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baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
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 「風岡様のご希望ですと、株式会社ハッピー光電様はいかがでしょうか? 時給1400円で、風岡様の最寄駅からも1時間はかからないと思います。もしご興味あるようでしたら、営業担当にもお伝えしますが……」

コーディネーターの方から、株式会社ハッピー光電を紹介される。時給も良さそうだし、クレーム対応やノルマはないそうだ。

「はい、ぜひ職場見学させていただきたいです」

私の一言により、職場見学することになる。詳しくは別の担当営業より連絡が来るとのこと。ひとまず担当営業からの連絡を待つことにした。

 その日の夜21時に担当営業からショートメールが来る。男性か女性かはわからないが、河合(かわい)さんというらしい。河合さんから職場見学の日程調整について連絡があり、とんとん拍子に日程が決まった。職場見学の日は2日後で最寄駅で待ち合わせすることになる。スーツじゃなくても良いですよとのことだったが、心配性なので念のためスーツで行くことにした。


 いよいよ職場見学の日がやって来る。待ち合わせ時間の10分前に合流できるように、逆算して家を出た。電車に乗ってもうすぐ最寄駅に着くというところで、河合さんから待ち合わせ場所に着いたと連絡が来る。私も慌てて現地に向かうと、パンツスーツ姿の若い女性が立っていた。その女性は私を見て、「すみません、風岡さんですか? 私アップルスタッフの河合です。よろしくお願いします」と言う。

「風岡陽妃です。本日はよろしくお願いします。すみません、ちょっと緊張してて……」

私がそう言うと、河合さんは「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。職場見学前に打ち合わせしましょうか」と切り出す。経歴や所有資格に相違がないか、よく聞かれる質問、職場の雰囲気について河合さんと話した。

「何かあったら私もサポートするんで安心してくださいね」

河合さんにそう言ってもらえて心強かった。

 いよいよハッピー光電のビルに入る。受付では河合さんがメインで対応していたけれど、私も緊張してきた。それから部署の課長という男性が出てきて、私と河合さんは課長に挨拶をする。課長は大江(おおえ)と名乗っていた。

 それから私と河合さんは、大江課長に会議室に通された。そこで私のスキルや経歴の確認を行う。自己紹介の際に新卒で販売員をしていたと言うと、大江課長は「なんで接客業から事務に転職しようと思ったの?」と聞いてきた。そこで私は

「販売員の時もエクセルは使っていましたが、その経験を生かしてスキルを身につけたいと思ったからです」

と返す。土日祝休みでワークライフバランスが整うから、とか、時給も他より良かったから、というのが正直な本音だが、それは言わないことにした。

 最後に大江課長から事務所内を見せてもらう。それぞれが黙々とパソコンに向かっている。男性が9割の職場だったけれど、ポニーテールの若い女性もいた。大江課長いわく、その女性が今年の新入社員とのことだ。さらに休憩室も見せてもらい、「パソコンに向かっててしんどかったらここで休憩してもいいし、コンビニで何か買ってきてもいいよ。俺はよくタバコ休憩行ってるけど」と大江課長は言っていた。

 一通り見せてもらい、職場見学は終わる。河合さんからここはどうだったかと聞かれ、雰囲気が良かったのでぜひ入社したいと答えた。また河合さんから結果については連絡するとのことで、解散する。私はカフェで一息ついて自宅に帰った。

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