第1話
初のオリ小説試みです。
おそらく中二病だと貶される要素満載でしょうが
色々とアドバイスを頂けたらと思います。
魔法が存在し、それが主とされる世界。
そのある国のある地域の、あるスラムにて。
「じゃあ、行って来るぞ皆」
スラムには似合わない立派な格好をした少年が、今旅立とうとしていた。
「頑張れよ、この第4スラムの期待の星!」
「ユウ兄ちゃんなら、きっとやれるよ!」
ボロボロの衣服をまとった子供たちに見送られ、少年はスラムを後にした。
商業を司る光の国ヘヴン、軍事を司る闇の国ヘル、医療を司る命の国エデン。
宿星3大国と呼ばれる3つの大国と、その配下にあるいくつかの小国で成り立つ世界
その世界において、魔法と呼ばれる力は大きな意味を持っていた。
魔法は個人の資質による物が大きいが、使い方と磨き方次第では一国の勢力に匹敵する者も、今でも伝説として残されている程。
その使い手は魔道士、もしくは魔戦士と呼ばれ、畏怖と憧れを集めていた。
宿星3大国が大国と呼ばれる理由も、高レベルな魔道士や魔戦士、魔育士を数多く保有している事が、その大きな要因となっている。
そして、その魔道士や魔戦士たちの卵を育成する為の期間も、当然存在する。
それは其々の国ではなく、世界にただ1つの機関として
それが、サンティアゴ魔法学園。
またの名を、学園都市サンクチュアリと呼ばれる場所である。
宿星3大国からの援助を元に、全ての魔道士、魔戦士、魔育士を育てる養成学校である。
そこでは、旧家や名家の跡継ぎや、国で保護した素質ある子供。
それらが生徒として、勢力も生まれも超越した環境の下で、日夜勉強及び訓練に励む場所。
「ここか」
その学園都市の入口に立つ、先程闇の国ヘル、スラム地区第4区画から出発した少年ユウヤ・トライトン。
彼も今日から、この都市の住人にして学園の生徒。
そして今日、学園で新たな始まりを迎える卵達が、都市に集まってきていた。
「君もここの住人になるの?」
ふと、ユウヤに1人の身なりのいい少年が話しかけて来た。
その身なりの良さから貴族の生まれと言う事を見抜き、露骨に嫌そうな顔をする。
「そうだけど、何の用だ?」
「ちょっ、そう警戒する事無いと思うけど?」
「お前貴族のボンボンだろ?」
「ここじゃ別に生まれは関係ないでしょ?」
いかにも気楽そうにいうその少年に、ユウヤも恰好を崩した。
自分を色眼鏡で見ない……そう判断した上で。
と言うより、あまりの能天気さに逆に恰好を崩されたと言うべきか。
「……なんか、バカらしくなってきたな。俺はユウヤ・トライトン、スラム出身だ」
「僕はエデンから来た、レイン・ヴェルサリアです」
「ヴェルサリア!? あの、エデンの名家の!?」
「うん、そのヴェルサリア」
命の国エデンは、医療大国として知られている。
ヴェルサリア家と言えば、星の宿星を持つ魔道士の名家として名の知れた貴族の中の貴族。
しかしユウヤは、そのまま彼と同行して学園都市へ。
突き放すのが馬鹿らしくなる様な態度だった為、完全に毒気を抜かれていた。
「そんな名家のボンボンがどうして1人なんだよ?」
「名家の人間って言っても、ここじゃ1人の生徒だからね。1人で出来る事は1人でやる様にって、お父さんに言われたから」
「そうなのか? 貴族にもいろんなのが居るんだな」
ふと、目に入った学生寮で、多くの召使に荷物運びをやらせてるボンボンを見る。
その目は明らかに侮蔑しか含んでいなかった。
「俺ああいうのしか見てなかったから、貴族なんて皆威張り腐るだけかと思ってたけど」
「ははっ、貴族にも色々いるんだよ。おっと、僕の寮はここだ」
「え? じゃあお前も?」
ユウヤの持つ地図は、目の前の学生寮の箇所に丸をつけてあった。
「あっ、君もこの寮なんだ?」
「意外な縁だったな。まあ、ちゃんとした部屋自体初めてなんだけど」
「じゃあ一緒に行こうよ」
スラム生まれの少年と、貴族の少年。
2人の学園生活は、もうすぐ始まろうとしていた。






