第98話 奴隷商へ
主人公は冒険者ギルドへ戦利品を売りに行ったのですが、出来れば力を隠したいと言う事で戦利品の多くを売れませんでした。
冒険者ギルドで、強いのがバレない程度に戦利品を売る。
と言うか、前回かなりの金額を売却したので『強いのでは?』と怪しまれない為には、しばらく買い取れないとの事。
まあ、それでもマドリーンさん個人に高価な万能草を売ったので、多少お金は手に入った。
と言う事で、次は奴隷商だ。
マリレーヌさんに教わった奴隷商は、結構大きなコンクリート製の様な6階建ての建物。
敷地も広そうだ。
その敷地に入り、外からは見えない場所にある重厚そうな玄関の呼び鈴を鳴らすと、扉が開く。
そこから入り、案内の人に連れられ受付って感じの所へ行き、そこに居た中年男性の人族に話しかける。
「冒険者ギルドで聞いて来たんだけど」
そう言うと俺の全身を眺めていたので、俺が奴隷になりに来たのか、奴隷を買いに来たのか確かめたのかな。
「奴隷をお探しですか?」
「ああ。戦闘と身の回りの世話と夜の相手もしてくれるタイプなんだけど」
そう言うと顔をしかめている。
なので、準備しておいた一枚100万GAZUの神硬貨を10枚程見せる。
すると俺の出した神硬貨を見て「えっ」と驚いている受付の男性。
でも、直ぐに冷静になったように見えたので「まあ、これでも足りないだろうから、治療の手段を用意するつもりでいる」と、ちゃんと客だよと教えると「はい。承りました」と、キッチリ切り替えをしてくる。
さすがプロかな。
「一通り見せてもらえると助かるんだけど」
「そうですね。はい。準備がございますので、こちらに」と奥に誘われる。
ちゃんと、話術スキルは起動してあるし、商業学スキルも起動した。
騙そうと言う感じは無いようだから、と付いていく事に。
応接室のソファーに座り、鑑定して無害と分かっているお茶を飲む。
うん。美味い。
調度品などを見ていると、初老の人族の男性がやって来た。
「私は、この奴隷商の主の、ジバリルと申します。先程は、部下が失礼いたしました」と背筋を伸ばした奇麗な姿勢から頭を上げて来た。
「ん。まあ、初めて会う俺にみたいな若造なら、当然の反応でもあるけどね」
「その様におっしゃっていただけると、助かります。
それで、本日は戦闘、身の回りのお世話、夜の相手が可能な奴隷をお探しと言う事で、よろしいでしょうか」
「ああ。何人か欲しいから、1人が全部できる必要はないんだけど、出来れば全ての要件を満たして欲しいかな」
俺がそう言うとしばらく考え込み「……、治療の伝手は、どの程度なのでしょうか」と尋ねて来る。
「売ってくれた人がもう移動してしまったから数は限られているけど、下級のエリクサーが十数本と思ってもらえればいいかな」
「優品でしょうか」
「そう。しかも再生に特化させてもらっている」
「……、それならば、何人か対象となる者が居ますが」
「ちなみに、五体満足で要件を満たすとなると、幾らなの?」
「年齢と容姿の問題もありますが」
「ああ。年齢は俺と同程度か。容姿は、勿論良い方がいいし」
「そうなりますと、1000万GAZUから10億GAZUと言った処でしょうか。
勿論、それより上の者も居ますが」
「……、そっか。天井知らずだとは思っていたけど」
「はい。4年前の戦争で戦争奴隷を大勢確保していた頃は、この10分の1の値段だった事もあったのですが、今の相場はその様になっております」
「そうか。なら予算を2000万GAZUにして、一通り見せてもらおうか」
「そうなりますと、ここに呼べない者も居ますし、御足労願う事になりますが」
「ああ。それで構わない」
そう言って、先ず向かったのは、綺麗な部屋にいる奴隷たち。
結構、可愛い子もいるが。
「何故、あの娘は1500万GAZUなの」
そう小声で聞くと「はい。男性経験がございますし、少し精神の方にも問題を抱えておりますので」と、キッチリ事情を教えてくれる。
エリクサーでは精神疾患は治らないからな。
別の奇麗目の娘は、こちらを睨んでいる事から分かる通り性格がきついとハッキリ解かる。
まあ、性格がキツイくらいなら良いけど、反抗的でこちらを嵌めようとするタイプにも見えるからパスかな。
ある娘は、俺に対して『お役に立って見せます』と言う発言から『俺を騙して』と言った感情を話術スキルが読み取ってくるし駄目だな。
他にも居た可愛い娘なんかも、犯罪者奴隷なんだけど、詐欺を働いた上相手を殺したとかだからな。
次、行った場所には、少し高齢だったり、体の一部が無かったり。
ここには、治療さえすれば役立ってくれそうな人も居たが、今俺が16歳に対し40歳前後。
身の回りの世話なら兎も角、これから一緒に長く戦闘をしてもらおうと考えているから無理かなと諦めた。
と言うか、そもそも数が少ない。
「冒険者ギルドで聞いていたけど、やっぱり数は少ないんだね」
「はい。この都市で認可を受けている方々の方が、やはり多く人材は確保しているようです。
こちらの目的が最悪の事態の中でも可能な限り冒険者を守る事ですから、それを邪魔されない為に、こちらもあちらの領分には出来るだけ入らない事にしていますので」
「なるほどね」
そう言いつつ、最後に行った場所には、死にそうにしか見えない奴隷たち。
その中から2人が紹介される。
「この二人は、他の奴隷商から押し付けられたと言っていい者達です」と紹介が始まったのだが。
かなり重症の奴隷たちとの面会が始まるようです。




