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キッチンカーと巡る異世界グルメ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~  作者: k-ing☆書籍発売中
第二章 料理人は異世界で先生に

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45.料理人、先生になる

 早速、俺はキッチンカーで作れるものを考えていく。


「強力粉と薄力粉を混ぜたものってたくさんあるんだよな……」


 強力粉と薄力粉を混ぜたものは中力粉と呼ばれている。

 パンほどは強くないけど、クレープやケーキほど弱くない。

 簡単に言ったら、弾力が必要だが強すぎないものともちもちした柔らかさを両立させたいパンとケーキの中間の生地に向いている。


「俺はハルトの料理なら何でも美味いと思うぞ?」

『オイラも食べるぞ!』


 ゼルフと白玉はただ食べたいだけだろう。

 だが、そう言われるとどうしようか迷ってしまう。


「少しでも強力粉寄りだったり、薄力粉寄りだったりすると、何か言われそうだしな」


 日本の食べ物で有名なのはうどんだ。

 中力粉はうどん粉と呼ばれているぐらいだからな。


 その他にも、パンケーキやワッフル、ビスケット、マフィンなど割合の分量は異なるが中力粉で作るものはたくさん存在している。

 日本で小麦粉って言ったら薄力粉だけど、アメリカだと最も手に入りやすい小麦粉はオールパーパスフラワーと呼ばれる中力粉だ。

 それだけ文化で異なる小麦粉は奥が深い。


「とりあえず、うどんが一番良さそうだよな。肝心の出汁とかは作りにくいだろうし」


 一度、麺の文化がフロランシェとブレッドンにあるのか料理人に聞いた方が良いだろう。


「俺はうどん好きだからな?」

『オイラもちゅるちゅる好きだぞ?』


 チラチラと見てくるゼルフと白玉に俺はつい笑ってしまう。

 どんなけ俺の飯が食べたいのだろうか。

 俺はコップを片付けると、そのまま厨房に向かった。



「先生、よろしくお願いします!」

「「「よろしくお願いします!」」」


 厨房には四人の料理人がいた。

 知っているのは初めに声を出した料理人だが、他の三人は見習いのようだ。


「えーっと、よろしくお願いします」


 俺は頭を下げる。

 ただ、正直先生と呼ばれると背中がムズムズする。

 ゼルフはショートに呼ばれた時はこんな気持ちだったのだろうか。

 いや、あいつは嬉しそうに喜んでいたな。


「俺のことはハルトと呼んでもらって構わない。今日は味について学ぼうと思う」

「味ですか?」

「ああ」


 俺はいくつかお皿に調味料を出していく。


「基本的には5つの味で料理はバランスよくできている。まずはよく使っている塩、これが塩味だ」


 お皿に載った塩をそのまま舐めてもらう。

 基本的にこの世界で使っている調味料は塩が多い。


「二つ目は酸味だ。果物のとか……レモンとかさっぱりさせるのがこれだな」


 お皿に載ったレモン汁を少し舐めて酸っぱそうな顔をしていた。

 レモンは唾液腺を刺激して唾液を分泌させる。

 このおかげでレモンの酸っぱさを緩和させたり、唾液で口の中をさっぱりさせる。

 唐揚げにレモンを絞って油が軽く感じるのは、後者のおかげだ。


「三つ目は甘味だ。お菓子とかに入っている砂糖だが……ここのクッキーは甘くないか」


 普段は菓子と言ったら砂糖だが、この世界には砂糖があまり少ないのだろう。

 料理人の中にも好きな人もいれば、苦手な人もいる。


 俺はそのまま砂糖をフライパンに入れて、水を少しだけ垂らす。

 しばらくしてできたのが――。


「四つ目は苦味だ。苦味は人間の味覚には毒として感知されやすいため、敏感に感じるようになっている。そのため、少しでも焦がしてしまうと料理は不味くなるぞ」

「それは料理に使えるんですか?」


 俺はさっき作った焦げた砂糖水を渡す。

 見た目はどことなく黒に近い茶色だ。


「苦味も料理には必要だったりする。代表的なのが、このキャラメリゼだったり、あとはコーヒー、ナッツはこの苦味になるかな」


 砂糖水を舐めると、さっき砂糖を舐めた時と違う表情をしていた。


「デザートに入れると後味がシャープになったり、大人の味にする時はよく使うかな」


 キャラメリゼは砂糖の甘さのあとに、ほんの少し苦味がくる。

 その〝甘苦さ〟が香ばしさに繋がる。

 

「俺は結構好きだな」

「料理長の味覚って変わってるんですね」

「ふん、お子様なお前らにはまだまだわからないんだな」


 料理を教えていた料理人は嬉しそうな顔をしていた。

 やはりこの人が料理長のようだ。

 だが、それだけでドヤ顔をするなんて、少し可愛く見えてしまう。

 なんか……ゼルフといいこの世界の人は感情が豊かなんだろうな。


「最後に問題なのが旨味だ。簡単に言ったら、俺が昨日作ったコンソメスープだな」

「昨日のクリームシチュー最高でした!」

「あんなスープ飲んだことないです!」


 料理人が食べているところは見ていなかったが、どうやら反応としては良かったようだ。


「旨味は美味しさの土台と言われるぐらい重要なものだ。大事なのは3つの成分」


 俺は冷蔵庫からいくつか食材を取り出して見せる。

 

「まずはトマトとかに入っているグルタミン酸だ。これは塩味と合わせると美味いかな」

「確かにトマトに塩をかけると美味いよな」

「サラダとかにやってます」


 どうやら自然と理解していた旨味もあったようだ。

 それが何かわかるだけで、だいぶ料理の味が変わってくるからな。


「二つ目成分は肉や魚などの動物生の旨味であるイノシン酸だ」

「昨日のコンソメスープとか?」

「あー、あれは簡易的に使ったものだけど、味としてははっきりした感じだな。肉が古いと味が落ちるのは注意するんだぞ」


 コンソメスープはそもそも澄んだスープのことを言うからな。

 ただ、簡易版のコンソメスープは旨味を早く取り出すために肉をたくさん入れたからな。


「三つ目はきのこ系の旨味、グアニル酸だ。加熱や乾燥で旨味が増えて、水に戻した時はその旨味が溶け出すと言われている」


 干し椎茸を水に浸けたりするのは、旨味を溶け出させたりするためだ。


「この旨味は混ぜるとさらにとんでもなく美味くなる。例えば、トマトと肉やキノコや肉は料理の鉄板だな」


 人間の舌はこの三つを組み合わせると料理を美味しいと感じるようにできている。

 イタリアン料理とかではよく使われている旨味の掛け算だったりするからな。


「この出汁が料理に一番重要になってくるから、まずはこれを学ぶところからやっていこうか」

「「「はい!」」」


 俺は早速説明しながら料理を作ることにした。

 あれ……。結局、領主の料理をしばらく作ることになりそうなのは気のせいか……?

お読み頂き、ありがとうございます。

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よろしくお願いします(*´꒳`*)

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