五十音
秋
備える季節は誰もが自分のことで精一杯。必死になっている姿は輝かしいけれど、僕はのんきに歩く。備えることを忘れてしまったから。
稲妻
怖がる人間と楽しむ人間に分かれる不思議なダンス。共に踊ってくれず観客もいないオンステージは、淋しい?
嘘
いけない事ってよく聞く。でも僕にとっては日常的な、世間話のようなもの。そのせいで信頼を失っていたなんて……
絵具
一つの色はとても綺麗。二つの色はもっと綺麗? でももう戻れない。ぐちゃぐちゃになった色は捨てるしかないよね。……バイバイ。
大人
なりたい? なりたくない? これで結構もめた時もあった。それはまだ、大人になれていない証拠。心はまだ、そこに在りますか?
カケラ
小さなカケラ。大きなカケラ。たくさんのカケラが集まって、砕けて、またカケラができる。無くなることもなく突き刺さる。大切な、カケラ。
君
君は、何だい? 君は、人間? それともデキソコナイ? どちらでもいい。僕には眩しすぎて、どんなに追いかけても決して届くことない、光。
苦労
自ら求めよと言われるけれど、求めるまでもなく降りかかる災い。決して逃れることができない呪い。それでも、自ら求めてしまう。何故かな?
消しゴム
消したいことはいっぱいある。書き直したいのに、書き直せない。どんなに悔やんでも悲しんでも、そこにはやり直すことのできない証がある。
子供
ありたい? ありたくない? 忘れたくない気持ちは全部、ここに在ったよ。忘れてしまった? じゃあ、もう戻れないね。はい、残念。
酒
清めるといわれ、また尊きモノが好むという。人間が自らを壊す原因にもなる。それでも求める快楽の一つ。君も、染まってしまうのかな?
死
隣り合わせなのにも係らず、人間は遠ざける。決して離れることもなく、傍に在り続ける。これも生の一つなのに何故?
好き
不可解な人間の感情。それだけで人間は同族を殺せる。何故そこまで人間は人間を思うのだろう? 遺伝子にインプットされている偽りなのに。
生
大切に思ったことはある? ないだろうね。何の努力もなく手に入れていると思い込んでいるのだから。意味を探す時点で間違っているんだよ。
そら
見上げればそこは「そら」。土の上でも。宙に浮いていても。海の底でも。青とは限らないけれど確かにそこに在る。でも、見えなくなることはあるよ。
台風
たくさんの命が消えて、他のたくさんの命を守ったり生かしたりする。知っているかな。授業が潰れるなんて単純なことではないんだよ?
地球
僕達が存在できる唯一の惑星。他の惑星を犯せば住めるようにはなるだろうが、僕達はそれでもこの星を愛するのだろう。自ら汚している星を。
月
欠けた月は光がなければ見つかることもない星。誰かに愛されたくて光を照り返す。「私はここにいる」……その声は誰にも届かずに。
手
暖かな手。大きな手。可愛らしい手。ごつごつした手。君だけのありきたりな手。僕は、冷たいだけが取り柄の手だけど、それでも良いかな?
友達
共にいると楽しい。共にいると嬉しい。共に生きると良いと言われる、友達。でも、それは『知り合い』の間違いじゃない? 気のせいならいいけど。
夏
暑いのさえ心地いい。夜の風ほど身近にいてくれるモノはいない。ここにいるのは僕独りだけと錯覚するほど何もなく、足早に過ぎていく。
虹
雨上がりに見れるって言うけど、ホースの水でも見れるよね。それなのにわざわざ雨上がりを待つのは何故? 雨に打たれて晴れを待ち続ける僕は。
ぬいぐるみ
可愛らしい顔をした悪魔と思ってしまう。こんな顔をして何を思っているのだろう。人間に作られ愛される無垢な存在。でも僕は嫌い。何もないから。
猫
自分勝手で、僕を呼ぶのは必要な時にだけ。自由奔放で、でも自分をどこまでも突き通せる存在。僕にはない確かな自信を、彼等は持っている。
ノイズ
僕の声はアナタにとっては邪魔者? 僕には何も聞こえない。でも、確かに聞こえているはずなんだ、君の声。
春
きれいな花が咲き新たな命が芽吹く。出会い別れて、ふわふわな季節。僕はこの暖かな日差しの中にいていいのだろうか?
ヒト
人間はとっても不思議な生き物。小さなことで怒り些細なことで傷つく、不可思議な生き物。いつまでも見ていたいのは僕が人間をスキ、だから?
冬
何もかもが眠りにつけばいい。暖かな日差しを思って、一時の眠りに。そうたら争いは全部なくなるだろうから。
変
恋に似ていて、でも全く違うもの。例えばそう、ボクと僕人のように。でも僕達は同じ。だから僕は恋をする。ボクというもう一人のキミに。
ホタル
触れれば壊れてしまいそうなほど弱々しく、けれど羨ましくなるほど力強い命の瞬き。あの小さな光のように、僕はどうやったら輝けるのだろうか。
まち
僕が生まれたまちとこのまちはすごく違う。見えた空も聞こえた音も、出会った人間も。だからこそ僕はどのまちも大切にしたい。
皆
僕は皆と違う。それでいいと誰かが言っていたけど、僕はそれが怖かった。独りぼっちになってしまいそうで。でも今は平気。僕は僕でしかないから。
無
何もないのはとても怖い。だってずっと、永遠に誰にも気づかれずに、独りでいなくちゃいけないから。だからお願い、僕を無にしないで……
目
君には何が見える? 僕には何が見える? 僕はいつも何も見ないようにしているんだ。だって君の瞳には僕はいるのか分からないから。
物語
どこにでもある在り来りなものはだいたい愛されている証拠。新しい物語はすぐに飽きられるのに、それでも在り来りで新しい物語を探している。
闇
僕の隣にいてくれる唯一のもの。付かず離れず、永遠の時を共に生きるもの。泣いても笑っても怒っても悲しんでも、ずっと、ずぅっと傍にいてくれる。
夢
暖かい? 輝くもの? 僕には冷たくて薄暗く感じる。だって、叶えてはいけないものだから。叶ってしまえば生きがいがなくなるって知ってるから。
夜
静かに、そしてゆっくりと包み込むように眠りに誘う時。生きとし生けるものが眠りにつき、新たな日を迎える。……僕は、そこに在るのだろうか。
ライト
人間は何故明かりを作ったのだろう。どこまでも明るくて騒がしい光。沢山の生き物が活動するようになった。それが崩壊の始まりだったとは……
リング
輪は輪廻のようで、永遠に回り続ける。始めなどなく、またどこからでも始められる。閉じた輪から出ることはできないが外を見ることはできる、かも。
ルール
世界のルールは一つなのに、人間は沢山ルールを作りたがる。人間はルールを作ると思いあがり、縛られていると感じれば生を手放す。どうしてかな?
列車
心地よい旅、快適な室内。敷かれた上を走るのは楽だ。でもそれももうすぐ終わる。僕はこれからどう進むのだろう。
ロスト
僕はこれまでにどれほどのものを失ってきただろう。小さな掌に残ったものはなんだろう。最後の最期まで残したいと思うものはあるのだろうか。
私
僕の後ろにはいつも『私』がいる。僕が『僕』になれなかったら僕になり得たかもしれない存在。僕が選ばなかった道を選んだ『私』はいつか……――
を
自分では何もできないのに誰かの為に働ける。それは多分素晴らしいこと。でも、自分の為に何もできないのにどうして他人のことはできるの?
ん
それは僕。一人では何もできなくて、でも誰かいたら邪魔な気がして、何もできなくなる。意味もなければ形もない。それでも、僕は、ここに居る。