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追放された下級騎士、断罪された悪役令嬢に拾われて成り上がり ~共に復讐しながら最強夫婦になりました~  作者: 妙原奇天


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第55話 最強夫婦、未来へ

再び、風の中へ


 夜が明けた。

 長い戦いの跡地に、柔らかな風が吹き抜けていく。

 焦げた大地に芽が伸び、折れた旗の下で子どもたちが石を拾っていた。


 その中心に、アレンとクラリスが立っていた。

 互いにボロボロの鎧を身にまとい、顔も手も傷だらけ。

 それでも、二人の瞳はまっすぐに前を見ていた。


 「……生き延びたんだな」

 「ええ。でも、生き残っただけじゃ足りない。

  ここから、“生きていく”のよ」


 クラリスの言葉に、アレンは小さく笑った。

 「そうだな。やっと始まりだ」


王都への帰還


 数日後。

 王都の門がゆっくりと開かれた。

 戦火に焼けた街は、まだ傷だらけだったが、そこに立つ人々の顔には確かな光があった。


 「アレン様だ!」

 「クラリス様が帰ってきた!」


 歓声が波のように広がり、兵も民も泣きながら手を振った。

 アレンは剣を掲げ、クラリスは杖を高く振る。

 その瞬間、街全体が希望に満ちた息を吹き返した。


 王都の鐘が鳴る。

 それは戦の終わりを告げる音ではなく――

 “新しい時代の始まり”を知らせる音だった。


静かな日常


 戦後の数週間。

 王都は少しずつ平和を取り戻していった。

 畑には再び緑が芽吹き、学校には子どもの声が戻った。


 アレンは鍛冶場で剣を研ぎながら、ふと外の光を見上げる。

 「戦いのない剣を作るのは、不思議な気分だな」

 クラリスが窓辺で笑った。

 「その剣で守るのは、人じゃなくて“日常”よ」


 ふたりの間に、穏やかな沈黙が流れる。

 外では子どもたちの笑い声。

 それが、何よりの褒美だった。


新しい誓い


 夕暮れ。

 王都の高台。

 かつて帝国の黒い柱が立っていた場所には、今、小さな記念碑が建っている。


 クラリスが手を合わせ、静かに目を閉じた。

 「……あの帝王も、どこかで見てるかしら」

 アレンが隣に立つ。

 「きっと見てるさ。

  “理”じゃなく、“愛”を選んだこの世界を」


 ふたりは手を繋いだ。

 指先が触れ合い、互いの温もりが重なる。


 「なあ、クラリス」

 「なに?」

 「もう一度、誓ってくれないか。どんな世界になっても、俺の隣で」

 クラリスが微笑んだ。

 「もちろん。私たちは――“最強夫婦”でしょう?」


 紅の髪が風に揺れ、アレンの肩にかかる。

 夕陽の中、二人の影がゆっくりと重なっていった。


そして、未来へ


 夜。

 王都の灯がひとつ、またひとつと点る。

 その光のひとつひとつが、人々の生きる証であり、希望の灯だった。


 クラリスがアレンの肩にもたれながら呟く。

 「ねえ、アレン。次は何をしようか」

 「畑でも耕すか?」

 「ふふ、それも悪くないわ」


 二人の笑い声が、穏やかに夜空に溶けていく。


 戦いの火は消えた。

 けれど、心の炎は永遠に――。


 その名を、人々は語り継ぐ。

 「最強夫婦、アレンとクラリス」と。


終章まとめ


帝王の闇が去り、世界は光と平和を取り戻す


王都へ凱旋した最強夫婦が、人々に希望を与える象徴となる


日常の再生、静かな幸福、そして新たな誓い


“戦いの終わり”ではなく、“愛と共に生きる未来”が始まる


完結:『追放された下級騎士、断罪された悪役令嬢に拾われて成り上がり ~共に復讐しながら最強夫婦になりました~』

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