第30話 冒険者ギルドの現状
主人公は、積極的な冒険者ギルドの受付嬢に声を掛けられました。
その積極的に声を掛けてきた理由は。
なんだよ。
マリレーヌさんは既婚者かよ。
騙される処だったよ。
いや。まあ。未亡人になったら有りなんだけど。
……、まあ冗談は置いておこう。
と言うか、脅迫で領軍に入れられるのか。
なら、早めにこの都市から離れた方が良い。
そう思っていると。
「大丈夫、まだ貴方は冒険者ギルドに登録すらしていないんだからGランクからだし。最低でもEランク以上でないと役立たずと思われている様だから。
だから今すぐ逃げる必要はないと思うけど」
と言われるが、どうなんだろう。
「正直に言うと、人手不足で冒険者ギルドは上手くいっていないの。
だから、貴方が実力を持っているのなら助けて欲しいんだけど」
そう媚びる必要のない伴侶の居る人に言われてもな。
「ここだけの話、冒険者ギルドから情報が洩れて、実力のある冒険者の多くはその実力がばれてしまったの。
その身内と言った弱点も含めて。
だけど、そう言った職員は粛正したから、今なら秘密は守れると思う。
だから手伝ってくれない?」
そう言われてもな。
でも、疑問に思ったので「何で登録もしていない俺にそこまで言うんですか?」と聞いてみると。
「なんて言うか、冒険者ギルド内で漂々としていた感じが、大物ぽくってね」
そう笑いながら言われてもな。
面倒事を避ける為に「それは勘違いだと思いますけど」とハッキリ言ったのだけど。
「大丈夫。少なくともGランクの実力では無さそうだし、Fランク位の依頼なら出来そうだし」
Fランクの依頼すら十分に出来ていないなんて、どれだけ人材不足なんだろう。
でも、少し様子を見た方が良いのか、今すぐ逃げ出した方が良いのか。
「私、人を見る目は鍛えて来ているから」と言われても厄介ごとに巻き込もうとしている人にしか見えない。
そんな風に思っていると「あなた、Cランク冒険者だったヨランダさんの息子でしょ」
「ああ。俺の事覚えていたんですか」と、何故声を掛けて来たのか、実力があると思ったのか、その理由がハッキリした。
「ええ。女性で凄腕の冒険者だったからね。ヨランダさんは。
当時、新人の受付嬢だった私は、その姿を憧れながら見ていたのよ。
だから、その子供の事もよく覚えているわ」
いや~。4年以上前の事を覚えられていたとは。
「私は、受付の主任だから、色々と融通はきくから。
だから、貴方に迷惑かけない様に上手に依頼を廻してあげられるし」
そう悪い笑顔で言われるとな。
悪い人に捕まってしまったかも。
怖い人妻だと思いつつ、マリレーヌさんの実家を後にし、宿に戻る。
う~ん。
厄介な事になるのかも。
宿に戻り、夕食を食堂で食べて部屋に入り、ベッドに横になり少し考える事にした。
冒険者ギルドとの関係か。
例えば、Gランクの魔物のホーンラビットの角は戦利品として残るんだけど脆くて使い捨ての投槍とか矢の先端(矢じり)にしかならない。
だから、武器屋に持って行っても、必ず買い取ってもらえるモノでもない。
だけど、冒険者ギルドなら必ず買い取ってくれる。
まあ、値段は安いけどね。
でも、必ずお金になると言う安心は結構大きい。
ちなみに、ホーンピッグ(角豚)とかの角やネイルベア(爪熊)の爪とかは、戦利品にならない。
見た感じ矢じりとか槍の先端とかになりそうではあるんだけど、魔物の持つ魔力による強化により強度がある類の物は、魔物が死ぬと脆くなり、武器とかに使えないからだ。
だから、ネイルベアの爪とかデカかったのに、世界の理により処分されて戦利品としては残らなかった。
そう言う意味だと、ホーンラビットの角とか、安いけど戦利品となる珍しいタイプの角でもある。
話を元に戻すと、冒険者ギルドへ登録し、そこへ戦利品を売るのは、今後の生活の為に必要な事なんだけど。
こんなに面倒な状況になっているとはね。
面倒を避ける為には、ここから別の稼げそうな都市へと移動した方が良いんだろうな。
でも、ここでやりたい事もあるし。
自分が強くなる事しか考えていなかったけど、戦争とか冒険者ギルドとか。
『ああ。面倒だ』なんて思いつつ、眠りについた。
主人公は、面倒な事になりそうだと思いつつも、冒険者ギルドと関わっていく事になりそうです。




