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2 シオンの日常とシルバーバーグ家

無属性であることやスキルとギフトの内容が判明し、父様と話した日の次の日には日常に戻っていた。


朝は必ず、専属執事のグランと専属メイドのメイミが起こしに来てくれる。

メイミは桃色の髪に、白黒のメイド服を着た前世でいうと大学生くらいのお姉さんだ。


「失礼します。おはようございますぼっちゃま」

「おはようございます、シオン様」

「おはよう。グラン、メイミ」


・・・今更ながら、『専属』

いい響きだ。前世での生活を思い出せばなおさらである。


グランから今日のスケジュールを聞きながら、メイミに身支度のお世話をしてもらう。

今日のスケジュールはいつも通り、午前中はグランとの勉強、午後は剣の稽古だ。

身支度が終わると朝ごはんのために食堂へ行く。

侯爵邸の食堂は僕ら(侯爵一家)が食べ終わった後に屋敷の使用人たちが2交代制で食べるので、30〜40人くらいが食べれるスペースがある。

食堂に着くと父様の他に母様と兄様と姉様がいて、和気藹々としながら朝食の時間を過ごす。

シルバーバーグ家は仲良し一家だ。

母様と兄様と姉様の紹介はまた今度。



朝食後、グランの執務室兼僕の勉強部屋でグランによる授業が始まった。

今日はシルバーバーグ家についてだ。


「まずシルバーバーグ家の成り立ちからおさらいしましょう」


シルバーバーグ家の成り立ちは祖父の時代まで遡る。

僕の祖父はこの国の先々代国王の次男だった。

その頃はいわゆる戦国時代で小さい国々が乱立しており、ロクセン王国も小国の一つだった。

武勇と知勇ともに優れていた祖父、その父・先々代国王、そして兄・先代国王が辺り一体を統一し、ロクセン王国は大国となった。

広大な国土となったロクセン王国の北半分を祖父の派閥が収めることとなり祖父はシルバーバーグ大公爵となった。

ちなみに南半分が先代国王の派閥が収めることとなり、先代国王はゴルドバーク大公爵になった。

そもそものロクセン王国の王家がバイオレットローズ家であり、長男である先代国王はのちに王となった時にバイオレットローズに戻ことになるのだあが、次世代のためにあえて分家をつくったのだとか。


こうなると北と南で後継者争いの戦争が起きそうなものだが、現在に至るまで起こっていないらしい。

うん、王家も仲良し。


「というわけでぼっちゃまのBはバイオレットローズ家のBであり、王家の血を引く存在だ、ということなのです」


その後、父とその兄(僕にとっては伯父)が成人したので、西を父、東を伯父、北の国境付近を祖父が治めることとなり、祖父はシルバーバーグ大公爵のままだが、父と伯父はシルバーバーグ侯爵となった。

父と伯父は両方シルバーバーグ侯爵であるため、伯父をグロースシルバーバーグ侯爵、父をクラインシルバーバーグ侯爵と呼び分けたりもする。




グランの授業を終え、お昼まで自室で休憩がてらメイミ、グランとティータイムだ。

執事とメイドはそばで立っているイメージがあるが、メイミもグランも3人分のお茶を用意した後はソファーに座っている。一応、僕が上座的なところに座ってはいるが。

なんてことを考えていたらグランから報告を受けた。


「そういえば、ぼっちゃまのテイマースキルに関して講師が見つかりました。この屋敷の厩舎の責任者をしておりますヴィッグという者です」


...何かかぶってるの?

と、思ったのは置いといて。断る理由もないので、近日中に講師をしてもらうようお願いすることをグランを通して伝えてもらうことにした。




お昼も家族団欒で和気藹々と過ごし、午後は屋敷の裏庭で専属護衛のシリュウと剣の稽古だ。

シリュウはあの三国志の同名の人を彷彿とさせるような、長い黒髪をポニーテールにした、若き武人である。

護衛の場合は専属と言っても外出の時だけで、普段のシリュウは侯爵軍の一員として仕事をしている。

なので昨日教会に行った際もグランとシリュウとの3人行動であった。


剣の稽古といっても主に剣を使った戦いの稽古という感じなので、僕もシリュウも弓と槍の方が得意だったりする。そして、使うのも当然真剣ではなく木刀である。

いや、形は刀ではなく剣なので木の剣が正しいか。木とはいえ木工職人の技が光るいい代物である。

とか考えているとシリュウから話しかけられる。


「シオン様、昨日グラン殿から聞きましたが自動物理防御なるギフトをお持ちなのだとか」


あ、まずいかもしんない。


「このシリュウ、これまではシオン様に傷をつけないよう最新の注意を払ってまいりましたが、本日は自動物理防御とやらの性能を確かめるため、全力で挑ませていただきます」


やっぱりこうなったか〜

シリュウも僕に対する愛がやや重く、成長のために無理難題を仕掛けてくる兆候があるのだ。

シリュウは侯爵軍の中でも1対1の試合形式であれば最強を誇る武人である。対するこちらは頭の中は成人の知識が入っているだけの5歳児である。むしろ、知識があるだけに余計に怖い!


「いやいや、シリュウ。まだどんな効果かわからないんだし、ほどほどでいいんだよ〜?」

「では参りますぞ!」


どうしよう、聞いてない!

とりあえず頑張ってシリュウの攻撃を躱わすしかない!シリュウの剣を受け止めるのは僕の筋力では無理!



…頑張ったよ、僕は。

数分粘った後、シリュウの攻撃を脇腹にモロに喰らった僕は数メートル先の生垣まで吹っ飛ばされて気を失いましたとさ。無傷で。




数時間後、僕は自室で目を覚ました。

看病をしてくれているメイミにお礼を言いながら体を起こすと、正座をして項垂れているシリュウと、そのシリュウに説教をしている父様、母様、グランの姿があった。

僕が目を覚ましたことに一番大袈裟に反応したのは母だった。


「シオンちゃん!目を覚ましたのね!よかったわぁ。このまま目を覚さなかったらシリュウをクビにするところだったわよ!」


改めて母様を紹介するとウィンディ・A・シルバーバーグ。Aはアクエリア家のAで、水の一族とも言われている。名前のウィンディも水の神ウンディーネが由来なのだとか。年は33歳で、水色の髪がよく似合う女性である。

母様を嗜めつつ、シリュウをフォローしていると満足したのか、興味が別のところに移ったらしい。


「自動物理防御はシリュウが試したのだから、私が自動魔力吸収を試してみたいわ!」


目を輝かせながら宣言した母様だったが、父様、グラン、メイミ、シリュウからSTOPがかかった。

抵抗した母だったが、僕が間に入り、体調が万全になった後日に試すということになった。


父様やグラン、シリュウの興味の矛先は自動物理防御の方で、3人で考察に入ってしまった。


「体が吹き飛ぶほどの攻撃だったようだが、シオンの体には傷ひとつなかった。シリュウが剣で攻撃した部分も、生垣に当たった部分もな」

「しかし、ぼっちゃまが気絶した、ということは脳には何かしらのダメージが入っていたということでしょうか?」

「剣の当たった感触としては、鋼鉄の鎧のような感触を感じました」


などなど、話し合ってはいたが、3人の結論としては

「「「万が一の時の保険だという認識で、普段はしっかり守られていてくれ」ください」」


結局過保護!別に誰かと戦うつもりもないからいいけど!

毎週投稿ができそうなので、先週分として第2話を投稿しました。

今週中に第3話、来週には第4話を投稿できると思います。

よろしくお願いします。

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