第55話 初めての昇華の宝玉と魔回薬
魔力草と魔石を原料に、魔回薬と言う一時間程度MPの回復力を上げてくれる魔生薬を造ろうと思っているのですが。
魔素だまりの近くで色々と考え込んでいるうちに、魔物がどんどん湧いてくる感じです。
さて、魔回薬の製造を開始するかと思った処で、また魔力だまりに魔物が発生した。
人等に制御されていない魔力である魔素。
それが、溢れる様に湧き出す魔素源泉としては小規模の魔素だまりに発生したネイルベア。
それに、母の形見の剣で戦いを挑む。
剣や槍で倒せる敵なら、MPを節約する為に魔法ではなく武器で倒すと言う選択をしたからだ。
奴に接近し、振り下ろされた腕の爪を近距離超高速移動の瞬動で避け、奴の横っ腹を剣で割く。
怒り狂った奴が方向転換した処で、瞬動で奴の予想していないであろう首の横の位置へ移動し、剣を振り下ろす。
首を半ば切り落とされ、倒れ込み、戦利品にかわる。
うん。
強化してもらった、母の形見の鉄ミスリル合金の細剣は良い。
でも、敵を撹乱する為に瞬動を使いまくるのでは、消費するMPの事を考えると魔法で攻撃するのと変わらないな。
で、今度はまた魔物が発生するかもしれないと、色々と考え込まずにすべき事をさっさと始める事に。
格納箱スキルを起動し黒い四角い箱を出して、そこに繋がる格納箱の中から袋を取り出す。
そこに入っているのは、先ほど宝箱から手に入れたばかりの昇華の宝玉。
実は、昇華の宝玉で最初に強化するスキルは既に決めている。
戦利品向上スキルだ。
これが強化されれば、戦利品として宝箱が手に入る確率が上がり、昇華の宝玉が手に入る確率が上がる。
だから、最初はこれを強化すると決めてあった。
昇華の宝玉を握り『使用』と念じると、向上できるスキルが表示される。
ざっと見た処、事前の確認通り、スキルスロットだけではなく百能スロットに装備してあるスキルも選択できる。
なので、そこにセットしてある戦利品向上を選択。
そして、確認メッセージに『はい』を選択。
ステータスウィンドウの恩恵:百能の詳細を確認すると、戦利品向上スキルは中級から上級に上がり、グレードと経験値を意味するであろう数値は20になったようだ。
また、スキルに聞いた処、10倍程度だった宝箱の出現確率増加は35倍程度に。
上級になった事で戦利品の質や状態も少し良くなるだ。
さっき2個手に入れたので、もう1個使える。
それを使えば特級になれるが、流石に躊躇するよな。
悩んでいる時間に魔物が発生するのが怖いので、決めるのは後回しにし、その辺に生えている魔力草の中で、草の実が魔力草になるモノを選び生成1回分の5粒を取り、更に格納箱から袋を取り出しDランクの魔石を出す。
それを両手で包み、魔生薬生成と念じて『魔回薬を作成しますか。はい/いいえ』の確認メッセージに『はい』を選ぶ。
手の中に出来た3粒の錠剤。
粉末にもできたけど、イメージで錠剤を指定してあったので、錠剤に。
薬草学スキルによる簡易鑑定をすると、中級魔回薬(良)だそうだ。
(優)が出来るかもと思って魔石を必要なランクの1つ上にしたけど駄目だったか。
本来は、薬草学スキルで造った魔生薬を造る為の道具の薬研や薬研車を使い魔生薬を製造すべきだからな。
MPを多めに使ったけど、道具無しで急ぎ造ったのだから、しょうがないか。
2個の中級魔回薬は、多分この後飲むことになるだろうと、小さめの袋に入れてから格納箱に入れる。
そして、中級魔回薬を1個口にして、水魔法の水作成で目の前に作り出した水を手ですくい、飲み込む。
これで、MPの回復は早くなる筈。
何をするのにも、MPが必要となる場合が多いからね。
主人公は、魔生薬を造り、MPの回復力を上げた様です。
まだまだする事があるのでしょう。




