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第31話 やっぱり隠しておくべき

 主人公は、冒険者ギルドの受付嬢に捕まってしまいました。

 しかも、相手は既婚者で恋愛の対象外なのに、ちょっと強引な感じ。

 関わりたくないなと思っているようですが。

 宿で目覚め、食堂で食事をし、気が進まないけど冒険者ギルドへ向かう。


 行かないと、困っている上に押しが強そうにも見えたマリレーヌさんが宿まで迎えに来そうな気もしているから。


 冒険者ギルドへ行くと、受付から手招きしているマリレーヌさん。


 嫌々ながら向かうと、マリレーヌさんが他の受付嬢たちに説明を始めた。


 「このケンショウ君は、私の恩人の息子なの。

  だから、私が担当するから」


 と、ごく自然に嘘を言っている。


 うん。やっぱり、ちょっと怖いかも。


 いや。昨日そう言う話をしなかっただけど、母が恩人という事は無くは無いのか。


 「それじゃあ、冒険者ギルドの説明をするから、こちらへ」と個室へ案内される。


 まあ、個室って言っても、かぎは掛からないし、ドアにガラス窓が付いているし、ワザと穴を空けてあり中が見えるし音も漏れる様になっているけどね。


 多分、受付嬢を守る為なんだろう。


 そこで、マリレーヌさんからの冒険者ギルドとこの領都の周りの状況など、一通りの説明。


 まあ、異世界モノではテンプレって感じの冒険者ギルドだ。


 なお、この大陸には、一つしか冒険者ギルドは無いらしい。


 他の大陸はと言うと、魔物や魔族に人の領域を奪われ続けている為、今移動できる大陸は一つ。


 その大陸にある冒険者ギルドとは今でも連携しているらしいが、行き来が出来なくなった大陸とは疎遠になったそうだ。


 まあ、他の大陸とかの事は、今は置いておこう。


 命がけで戦う者の集まりであり、自由を愛する者の集まりでもあり、ならず者の集まりでもあり、食い詰めた者の集まりでもあり、英雄を生み出す土壌でもある、冒険者ギルド。


 まあ、冒険者は何でも屋の部分もあり、冒険者ギルドは各種仕事を依頼と言う形で仲介している。


 魔物の討伐、木の伐採、土木工事、薬草採取、都市の掃除等々。


 基本的には仕事を選べるが、都市の防衛とかになると強制され、それを断ると冒険者ランクが下がるとか罰金と言った罰則もあるそうだ。


 冒険者ランクはG、F、E、D、C、B、A、Sの8ランク。


 最初はGから始まり、ギルドへの貢献でランクが上がって行く。


 なお、一つの目安として、Fランクの魔物を倒せる人がFランクになると言うのも有るらしいが、それ以外で貢献してもランクアップはあるらしい。


 Dランクからは、昇級試験もあるらしいが、貢献度次第で免除もあるそうだ。


 何でも、有望な人材が面倒がって逃げない様にと言う配慮らしい。


 また、パーティの登録も可能で、それにはSランクの上にSSとSSSのランクがある。


 個人とパーティとのランクの違いは、パーティの方が集団での強さや功績により判定されるのでランクが上になる事が多いと言う事か。


 1人でFランクの魔物を倒すのと、数人でFランクの魔物を倒すのでは、難易度は当然変わるしね。


 ランクが上がれば受けられる依頼も増えるので、余程実力のあるもの以外は、パーティでも冒険者登録をして、そのランクの依頼を受けているそうだ。


 「あなたは、パーティは作らないの?」と、マリレーヌさんはパーティをつくる事を勧めている感じで聞いて来る。


 なので「奴隷の従者を雇うつもりです」と、予定を告げると。


 「なんで?」と言いつつ、少し目が険しくなる。


 奴隷制度は、嫌う人は嫌っている様だ。


 発言には注意した方が良いのかなと思いつつ、説明をしておく事に。


 「魔物を狩る目標が昇華の宝玉の入手なんで、同格が集まったパーティだと上手くいかないでしょ」


 と、オークションだと1億GAZUもする消費マジックアイテムの事を言うと、ある程度納得してくれた感じに。


 まあ、昇華の宝玉の入手が目的だと言うのも真実だけど、俺が転生者で強い恩恵をもらっている事を隠すには、俺と共に戦う人達は他人に話さない事を強制できる奴隷の従者が間違いないと言うのもあるんだけど、これを説明する事は出来ないから黙っておく。


 すると昇華の宝玉が目当てとの説明でマリレーヌさんは納得したようで、更に説明が続く。


 その内容は、魔物の取り合いとかの禁止とか、ある程度有名になると指名依頼があるとか、等々。


 色々と細々と説明してくれるので、気になった事を適時聞いておく。


 最後に「買取して欲しいのがあるんだよね」と聞いて来たので頷くと。


 「こっちへ来て」と、更に奥へと。


 「前は入り口に買取カウンターがあったんだけど、情報漏れがあったでしょ。

  それで、担当の受付嬢が人に見られない奥で買取りをし、一日の終わりにお金と買取品のチェックをするようになったの」


 「……、それって金額があわなさそうな気がしますけど」


 「そうなのよ。

  それで毎日深夜まで説教とか有るのよ。

  で、今は他の受付嬢の場合、私ともう一人の受付責任者のメイリが立ち会うようになったんだけどね。

  それで金額があわなければ、私達の給金から引かれるから、こっちも必死よ」


 と嫌そうに言われても俺も返事に困ったので「なるほど」と適当に相槌を打っておく。


 「で、ここが今の買取カウンターよ。次から戦利品を持ってくるといいわ」


 「今日は買取りしていないんですか?」


 「えっ。貴方、魔法の袋持ちなの?」


 そうサイズにあわない収納力があり重さも無視されるマジックアイテムの事を言われるが。


 「……、格納箱スキルの方です」


 「……、予想通りの逸材だったのね」


 「いや。スキルの一つに過ぎないでしょ。しかも、まだ下級ですし」


 「それでも、引く手あまたなのよ。

  遠くに狩りに行く場合には全然違うからね。

  戦争だって物資の移動とか重要だから」


 そうマリレーヌさんに、興奮気味に言われてしまう。


 その様子に「やっぱり隠しておくべきだったか」と、思わず口にしてしまった。

 物を大量に落ち運びできる格納箱スキルは、やはり必要とされ目立つようです。

 しかも、スキルスロットではなく百能スロットの方で取得しているスキルなのに、ばらしてしまいました。

 主人公は、迂闊なようですね。

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