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第66話 試練の提案

 薬の先生の処を訪問すると、戦争についての話になりました。

 何かあるのでしょうか。

 薬の先生に戦争への招集について聞かれる。


 『正直、俺は関わり合いになりたくない』と言う感じで返事をしたのだけど。


 でも先生は「それ本当に?」と確認して来た。


 先生には、俺はそんな風に考えていないと思われているのだろうか。


 その意図は良く分からないけど、先生なら大丈夫か、と自分の心情の深い部分も言っておくことにした。


 「……、半分はそうです。

  後は、今の辺境伯の人格を信頼できないのに、その下に付きたくないと言うのもあります。

  正直、関わるとどんな理不尽な目にあわされるか分からないって恐怖がありますから。

  それと、俺自身の話として、一度人を殺してしまうと、人殺しを何とも思わないどころか、気に入らない連中を虐殺し始める残虐性に目覚めたりしないかって不安もあります」


 「そう」と、先生は冷ややかに返事をする。


 その様子に「怖いですよね」と辺境伯と俺の内心について先生がどう思うか確認してみると。


 「今の辺境伯とその部下は、信頼できないと言うか他人の痛みが分からないタイプ・他人の意志など無視するタイプの様だから、注意しておいた方が良いわ。

  それに、貴方の内面の心配については、多くの人間がそんなモノじゃないかな。聖人君子じゃないんだから。

  そう言う危機感を持っている時点で、歯止めは掛かっているしね。

  そっか。まともに育ってくれた様ね」


 「いえ。正直、スキルを得られない無能者と虐待されていた、とかあるので人格に自信はありません」


 「そう。でも、貴方が良ければ、私の後継者になってくれない?」

 

 「えっ?」


 「実は、貴方の母親に引き継ごうと思っていた事があるの。それをあなたにと思ってね」


 「そうなんですか。でも何を?」


 「それは、試練をクリアしてからかな。どうする?」


 「……、試練は安全なんですか?」


 「危険よ。命を落とす可能性も高いわ。でも、リターンは大きい」


 ……。


 「貴方に引き継げなければ、引き継ぐ者も無く、忘れられる財産や知識なの。出来れば、試練を受けて頂戴」


 「先生がそう言うのなら」


 「じゃあ、ここから北東に100キロ程離れたノーブル市にどれくらいで到着できる?」


 「え~と、ステータスも上がっていますし、旅脚スキルも持っていますから、明日には」


 「朝から動ける?」


 「まだ、日が入るには4時間はありそうですから、走れば何とか今日中に着くでしょうし、可能だと思います」


 「そう。なら明日の朝になったら行って欲しいところが有るの。

  ノーブル市から北西に十数キロ進むと、巨大な岩の壁が見えて来るの。

  その岩の壁の上に、一本大きな木が生えている場所があるから、その下辺りに10時くらいに行けるかな」


 「分かりました。行ってみます。でも、先生とは別行動なんですか」


 「そう。それも試練の一つだと思って」


 「はい。わかりました」


 とのやり取りで、お店を後にし、宿に2~3日泊まりで出て来るけど部屋は取っておいてと伝えて都市を出て走り始めた。



 領都のソルチスを出て走る。


 流石に、街道沿いの魔物は討伐されているのか魔物には出会わない。

 

 辺境伯領は戦争の準備とかで荒れていて、盗賊とかも出そうだと思ったが、それも無かった。


 騎士団に探索系スキルを持っている人が居たら、盗賊程度だと隠れられるわけも無いのか。


 木を隠すなら森と言う事で都市の中に居るのだとしても、鑑定とかステータスウィンドウの確認である程度バレるからな。


 そんな事も考えつつ、前世では考えられないステータスで、前世では考えられないスピードで走り、まずはエルド町に到着。


 でも中には入らず、そのまま城壁を迂回して、更に北東へ。


 この調子なら日暮れまでにノーブル市に付けるからだ。


 狩りたくなるような魔物も探索スキルが感知するが、泣く泣く諦める。


 それ以外は、今日の午前中に斥候系スキルの師匠に見せてもらったスキルが百能スロットの取得待機枠に入っているかどうかも確認したか。


 ちなみに、全部入っていました。


 弓技スキルも、『師匠のあの弓矢の正確性は弓技スキルの力だろう』なんて考えただけで、取得出来ていました。


 その程度の事なんだから、技を見せてもらった時に考えておけよって思ったけど、まあ、習う力は他にも色々とあったから、いっぱいいっぱいだったとも思い出した。


 更に、高速で動く魔物に正確に命中させたあの力は、弓技だけでなく狙撃と言ったスキルも持っていて使っていたのでは、と考えたら、狙撃スキルも手に入ると言う。


 今回、弓技スキルを持っていると言っていたら、その辺も改めて教えてもらえたのだろうか。


 まあ、こちらも力を全て明かしていない以上、そう言うすれ違いが出てもしょうがないんだけど。


 それなりに全力で走ったので、他に余計な事を考えたりする余裕もなく、ノーブル市へと到着。


 ステータスウィンドウの確認と3日分の門の使用料300GAZUを払い、一泊2500GAZUと言う少し高めの宿で個室を借りて食事をして休む。


 明日は、どんな試練なんだろう。

 薬の先生が提案して来た試練。

 クリアすれば大きなリターンがあるそうですが、どんな試練なのでしょう。

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