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追放された下級騎士、断罪された悪役令嬢に拾われて成り上がり ~共に復讐しながら最強夫婦になりました~  作者: 妙原奇天


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第36話 帝国の宣戦布告

 王都の炎が鎮まった翌朝。

 まだ煙の残る空の下、民衆は互いに肩を支え合いながら復興を始めていた。

 だが安堵が訪れる前に、さらに冷酷な報せが届く。


「……帝国ヴァルハルドが、我らに宣戦を布告しました!」


 その瞬間、会議の間が凍りついた。


宣戦布告


 帝国の使者は堂々と王都の門前に現れた。

 黒き軍旗を掲げ、甲冑に身を固めた兵を従えた姿は威圧そのものだった。


「ヴァルハルド帝国は告ぐ!」

 使者は巻物を広げ、朗々と読み上げた。


「追放者の国は大陸秩序を乱す逆賊なり。

 王都を焼き払ったのはそなたらの内紛にほかならず、

 我ら帝国は大陸の安寧のため、ここに正式に討伐を開始する!」


 周囲の民衆からざわめきが起こる。

「私たちが……自分で燃やしたって言うのか?」

「そんなはずない! だが……」


 疑念が広がり始める。


王妃の応答


 広場に進み出たクラリスが紅のドレスを翻し、使者を真っ直ぐ見据えた。

「笑わせないで。あの炎を放ったのは、あなた方の影部。

 証拠はここにあるわ」


 彼女は黒い短剣を掲げた。刃には帝国の紋章が刻まれている。


 民衆から怒りの声が上がった。

「やはり帝国の仕業だったか!」

「俺たちを欺こうとしたんだ!」


 しかし使者は冷笑を浮かべ、声を張った。

「その刃を偽造したのはそちらだろう。英雄を気取る夫婦は、民衆を騙す芝居も得意と見える!」


 吐き捨てるような言葉に、民衆は再びざわめいた。

 帝国は“真実”さえも武器に変えてしまう。


帝国の狙い


 その夜、王宮の会議室。

 ギルバートが苛立った声を上げた。

「奴らは王都炎上を“自作自演”と吹聴している。

 諸国は疑い、いくつかはすでに帝国側に流れてしまった!」


 地図の上で赤く染まる勢力図。

 帝国の旗が日に日に広がっていた。


「剣ではなく言葉で追い詰める……帝国の狙いは私たちの孤立よ」

 クラリスは冷静に言い切った。


 アレンは深く息を吐き、拳を握る。

「孤立させてから、一気に攻め込むつもりか……。

 ならば――こちらも腹を括るしかない」


最強夫婦の誓い


 アレンとクラリスは広場に立ち、民衆を前に声を上げた。


「帝国は嘘で私たちを潰そうとしている。だが、俺は誓う。

 この剣で、民を守り抜く!」


「私は誓う。この瞳と魔導で、あなたたちを絶望させない!」


 その言葉に、民衆の瞳が揺らぎ、やがて歓声へと変わった。

「アレン王! クラリス王妃!」

「最強夫婦に従うぞ!」


 帝国の宣戦布告は、恐怖だけでなく逆に結束を生んだ。


帝国の軍勢


 だが同じ頃、ヴァルハルド帝国の平原。

 無数の松明が夜空を赤く染め、整然と並ぶ軍列が地平線まで続いていた。


 帝王シグマールが黒き軍馬の上から軍勢を見下ろし、低く笑う。

「いよいよ始まる。追放者の夫婦が英雄であればあるほど――その首は甘美な戦果となろう」


 号令と共に、十万の軍勢が動き出した。

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