13 フェルンタウンのペットショップ
全員の満腹が確認できたところでBBQの片付けを始める。
みんなが手分けしてアイテムボックスに収納する荷物を僕の目の前に持って来てくれるので、片っ端から収納していく。もう誰もアイテムボックスの内容量に疑問を持っている人はいない、みんなそういうものだと思っている。そういう認識になってしまって問題ないのかな?とザクさんに尋ねたら
「あ、すでに私は、私とシオン様のアイテムボックスは別のスキルだと思っています」
と爽やかな笑顔で言われてしまった。ぐぬぬ。
午後の移動は家族馬車だった。お昼で魔力を使いすぎたのか眠気が来たので、母様に膝枕をしてもらいお昼寝をした。フブキが抱き枕代わりで、シズクが氷嚢代わりで、さらにブランケットをかけてもらい気持ちよく寝れた。僕のおでこの上で寝てしまったシズクがずり落ちそうになる度に母様が戻してくれた。最初は「シオンにゆっくりお昼寝してもらうために静かにしなきゃ!」と意気込んでいたアクア姉様も気づいたらルーク兄様にもたれかかってお昼寝をしていたらしい。
2時間もお昼寝をしたら元気になったので、姉様とオセロをすることにした。最初は姉様よりも僕の方がやや強かったが、シズクが考えをフブキに伝え、フブキが手(前足)を伸ばし置く場所を伝え、姉様がそこに置くという陣形になると一度も勝てなかった。可愛い連合、恐るべし。
そんなこんなで空が薄暗くなって来た頃に辿り着きました、フェルンタウン。前回は街の門の内側まで迎えに来てくれたツヴァイクロー伯爵と伯爵夫人だったが、今回は伯爵邸の玄関前で迎え入れてくれた。
ユピテル君は部屋に閉じこもってしまったらしい。
晩御飯の最中、明日の行動をどうするかの家族会議。母様は伯爵邸の一室を借りでジュストとお仕事をするそうだ。3兄弟で街中で行動をしてもいいのだが、そうなると護衛もゾロゾロとついて来て目立ってしまうので兄様は別行動をすることになった。
余談だが、駅舎町では僕ら家族も他のみんなと同じものを食べているが、貴族の屋敷に泊まった時は僕ら家族はお客様として貴族ご飯を食べて、他のみんなは使用人ご飯を食べている。最初のフロストタウンで《赤き竜の爪》に申し訳なさを感じた僕は差し入れを持って行ったが、使用人ご飯も冒険者ご飯の平均よりは良い物と言われてしまった。それはそれとしてと差し入れはありがたく受け取るあたり抜け目がない3人であった。
翌朝、玄関でツヴァイクロー伯爵夫妻と母様、兄様に行ってきますの挨拶をして出発をした。
僕と姉様に同行するのはグラン、メイミ、シリュウ、シズク、フブキ、姉様の護衛、姉様の執事である。
ケルテクラウンにいる時はこういうお出かけの際、メイミとシズクはお留守番が多かったが、フブキだけを連れて行こうとするとシズクが拗ねるので一緒に行くことになった。メイミはそんなシズクのために手提げの籠をヴィッグと自作してくれた。今日はメイミがそれを持ち歩き、シズクはその中に入っている。
姉様の護衛と執事についても紹介しておこう。
まず姉様の護衛は女性ということだけ既出だが、名前はナタリーでキャロルの妹である。姉に似て真面目で腕もたつが、唯一の欠点は明らかにシリュウを異性として意識していることである。今のところは表情には滲み出ているが、言動には影響がないので放置している。
そして姉様の執事はバーツ。姉様が勉強を嫌がると姉様を肩に担いで行く人だ。元侯爵軍の人で、現役時代は文武両道で名を馳せたらしい。侯爵一家の専属執事の中では唯一の武闘派である。おそらく姉様が幼い間は女性貴族向けの習い事はメイドから教わればいいし、高度な学問よりも護衛がほぼ2人の方が安心できるといった狙いの人員配置だろう。
執事二人が街中を先導して歩いてくれ、僕と姉様が手を繋いでその後ろを歩く。フブキは僕から離れないように近くを歩き、メイミはシズクと共に僕と姉様とフブキの後ろで見守ってくれている。更にその後ろからシリュウとナタリーが周囲を警戒している。
最初の目的地であるペットショップに着いた。厳密に言えば、ペットショップ兼テイマー向けの魔物の装備品店だ。ペットを飼うという習慣がお金持ちにしかないので、こういったお店自体大きな街に1軒ずつしかない。もちろんケルテクラウンにも1軒あったはずだ。
最初は普通に入店したが、店内の小動物たちが怖がってしまった。店員さんが慌てて飛び出してきたので事情を説明すると、おそらくフブキに怖がっているのだろうということになり、シリュウとメイミとシズクと一緒に店外で待機してもらうことにした。小動物が怖がったのがシリュウの可能性もあると思ったとかではないです。
せっかくなので店員さんにフェンリル用のお手入れセットがないか聞いてみたところ、「そんな珍しい魔物用の道具も装備も用意していません」と言われてしまったので、フブキと同じサイズの犬用のお手入れセットを購入した。
その後、店内を見て回ると、魔物の装備コーナーに「スライム」の文字を発見したので眺めてみることに。そこに銀色の宝石をつけたティアラがあったので、グランに買えるか確認してみた。僕のお財布管理係はグランである。(もちろん姉様のお財布の管理はバーツ)
「む、なかなかいい値段しますな。ですが、まぁ、問題ないでしょう」
ティアラを手に入れてホクホクしていると、さっきまで手を繋いで一緒にいた姉様がいないことに気づいた。
「あれ?姉様は?」
「ぼっちゃま、あちらです」
「シオン!フブキちゃんのためにボールとスカーフ買ったよ〜!」
さすが姉様!シズクの身につけるものを買ったから、フブキにも何か身につけるものを買わないと不公平だと思ってたんだよね。姉様が手に持っているスカーフは、黄色いラインの入った赤いスカーフで、体が白いフブキにとても似合いそうなものだった。
店員さんにお礼を言って店外に出るとメイミが持っていたシズクのカゴをシリュウが持っていてくれた。ちょうどいいのでメイミには姉様がフブキのスカーフを巻くのを手伝ってもらう。その様子をシリュウの持っている籠から少し身を乗り出して見たシズクは不満気だったが
「シ〜ズ〜ク!シズクには僕からプレゼントだよ」
と言ってティアラを頭の上に乗せてあげる。グランが素早く手鏡を用意してシズクに己の姿を見せた。
数秒鏡を見つめた後
「ピキー!」
と鳴いて、僕の腕の中に飛んできた。とても気に入った様子で、僕に頬擦りしている。ははは、可愛いやつめ。シズクを籠に戻してあげて、グランから手鏡を受け取り、一緒に籠に入れてあげる。シズクは鏡を見つめてウットリし始めた。その姿を見ていい買い物が出来たと思いました。
今頃兄様たちは兄様のリクエストで本屋に行っているはずだ。兄様の専属護衛が先にケルテクラウンに帰ってしまったので、代わりにキャロルが護衛を勤めている。ペットショップが僕のリクエストだったので、この後姉様のリクエストのお店にいった後、フェルンタウンで1番大きい商会がやっているお店でお土産を買うために合流予定だ。
次回投稿予定日は4/4(土)です。
次回14話のタイトルは「出店とロクセン王国の食文化」です。
お楽しみに〜。




