第32話 都市の周りの散策と会敵
冒険者ギルドの受付嬢に目をつけられ、仕事を押し付けられそうです。
まあ、生活の為に冒険者をするとなると、ある程度はしょうがないのでしょうけど。
冒険者ギルドを出て、ゆっくりと都市の外に出る門に向かっている。
そう言えば、昨日は街並みをユックリと見たりはしていなかったか。
そう思いつつ、もう昼過ぎになったので、昼食を探しながら街を散策する。
今日は、店先で売っている焼いた肉をパンにはさんだサンドイッチを買い、その店先で食べて、再度移動を開始した。
流石、この地域の領都。
しかも、力を持った辺境伯の領都だもんな。
この国の貴族は、王族、公爵、辺境伯、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵だったかな。
その内、辺境伯と言うのは、辺境と言うか、魔物の強い領域又は他の国と隣接する地域を納める、軍事や経済に明るい優秀で力を持った貴族がつかされる、だったかな。
まあ、魔物の侵攻や他国からの侵略を食い止める役割だからね。
でも、確か今の辺境伯は先代から地位を引き継いだだけの凡人だって親父の狩り仲間が言っていたか。
そんな噂に発奮し、他国に攻め入り一部領地を分捕ったのだから無能では無いのかもしれない、との意見もあったが、俺からすれば戦争を起こす迷惑な領主だ。
神様が『人同士で争っている場合では無いのに』って言っている様な状況なのに。
そんな事を考えながら歩いていても、この都市のメインどおりは活気にあふれている。
先代より税金も重くなったって話だったけど、まだまだ人は元気なのか。
いや。ここだけ繁栄している可能性もあるのか。
そう言えば、ここは奇麗な街並みだけど、ここの様なメインの通りは兎も角、スラム街はあるそうだ。
そう言えば、母に近づくなって言われていた区画とかもあったな。
そう思いつつ、この都市では4つある外への門の内、ここから一番近い西の門へと向かった。
ワグスナー辺境伯の領都ソルチス。
直径5キロ程度のほぼ円状になっている城壁に囲まれ、リーナス湖のほとりに存在する。
湖が近いと、そこで水運とか水産業とかが発展しそうだが、この世界の川や湖や海は、モンスターだらけで、その一部しか人は利用できない。
なので、リーナス湖のある領都の南側には門が無く、西、東、北西、北東の4か所の門があり、今回は西の門から都市の外に出てみた。
門番に、昨日買った通行許可証を見せ都市の外に出る。
少し南に下り湖に近づいてみるが、岩場で釣りをしていたり、投網を投げて漁をしている人とその護衛が居る。
『湖に近づくのもな』と今度は都市から離れつつ北に向かってみる。
都市の周りを一通り見るだけで十キロ以上移動距離がありそうだから、走りながらだ。
都市の近くは伐採されているのか、あまり木も無く開けている。
当然、そう言う場所には何も無さそうなので木々が生えている方に近づいていく。
勿論、周りの状況を確認する為に探索スキルは起動してある。
昨日通った道を横切り、都市の北側の低めの山っぽい地形に向かう。
領都から数キロは離れているが木はまばらにしか生えていない処を見ると、この辺も伐採されているのだろう。
木は、燃料にも材木にもなるし。
しかし、採取して売れる様なモノは何もないな。
まあ、数万人以上の人口を維持する為には、この辺まで採取に来る人が居るのかもしれない。
これは、都市からもっと離れないとな、と思いつつ、都市の北側から東側へと走り続ける。
都市の東側から湖に近づいた処で、都市から離れる事にした。
マリレーヌさんからの情報だと、都市の北側の小高い丘と言うか小さな山を越えると、そこからはそれなりの森になる。
そこは魔素がそれなりに濃く、魔物が多く居るし、奥に行けば薬草も取れるそうだ。
本当は、西側にある森の方が木の密集度合いや魔物の強さからお勧めって話だったんだけど、ここからだと遠いし、都市の北側に進む事にした。
都市に居る人を探索で捉えると鬱陶しいので、それに掛からない様にする為、都市から離れる距離に応じ探索スキルの探索範囲を広げ5キロ程になった時に、それなりの魔物をとらえ始める。
鬱蒼とした木々も。
なので、常設は探索はそのままの設定にし、任意発動の探索の方は、魔物だけを感知する様にして確認する。
森の奥に入る気はないので、森の入り口程度の魔物を狙う事にして更に北に進むと強めの反応が引っ掛かった。
最初の獲物は、ファングウルフ(牙狼)が11匹だ。
音か臭いかは分からないが、俺が接近した事に気が付き向こうが森から出て突進してくる。
1対11は、流石に不味い。
不思議と周りに人は居ないので、隠してある力を使っても大丈夫そうだけど、都市に居る人の探索とかに引っ掛かるのも不味い気がするので、こちらも敵に向かって突撃して都市との距離をとりながら、戦闘準備をする。
通常より大き目で堅いとイメージにより変更してある土魔法の強化石弾を11発発生させ、一匹ずつ頭を狙い撃つ。
頭に石弾が刺さり致命傷を受けて倒れ込み戦利品になっていくファングウルフ達。
だけど、一匹だけ避けられて、接近されてしまう。
あれ。
防具や予備の武器買うのを忘れていた。
いや。お金がないから。
でも、スキルがあるんだから作れば。
なんて、余計な事を考えている間に、足に噛みついて来ようとするのを、避けながら剣で攻撃し、お互いに睨み合う。
改めて鑑定すると、スマートファングウルフ(賢牙狼)か。
賢い牙で武装した狼か。
俺の方が多少早く動ける程度で、スピードで圧倒出来そうにない。
どう戦うべきなんだ。
強めのファングウルフと出会ってしまいました。
前に確認した、名前の長めの進化種のようです。




