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baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
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 あの事件から1ヶ月と少し経ち、ジェームズのSNSに新しい動画が投稿された。動画内では、

「みなさんお久しぶりです。心配かけてごめんなさい。僕は元気です。あれから1ヶ月経ち、いろいろ変化もありました。みなさんには言っていなかったのですが、重症だった友達のジャスミンが事件から20日後に亡くなりました。そこで僕はファッションブランドを立ち上げるというその友達の夢を叶えるため、彼女の妹と一緒にブランド設立に向けて取り組んでいます。どうか応援していただけると嬉しいです」

と気丈に話すジェームズが写っている。その手には、ジャスミンさんが生前に描いていた服のデザインの紙ーースケッチブックにまとめられたものもあれば、コピー用紙に書かれたものもあるーーがあった。

 その動画には「1ヶ月以上更新されてなかったから心配した」「頑張って!」「応援してます」などとコメントされている。ジェームズは律儀にも、コメント1つ1つに返信していた。私ももう少し仕事を頑張ってみようと決める。



 電話口でお客さんに怒鳴られたり、隣の部署の女性上司に理不尽に八つ当たりされたりしたこともあったけれど、負けるものかと思い仕事だけは続けようとした。3ヶ月続いた、と言っていた頃が懐かしい。なぜならばもう、今は派遣社員として働き始めて1年半経ったのだから。

 職場の同僚とも関係性も深まり、仲良くなった他部署の中谷(なかや)さんからTeamsで「北川(きたがわ)さんと私でボウリング大会に参加しようと思うんだけど、あと2人必要で……。よかったら風岡さんも参加しませんか?」とボウリング大会に誘われた。そこで私は、仲良くなった同じ部署の男性派遣社員の宮原(みやはら)さんを誘ってみる。すると「ぜひ一緒したいです」と言ってくれたので、私と宮原さんと北川さんと中谷さんの4人でボウリング大会の参加申し込みをすることになった。肝心のチーム名だが、どういうわけか「豆大福」に決まる。なぜ「豆大福」かはわからないけれど。

 あれから3週間経ち、ボウリング大会当日を迎えた。定時後、会社のビル前のコンビニに集合する。4人で集まり、コンビニでお酒やおつまみを買った。女性にお金を出させるわけにはいかないと、宮原さんが奢ってくれたのだ。お礼を言うと、宮原さんは「誘ってもらったお礼です」と笑っていた。

 その後はコンビニを出て、会場まで歩いて向かう。会社から徒歩13分の場所なので距離は長いけれど、みんなで話しながら歩いていたらあっという間だった。会場に着くなり大江課長と会い、「あれ、風岡さん……と宮原くん?」と大江課長は目を丸くしている。私と宮原さんが一緒にいるのを見て意外だとでも思ったのだろう。

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