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老婦人の告白

参考文献

彼らは来た ノルマンディー上陸作戦 中央公論社 パウル・カレル著 松谷健二訳

ヒットラー・ユーゲント―SS第12戦車師団史 上 大日本絵画 フーベアト マイヤー著 三貴雅智監修, 向井祐子訳

ヒットラー・ユーゲント―SS第12戦車師団史 下 大日本絵画 フーベアト マイヤー著 三貴雅智監修, 向井祐子訳

擲弾兵 パンツァーマイヤー戦記 クルト・マイヤー著 松谷 健二訳

本当の戦車の戦い方―陸上自衛隊の最前線を描く 光人社 木元 寛明 (著)

戦車隊長―陸上自衛隊の機甲部隊を指揮する 光人社 木元 寛明 (著)

戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 PHP研究所 松村 劭

歴史群像アーカイブ volume2 ミリタリー基礎講座 戦術入門 学研マーケティング

歴史群像アーカイブ volume 3―Filing book ミリタリー基礎講座 2 現代戦術への道 学研マーケティング

戦争における「人殺し」の心理学 筑摩書房 デーヴ グロスマン (著)安原 和見 (翻訳)

西部戦線 (歴史群像アーカイブVol.17) 学習研究社

歴史群像アーカイブ volume 7―Filing book 独ソ戦 学研マーケティング

装甲擲弾兵 小林源文 大日本絵画

炎の騎士 ヨーヘン・パイパー戦記 小林源文 大日本絵画

鋼鉄の死神 ミヒャエル・ビットマン戦記  小林源文 大日本絵画

完全版 図説・ドイツ装甲部隊全史 (歴史群像シリーズ)学習研究社

完全版 図説・ドイツ戦車パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ) 学習研究社

1945年のドイツ国防軍戦車部隊―欧州戦最終期のドイツ軍戦車部隊、組織編制と戦歴の事典 (独ソ戦車戦シリーズ) マクシム コロミーエツ (著), 小松 徳仁 (著), 高橋 慶史 (著) 大日本絵画  

 あの戦火からもう半世紀あまりが経った――あの時代は全てが狂っていた。戦争、狂気、熱気、熱狂、敗戦、ナチズム――当時、渦中にいた私達にとっては当たり前のことであったが、半世紀経って振り返って見ると全てが狂っていたことに気づかされる。


 数年前、作家のギュンター・グラス氏が著書「玉ねぎの皮をむきながら」の中で自身が武装親衛隊の第10SS装甲師団の戦車兵として従軍されていたことを告白された。これが私が筆をとるに至った遠因である。


 氏と私は所属する部隊の違いこそあれど同じ武装親衛隊に所属し戦禍を戦い抜いた戦友である。


 公式記録には残っていないが私は第12SS装甲師団の戦車兵として従軍していた。

 当時の私は18歳、本来なら青春を謳歌しているであろう年頃であろうが、時代はそれを許さなかった

 当時の私は親戚のもとフランクフルトでBDMの活動に参加していた。

 もとはハンブルクに住んでいた私だが、戦争は家族を引き裂き父は国防軍の少佐としてハリコフで戦死し、母は連合軍の空襲のために死亡し、身寄りのなくなった私はフランクフルトの親戚のもとに引き取られた。

親戚夫婦は私に精一杯の愛情を与えてくれたが、私のなかの戦争への怨み――殆どが連合軍に対しての――は消えなかった。

 突撃隊の隊員が私のもとへ現れたのは調度そのときだ。

 親戚の家へやって来た突撃隊の隊員は私にこう言った。

「親衛隊がヒトラーユーゲントの少年たちを基幹とした部隊を編成を計画している。これとは別にヒムラー長官が秘密裏に男女混合の部隊を編成する計画のようだ。君はこの部隊に参加する権利を与えられた。君に是非とも我が地区の女性の代表として志願してもらいたい」


 当時の私に断る理由などなかった。私は二つ返事で答えをだし、この男女混成部隊――後にヒトラーユーゲント師団に合流することとなる――に所属する事となった。

結局はカイテル将軍の御厚意によって戦史から抹消されることとなったのだが、これが私の約2年にも及ぶ長い軍隊生活の始まりであった。


 これは、その軍隊生活を回想したものだが、前述のように私の所属した部隊は記録から消されており、メモ書きのようなものも残していない。半世紀あまりが経った今、記憶もだいぶ薄れてきており、地名、部隊名、日時、出来事についての誤記についてはご容赦頂きたい。


2008年6月 パトリシア・ハーゲン


武装親衛隊:ナチスドイツの軍事組織。武装SSとも

BDM:ドイツ少女団。ナチス・ドイツが未成年の少女を統制するために設立した国家組織

突撃隊:ナチス突撃隊のこと。ナチスの準軍事組織。長いナイフの夜事件で主要な幹部が粛清され軍事訓練機関にへと縮小された。SAともいう。

国防軍:ドイツ陸軍、ドイツ空軍、ドイツ海軍のこと

ヒトラーユーゲント:ナチスドイツがドイツの少年を教育するために作った組織

ヒムラー:親衛隊全国指導者兼全ドイツ警察長官兼ヒトラー内閣内務大臣

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