表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
6/9

6

 そういえば、ジェームズは今どうしているだろうか。連絡先を聞けなかったので、近況を聞くこともできない。付き合いたいとかそういうことではないけれど、ふと気になってしまった。そんな中、ジェームズの住んでいる国で事件が起こったという。調べてみると、現地人だけでなく多くの外国人も亡くなり、200人近い死者が出たそう。

 そのニュースについて深く調べると、ある男性が涙ながらに話している動画が出てくる。私はその男性に見覚えがあった。なぜならばその男性がジェームズだったから。ジェームズの女友達がその事件で亡くなったそうで、ジェームズは動画内で泣きながらこう話している。


 僕は女友達3人と音楽イベントに出かけました。そこには多くの人がいて、すし詰め状態で動くこともままならない状態でした。友達の1人の姿が見えなくなって、「苦しい、息ができない」と言っていました。助けてあげたかったけど、手を握ることしかできませんでした。周りの人に「これ以上進んだらダメだ、人が死んでしまう」と呼びかけたけど、誰にも聞いてもらえませんでした。気づけば友達の姿を見失ってしまって、病院で息を引き取りました。もう1人は大怪我を負って入院中です。なんで僕だけ生き残ったのか。あのときこうしてたら彼女は助かったのだろうか。そもそも僕が音楽イベントに誘わなければ良かったのだろうか。そう思うと苦しくて苦しくてたまらないんです。ジュディ、助けてあげられなくてごめん。君を助けられなかったのを後悔してる。


 まさかそんなことになっていたなんてと私は思った。居ても立っても居られなくなり、ジェームズのSNSにコメントを残す。私だとわからないように名前は適当に付け、アイコンは好きなキャラクターにした。

「ジュディさんのご冥福をお祈りします。あなたは悪くないので自分を責めないで。遠くからでお役に立てるかわからないけれど、私にできることがあれば言ってくださいね」

すると、ジェームズから返信が来る。

「コメントありがとう。そう言ってもらえて心強いよ」

どうやらジェームズは私が書いたとは気づいていないようだった。これで気付かれたら驚くけれど。

 今までジェームズはたくさん写真や動画を投稿していたけれど、ジュディさんの件以来更新が途絶えている。「彼、1ヶ月以上更新してないけど、大丈夫かしら」とジェームズを心配する人からのコメントもあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ