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baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
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 それから私たちは受付を済ませた。ここでも宮原さんが「僕が全員分出します」と、私たちの分まで参加費を払ってくれる。500円の4人分なので2000円だ。私たちの時給から考えると決して安い金額ではないのに、ポンと払ってくれたことに感謝した。

 司会者の一声により、ボウリング大会が始まる。大江課長のチームと隣同士になったけれど、大江課長の活躍ぶりに私たちは見惚れていた。残念ながら私たちは優勝できなかったものの、大江課長のチームが言うまでもなく優勝だったのだ。表彰式では本日のMVPとして大江課長が表彰されており、全員から拍手が送られる。

 ボウリング大会が終わった後はそれぞれ解散して帰路に着く。中谷さんと北川さんは土曜日朝早くから予定があるとのことだったので、二次会はできなかった。私も歩いて駅に向かう。そのときに担当営業の河合さんから着信が入った。

「アップルスタッフの河合です。今大丈夫ですか?」

そう話す河合さんの声は動揺しているように聞こえる。何かありましたかと聞くと、

「大変申し訳ないんですが、ハッピー光電の業績悪化で派遣社員全員が次回更新なしになりました……。大江さんが人事部に掛け合ったみたいなんですけど、やっぱりダメだったみたいで……。私たちも風岡さんに次の職場を紹介できるように尽力いたしますので……」

と話していた。つまりは派遣切りということだ。私だけでなく派遣社員全員が切られるので、宮原さんも切られることになる。あと1ヶ月半時間があるので、その間に次の派遣先を探すことにした。

 週明けから次の職場を必死で探す。私たちが切られることを知った織部さんと潮田さんにものすごく謝られ、同時に感謝もされた。「風岡さん真面目だし、ずっといてほしかったのにこんなことになってごめん。私たちから大江課長に掛け合って、大江課長からも人事部に掛け合ってもらったけどやっぱりダメだったみたい」と潮田さんが泣きそうな状態で言う。潮田さんや大江課長の責任ではないので気にしなくて大丈夫です、と私は返した。

 仕事探しを始めて8日後、私は仕事終わりに職場見学に行くことになる。紹介された職場はアパレル系の貿易事務だ。どんな職場だろうかと不安だった。別の担当営業とカフェで合流して、スキルの擦り合わせや聞かれうる質問について予習する。それから会社のあるビルに入り、面談に臨んだ。面接というよりは顔合わせだと聞いていたけれど、緊張してなかなかうまく答えられなかった気がする。それでも担当営業のサポートもあり、先方からも「来月からぜひ来てほしい」と言っていただけた。

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