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baby blue eyes  作者: 遠藤 敦子
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 同い年の恋人の真南学(まみなみまなぶ)とは大学3年生の頃から付き合っていた。長く付き合っていて大学卒業後も仲良しだった。それなのに、私と学の仲はあることをきっかけに悪化する。

 私は大学卒業後、百貨店にあるコスメショップでビューティーアドバイザーとして働き始めた。お客様には「また風岡(かざおか)さんから買いたい」「ありがとう」と嬉しいお声をいただいたけれど、それを良く思わない先輩からいびりを受けていたのだ。

「売上が良かったからって調子に乗るんじゃないわよ?」

「今回はたまたまだからね?」

そういった嫌味はまだ序の口だった。私から購入されたお客様の売上を自分の手柄にされたこともあれば、あることないこと嘘の噂話を吹聴されたこともある。それでも負けるまいと耐えていたら、心身共に不調が出てしまい、ある日突然会社に行けなくなった。そもそもベッドから起き上がることができなかったのだ。

 藁にもすがる想いで心療内科に行くと、「適応障害ですね。ひとまず1ヶ月間、会社から離れて休養をとりましょうか」と言われた。もうあんな嫌な想いをした会社に行かなくて済むと思うと安堵したけれど、私が休んだことで迷惑をかけてしまったという申し訳なさもある。

 それ以来、ずっとベッドから出られない状態が続く。学ぶにも何度か1人暮らしの家に来てもらったけれど、徐々にいつまで経ってもベッドにいてばかりの私にうんざりしているのが伝わってきた。私としてもこんな状態の彼女よりは、健康な女性と一緒にいた方が学のためにも良いのではと思うようになる。そんなとき、学から別れ話を切り出された。

陽妃(はるひ)ごめん。俺、もうお前を支えてやれる自信ないわ……。申し訳ないけど別れてほしい」

 こちらとしても別れ話されそうなのは覚悟していたけれど、いざそうなると頭が真っ白になる。私の存在が知らないうちに学の重荷になっていると思うと、この場からいなくなりたい気持ちになった。ゼリーやヨーグルトしか食べられない日が続き、気分がふさぎ込んでいった。そういった状況が1週間続いたものの、学と連絡が取れなくなってからは見返してやりたいと思うようになる。

 休職期間1ヶ月目が終わろうとしていたけれど、あの現場にはもう戻りたくないので退職届を提出した。今日から私は無職だ。休職した経験もあり、また正社員で働くのには不安があった。しかし1人暮らしで生活もかかっているので働かなければならない。そうなったら派遣かバイトか? とにかくお金を稼がなければ。もう接客はしたくないので次は事務にシフトしよう。そうとくれば派遣会社に登録だ。そう思い、私は軽い気持ちで派遣会社に登録する。それからはコーディネーターさんと面談をし、希望条件や事務職未経験であることを話した。

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