢れていた。確かに戦車の後ろを進んでいる連合軍の歩兵ぐらいなら道連れに出来るかもしれない。しかし彼らの前面には戦車がいて歩兵を道連れにする前に蜂の巣にされるのが目に見えていた。


「勝算はないわ、逃げましょう」


ここで死んでも犬死にだわ。私はそう付け加えた。今なら白リン榴弾のおこす煙幕に紛れて走れば、敵の死角に逃げ込むことだって出来る。そうして姿を隠しているうちに小隊の仲間が助けに来てくれるはずだ。ともかく煙幕が切れる前に行動を起こさなければならない。


「それに私たちは歩兵じゃなくて戦車兵。歩兵として戦うより、私と一緒に生き延びて戦車兵として戦う方が沢山殺せるわよ」


私は彼女たちにそう言った。彼女たちの身の上話は聞いている。私たち3人には

連合軍に肉親を殺され復習のために志願したという共通点があった。


「わかったわ。私の命は貴女に預ける」


「行きましょう、伍長」


2人は私の意見に同意して私と一緒に生き延びることを選んだ。私たちは炎上する912号車を走ってあとにする。こうして私のロツでの戦闘は終わった。

だが組織としての戦闘は12日まで続き、ドイツ軍はロツから撤退した。戦闘のすさまじさから連合軍は戦慄を覚えたと戦史家は語っている。曰く、第12SS装甲師団の兵は狂信的なまでに抵抗をし、恐れ知らずで勇猛果敢で残忍な狂信者。しかし、それは誤解である。彼らはみんな献身的で勇気ある一般的な青年だったのだ……


今更ながら主人公の階級はこの時点でSS伍長です。クラリッサも伍長です。マヤとツルタは上等兵です。

最近、(今更ながら)戦争は女性の顔をしていないとボタン穴から見た戦争を読みました。面白い(?)本なのでおすすめです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ