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キッチンカーと巡る異世界グルメ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~  作者: k-ing☆書籍発売中
第二章 料理人は異世界で先生に

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33.料理人、クラクションを鳴らす

 スパイスを一通り買い揃えた俺たちは次の町へ向かうことにした。

 直接教えた料理人にスパイスカレーを最後に食べさせてもらったが、ひとまず(・・・・)食べられるものだったから問題はない。

 これから各々オリジナルのものになっていくだろう。


「無事にステータスもレベルアップしたから良かったな」

「その分大変だったけどな……」


 キッチンカーで準備する量とかけ離れたスパイスカレーを作った。

 基本的には別で仕込みをしていて、最後の工程をキッチンカーでやることが多い。

 それを全てキッチンカーで作りながら営業していたからな……。

 ちなみにキッチンカーの今のステータスはこんな感じだ。


【ステータス】

 キッチンカー Lv.6 ポイント:5

 ナビゲーション 1

 自動修復 3

 キッチンカー拡張 3

 調理器具拡張

 電力拡張ユニット 2

 冷蔵/冷凍拡張ユニット 

 給水タンク拡張 2

 排泄拡張 2

 ディスプレイ


 ◇次のレベルアップ条件:1日売上 300,000円到達(・・)



 無事にレベルアップして、次の目標は30万ルピとなった。


「この2つはまだ成長しないのか?」


 ゼルフはモニターに書いてある調理器具拡張とディスプレイを気にしていた。

 今までポイントを振る気にはならなかったけど、どんなことになるのかは気になる。

 必要なキッチンカー拡張はできているしな。


「また進みながらゆっくり考えればいいか。まずは……」


 俺はさっきから一言も話さず、頭を体に埋め込んだ白い球体を突く。


「白玉、道は合っているんだろうな?」

『クゥエ……オイラの勘は正しいぞ!』

「なら、なんで顔を隠してるんだ?」

『クゥ……』


 次はどこの町を目指そうか悩んでいたら、白玉があっちに町があると案内してくれることになった。

 ただ、いくら進んでも森の中で、中々道らしい道は見つかっていない。


「ナビゲーションにポイント振ったらわかるのかな?」


 ナビゲーションでは道の記録機能しかないため、町に戻ることはできるが、その先の地図まではわからない。

 範囲を広げても相変わらず真っ黒で地図としては使えない。


『オイラもそれがいいと思うぞ!』

「お前、自信がなくなってきたんだな……」


 あれだけこっちやあっちって率先して指示していたのに、結局は迷子になってしまった。

 ゼルフもネフィル山は知っていたが、その他の町や地形には詳しくないからな。


「やっぱり馬車が来る日を待てばよかったんじゃないか?」

「一週間に一本しか来ないんだろ? それまで滞在しづらいだろ」


 町を出る日を伝えて、あれだけの人が買いに来てくれたのに、道がわからないから町を出るのをやめましたって恥ずかしくて言いにくい。

 それに馬車と一緒に走行して、馬が怯えないとは思えない。


「よし、やっぱりナビゲーションにポイントを振るか」


 調理器具拡張とディスプレイが気になったが、今は必要なところにポイントを割り振った方がいい。

 俺はナビゲーションにポイントを振る。

 するとモニターの地図が急に拡大された。


「これって町の場所じゃないか?」


 さっきまで真っ黒で何も見えなかったところに、家のマークが出てくるようになった。

 しかも、隣接するところに二つあるようだ。

 方角さえわかればあとはそっちに迎うだけだから迷子にはならないだろう。


「これで白玉の出番はなくなったな」

『クゥ……エエエエェェェェ!? オイラを食べる気!』

「そんなに食べて欲しいのか?」

『ヤダヤダヤダ! オイラもハルトと一緒がいい!』


 少しからかってみたが、白玉は俺にすり寄ってきた。

 さすがにここまで一緒にいて食べたらサイコパスだろう。

 それに白玉も可愛いペットみたいな感覚だしな。

 そんなことを思っていると、ゼルフはモニターの何かを気にしていた。


「おい、ハルト。ここにはいけないのか?」

「これってなんだ……」


 モニターに赤く点滅するものかが表示されるようになった。

 赤い点滅は勝手に動いているし、今は何か囲んでいるのかグルグルと回るような動きをしていた。


「よし、行ってみるか」


 何かあればすぐに逃げ切れば問題はないだろう。

 まずはこの赤い点滅が何かを把握する方が大事だからな。


 しばらくキッチンカーを走らせると、ゼルフは緊張感を強めた。


「ハルト、止まれ!」


 俺はその場でブレーキを踏む。

 ゼルフは窓を開けると、耳を澄ませていた。


「何かがぶつかる音……ハルト急げ!」

「よっし、任せろ!」


 俺はアクセル全開で直進。

 ナビに映る赤い点滅まではもうそろそろ。


「あれは……」

「フォレストウルフだ」


 狼のようなものが馬車を囲んで唸っている。

 それも数が多いから、群れなんだろう。

 中央には剣を構えて牽制している騎士が三人いるが、あまりの多さに対応できないのだろう。


「お前ら、しっかり掴まれよ!」


 キッチンカーが壊れても自動修復があるからな。

 まずは命を守る方が先だ。

 俺はアクセルを強く踏みながら、クラクションを鳴らす。


――グォオオオオオン!


「へっ……?」


 地響きするような咆哮が森に響く。


「ドラゴンか!?」

『ドラゴン!?』


 隣にいるゼルフや白玉も驚き震え上がるほどだ。

 それにしてもドラゴンってあの空想上の生き物だよな?

 なんでクラクションからドラゴンの咆哮が聞こえるんだ?


「ははは、俺も興奮してきた!」


 ただ、俺はこの咆哮クラクションを聞いて面白くなってきた。

 そもそもクラクションってあまり鳴らすことがないからな。

 変な煽り運転をされるし、最悪車から降りてきて文句を言われる。

 これで狼がビビるならこっちのもんだ。

 俺は何度も何度もクラクションを鳴らして、襲われている人たちの方へ向かった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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