第49話 相思相愛対策
今日は、魔法の先生の元に行き、様々な事を教われたようです。
魔法の先生に様々なスキルを見せてもらう事が出来、取得の方法まで教わる事が出来た。
その事に丁寧にお礼を言ってからお別れの挨拶をして、次は冒険者ギルドへ向かう。
冒険者ギルドへ着き依頼票とかをボーっと見ていると、暇な時間だったからかマリレーヌさんが声を掛けて来た。
「昨日の今日なのに、どうしたの?」
「いや。もう緊急事態解除されていないかなって」
「それは未だよ。でも、明日は解除されるんじゃないかって話よ」
「そうなんですか」と俺が喜んでいると。
俺を疑惑の目で見つめていたかと思うと、
「ひょっとして、昨日高いところに行ったの」と勘の良さを発揮され、俺の昨日の行動がバレタ感じで聞かれたので。
「ええ。昨日の稼ぎが吹っ飛びました」と素直に教えると。
「男って本当にバカよね」と顔をしかめながら言われてしまう。
「いや。初めてだったから、好みの人としたくて」と言うと。
『ん~』って顔かな。
まあ、そんな事言われても微妙だろうけど。
前世ならセクハラ案件だし。
「明日、緊急事態が解除されるならとっておきの魔石とか売らなくて済みそうですけど。でも、魔石って値段が安いのか」
「ええ。最低Dランク。出来ればCランク以上にでもならないとね」
「は~。先は長いな」
「何の先なの?」
「いや。ピンク発情期対策で娼館に通い続けるなんてしていると、流石にお金が続かないって思ったので、そう言うのを許してくれる奴隷に来てもらいたいなって思ったんですよね」
と何となく考えていたピンク発情期対策を言うと。
奴隷って言葉に顔をしかめた上で、
「奴隷にそれを求めるんだ」と蔑んだ目で見られる。
止めて。
癖になったらどうするの。
と、心の中で冗談を言いつつ。
「でも早い人なら、してから数時間でピンク発情期になるって話もありますよね」
「そ。そうだけど。恋人か奥さんを作りなさいよ」と困り顔で言って来るが。
「恋人や奥さんにも都合はあるでしょうしね。
それに冒険者なんて危険で収入が安定しない仕事なのに恋人とか結婚とか出来ると思います?」
そう言うと「私の夫に対する挑戦かしら」と怒られるが。
「強くなりさえすれば、王侯貴族の様な生活すら可能って聞いていますけど、そんな希望を持って冒険者をしていて良いと思います?」
と、逆にこちらから問いかけると。
難しい顔で黙り込んでしまった。
冒険者ギルドの受付なら、生活苦から無理をして死んでいった人達を嫌と言う程見てきたはずだし。
「前途多難ですよね」と言って、複雑そうな顔のマリレーヌさんに別れの挨拶をして冒険者ギルドから出て宿に向かった。
宿で夕食を取り、部屋のベッドに横たわり、改めて百能スロットに取得可能となったスキルを確認しておくことにする。
うん。
昨日の取得可能になった先読みスキルに、更に色々とスキル追加されている。
魔法の先生は、嘘偽りなく様々なスキルを見せてくれていた様だ。
幻覚魔法、弱体化魔法、闇魔法、影魔法、異界召喚魔法、呪魔法、亜空間魔法、魔力節減、MP増加が、百能スキルの装備待機スキルに追加されている。
予めスキル知識源泉に聞いてはいたが、スキル追加の宝玉でしか取得出来ないスキルも、百能では見て理解するだけで取得出来ると改めて確認できた。
予想以上の戦果と言うか、スキルをその目で見たり感じたりして、理解する事の重要性を理解したと言うか、なんというか。
恩恵:百能は、スキルを取得する道筋をかなりショートカットする力って感じなのかな。
取得の為のステップの幾つかをクリアしなければならない不便さは残っているんだから。
まあ、本当の事は分からないし、どうでもいいか。
しかし百能には、相思相愛の人が居ないと百能スロットに装備するスキルを変更できない、並びに異性を幸せにして百能スロットを解放し同時に多くの力を使える様にしなければならない及びスキルを取得する為の百能スキル取得ポイントを貯める必要があると言う問題点がある。
それについてだけど。
マリレーヌさんに言ったことが関係するのだけど、一応対策は考えた。
それは、奴隷制度の利用。
奴隷になり酷い目にあっている又はあいそうな人を俺の配下として優しくしたら、相思相愛に近い状態にならないだろうか。
ハッキリ言ってしまえば、相思相愛と言った制限を付けた元の百能スキルを失敗と感じ、恩恵:百能では緩い感じで相思相愛相当と判定されるかどうか、が肝なんだけどね。
勿論、相思相愛の判定が緩くなるだけでなく、相思相愛の人に相当する人を幸せにしたと言う判定も、緩くなっていて欲しいんだけどね。
正論を言うとすれば、相思相愛の恋人なり妻を作れば良いのだろうけど。
でも、それは時間が掛かる確実性のない不安定なモノ。
少なくとも、俺はそう思っている。
だって、前世でも数人としか付き合っていないし結婚も出来なかった。
この世界では、当然0人だし。
力や金を持っていると示せば変わるのかもしれないけど、それは愛情なのだろうか。
やっぱり、恋人とか言っても相手が金目当ての場合等、確実に相思相愛と判定されるかどうか分かったモノではない。
そして、そもそも恋人にしたいと言う対象が、今現在誰も居ないしね。
それに、人の気持ちは移り変わるモノだし。
なら、それに期待し過ぎるのは‥‥‥、と言うか異性との関係を上手く構築する自信がない。
となると、相思相愛相当や幸せにしたと言った曖昧な判断材料が更に緩くなっている事に期待し、窮状から救ってくれた人に抱く好意が恋愛相当になる可能性や、俺が幸せにしたと判定される可能性に期待したいんだよな。
まあ、本当の相思相愛になれたら、それはそれでいいし。
と、それを試してみる事にした。
奴隷になっている人の中から好みの女性を選べば、少なくとも俺の方から好意は持てるだろう、と言う予測もあるし。
まあ汚い考えだし、人の感情なんて、そう思い通りにならないとも思う。
だけど、数人から十数人に試しても良いか、と現状考えている。
他にも、奴隷契約による命令で、俺の秘密について話さないように命令しておけば、話そうとしたら耐えられない痛みが走るので、秘密が守れそう。
上下関係がハッキリしているので昇華の宝玉を取り合いにならなくて済む、と言った俺にとって都合のいい事・必要な事が満たせるというのもあるけど。
幸い、この世界では当たり前に存在する仕組みだし。
まあ、昼間のマリレーヌさんの様に良く思っていない人も多いんだろうけど。
問題は、奴隷を引き取るだけの金がないんだよな。
また、その奴隷が負傷しているから安い場合に、治療するだけの力や物資も無い。
まずは、それを得よう。
そう考えた後に、眠りについた。
主人公は、この世界にある奴隷制度をつかって相思相愛の人を作れないかな、と考えているようです。
でも、そんなので上手くいくのでしょうか。




