第4話 新たな地獄の始まりなのか
主人公は、村の近くの森の異常を感じています。
でも、感知するスキルを持っていないからか、無能だと信頼されていないからか、主人公の村に帰った方が良いと言う意見は無視されました。
大丈夫なのでしょうか。
森の合間を走る街道沿いから獣道へと進み、何時も狩りに入る森の奥へと向かう。
相変わらず、森の雰囲気は変だ。
なのに、後ろの連中は俺が無能だとか騒いでいる。
そんな状況の中、兄の1人がグループから離れる。
トイレか何かだろう。
注意しようかと思ったが、別にこんな連中死ねばいいと黙って先に進んでいると「ぎゃ」と言う変な声と何かがつぶれるような音が。
そちらに注意を向けると、木の影から現れたのが巨大な熊の魔物。
爪が武器として異常発達したネイルベアだ。
4本足の状態で、俺より背が高くないか。
多分、立つと5メートル以上あるんだろうな。
剣を抜き、どうしようかと迷っていると、街道の方へ逃げようとした兄弟の1人が、ネイルベアにもの凄いスピードで飛び掛かられて爪の一撃でミンチに。
いや、まあ、ミンチ状態では無いけど、体が変な方向へ折れ曲がっていて死んでいるんだろうなと思う。
女性達は、ここに来て悲鳴を上げている。
父はと見ると、震えているかと思ったら逃げ出した。
妻候補の女性達や異母兄弟たちを魔物の方に突きとばしながら。
母が死んだ時に、俺にしたのと同じ事を、何の反省もせず。
そう一瞬頭に血が上るが、まあ俺もここで死ぬのだから気にするだけ無駄か。
魔物は、突き飛ばされ悲鳴を上げて逃げようとした異母兄弟数名を一撃で倒すと、次は動けない女性達を狙う様だ。
魔物だからか、食べる分だけでなく、本能か何かに従い俺たち人族を殺しに来るからだろう。
あの動きなら父や兄弟達が村に逃げ帰る前に追いつけるだろうし、このパーティは全滅かな。
いや。
こいつなら大した戦力の無い村ごと滅ぼせるかも。
そんな事を考えながら、女性達と魔物の間に入る。
別に、女性達を守ろうとしている訳では無い。
みっともなく死ぬくらいなら、一撃でもと思ったからだ。
まあ、人が惨たらしく死ぬのはあまり見たくないから、先に死のうと言うのもあったかも。
剣を構えて、ネイルベアに切りかかる。
奴がうるさそうに振るった腕の一撃で、俺は吹っ飛ばされて木にぶつかり止まる。
スキルは強い力で便利だけど絶対ではない。
そう言ってくれた都市の剣技・鎗技の師匠の教え通り、体を鍛え、体捌きを意識しながら弱い魔物を倒し少しでもレベルアップをしていたおかげか、剣の修行をし続けていたからか、剣で爪を受け止められ即死するのは避けられたけど。
でも、力の差があり過ぎる。
そう考えた処で、意識が遠くなった。
目が覚めると、光に満ち溢れている神殿のような所に俺は居た。
神殿は、雲の上に浮いていて、世界は澄み渡っていると言う感じで清涼感に満ち、ほのかに良い臭いまでしている。
ああ、死んだんだな。
そう思っていると、神殿の中心で光を放っている金髪の美男子から話しかけられる。
「ごめんね。僕のミスだった」
そう言われても理解できないので黙っていると。
「ああ。状況が分からないのか。当然だね」
そう言って説明を始めてくれるのだけど、俺にとっては新たな地獄の始まりの様な気がした
ここで、神らしき存在の登場です。
どんな話になるのでしょう。