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baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
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 なんだかんだで来月からの新しい職場が決まり安心した。在職中の間は引き継ぎをしたり、今担当している業務の処理を終わらせたりした。それからは有給休暇の消化に入る。有休消化中は単発でアルバイトをしたり、本を読んだりしながら過ごす。そんなとき1人旅で東京に行こうと思い立ち、新幹線で東京に向かった。ホテルは安いビジネスホテルを手配済みだ。

 1日目はディズニーランドに行く。周りは家族連れかカップルか友達同士のグループしかいないので、なんだか落ち着かない。けれど人生初のディズニーランドだったので、めいっぱい楽しんだ。1人ではあるものの、ミニーマウスのカチューシャも買ってしまった。自分の写真は撮っていないけれど。次は友達と来ようかなと思う。

 2日目は浅草で着物レンタルをして観光する。水色の花柄の着物に白いへこ帯と白いレースチュールを組み合わせ、髪型はアップにした。知らない場所だし誰も見ていないのだからと、ここでも1人旅を満喫した。友達にお土産も買って帰る。

 最終日は都内をぶらぶら散策した。別に誰かに会う予定もないのに、白と黒のボーダーニットとパールのついた白いチュールスカートに巻き髪という出立ちで歩く。仕事じゃないときくらいは好きな服を着て歩きたいという気持ちからだ。

 次はどこに行こうかなと思いながら立ち止まってスマホを見ていたとき、誰かに声をかけられる。

「あれ、陽妃じゃない?」

男性の声で私の名前を呼ばれた。しかし全く知らない声ではなく、聞き覚えのある声だ。振り返るとジェームズが立っている。

「もしかしてジェームズ?」

そう聞くと、ジェームズは腕を広げて私を包み込んだ。

「今までどうしてたの? 僕はずっと君に会いたかったんだ……!」

ジェームズにそう言われて、驚きのあまり何も言えなくなる。けれど何も言わないわけにはいかないので、「今の職場をクビになって、来月から新しい職場で働くことになったの」

と返す。「クビってなんで?」とジェームズが驚きながら私の体を離した。

「私が悪いことしたんじゃなくて、業績が悪くなったからクビになったんだけどね。次の職場もすぐ見つかったけど」

そう言うと、「そんなところにこれ以上いる必要はないよ。次の職場が君の居場所になるんだから」とジェームズに言ってもらえた。

 ジェームズが近くのカフェで飲み物を買ってくれて、公園のベンチで話をする。あの事件の動画にコメントしたの私なんだ。カミングアウトすると、ジェームズは「やっぱり陽妃かなって思った」と笑った。それ以外にもたくさん話をする。前回交換できなかった連絡先を交換して、私たちは別れた。

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