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第160話 ラシェルとの添い寝

 主人公は、ラシェルと相思相愛になり、恩恵:百能スロットに装備するスキルを変更出来る様になりました。

 つまり、ある意味目標の一つをクリアした事に。

 なので、百能スロットに装備してあるスキルを変更して強くなろうと色々と考えていると、ラシェルが部屋にやってきました。

 恩恵:百能に装備出来るスキルの数が1つ増え、百能スロットに装備したスキルを外すだけではなく、一日一回スキルを追加できるようになった。


 となると、スキルスロットに装備するスキルと百能スロットに装備するスキルに付いて色々と考え、自分を強化しないと、と思っていると部屋にラシェルがやって来た。


 少なくとも、恩恵:百能に相思相愛だと認識されているラシェルが。


 そう思いながらラシェルを見つめると、なんか何時もと雰囲気が違う様な。


 ああ。相思相愛だっていう先入観で見ているからそう見えるのか?


 ……。


 夜着がネグリジェみたいな色っぽいモノに変わっているのか。


 後は、なんか複雑そうな表情に見えるのは何でだろう。


 そんな事を思っていると「旦那様、今晩もお相手させていただきます」とラシェルが言ってくれるが表情は嬉しそうには見えないので「良いの?」と聞いておく。


 「はい。お礼も言いたかったですし」と言われるが確認の為「お礼?」と聞き返す。


 「風魔法の宝玉です」と、ラシェルは嬉しそうな表情などせず複雑そうな表情で冷静に告げて来る。


 「ああ。必要だと思った事だから、そんなに恐縮する必要はないんだけどね」と、軽く答えたんだけど。


 「……、今回の事で私が旦那様に捨てられる可能性は無いとは言いませんが、簡単に捨てられる事は無さそうだって実感できましたし」と、ラシェルの口調と表情は暗めだし返答内容は重めかな。


 でも、俺にとっては良い傾向だと「そっか。言葉だけじゃダメだったんだね」と告げると「そう……ですね。旦那様はずっと言ってくれていましたが」と俯いてしまう。


 だけど、それも無視して「ならよかった。渡して正解だ」と明るめに言っておく。


 すると「……、本当に良かったのですか?」と、探る様に上目遣いで聞いて来るので、ハッキリと言う事にした。


 「はあ。今の俺が、ラシェル無しで生活できると思う?」


 「また、新しい奴隷を手に入れれば」とラシェルは間髪入れずに答えて来る。


 そう言う不安も持っていると言う事か。


 なら少しでも安心させてあげようと「そして、また一から信頼関係を作ろうと、右往左往するって事?」と優しく言ってみたのだけど。


 「……。そうですね。優しい旦那様にとっては面倒な事なんですね」


 「いや。やっと、可愛くて優しいラシェルと良い関係になれそうだって喜んでいるんだけど、違うの?」


 「私は所詮奴隷ですから……。なのに、旦那様に優しくしてもらえる、求めてもらえるなんて期待して馬鹿なんだと思います」と暗い表情のラシェルからは容赦ない返事が返ってくる。


 「いや。う~ん。まあ、ラシェルの立場だと、信頼関係とか言っても、そういう風に感じるのか」


 「怒らないのですね」と言って来るラシェルは暗い表情から申し訳ないって感じの表情にかわる。


 「何を?」


 「自分を信頼していないのかって」


 「いや。奴隷と言う身分を自分に置き換えたら、ラシェルなんて善人過ぎると思うよ。

  そこも良いんだけど。

  俺なんて、多分チェーリア以上に駄目な感じになると思う」


 「そうでしょうか。旦那様なら、上手に環境に適応していく様にも思いますが」


 「う~ん。変にプライド高いところもあるし、そうならない気がするけど」


 「そうなのですか。確かに、奴隷になってみないと分からなかった怖さとか色々とありますけど」と、ラシェルが嫌な事を思い出したのか、また暗い表情になる。


 「そっか。そうだよね。だけど、安易にいつか解放してあげるとは言えないんだよな」


 「それはそうです。期間限定の奴隷でもない限り、開放される事なんてありませんから」と、ラシェルは当然ですと言う感じで言って来る。


 「大きな仕事をしてくれたからと言った、恩赦とかないのかな?」と、嫌な制度のある世界でそれを利用している俺も嫌な奴だと思いつつも、希望が無いかどうか聞いてみる。


 「はい。逃げ道を作ると、そこから逃げようとするので、そう言う契約にはなっていないそうです」


 「は~。俺も奴隷に落ちないように頑張らないとな」


 「旦那様でも、奴隷になるとかありそうなのですか?」と、ラシェルは不思議そうにしているが「あるだろうね。まあ、その前に魔物との戦いとかで死ぬ可能性の方が高いとは思うけど」と、俺の認識を言うと。


 「そんな」と、ラシェルは何故か驚いている。


 まあ、Bランクの魔物が居る魔素だまり巡りとかしているとは教えていないから、そうなるのかもしれないけど。


 でも、魔物を狩っている冒険者達は、皆怖い思いしている筈だと思ったので「その恐怖から逃れる為に、ラシェルにエッチで甘えている処もあるしね。なんて、言い訳もしているんだよ」と軽く自己弁護もしておく。


 「でも、Eランクの魔物の集団を、あんなにアッサリ倒したのに」と、ラシェルはEランクの魔物をアッサリ倒したことで、どうも俺が強い冒険者だと誤解している様だ。


 なので、誤解を解くと言うか、目指す物を手に入れる為には危険な目にあうよと伝えておくことにした。


 「欲しいのが、昇華の宝玉とかだから。

  あれはDランクの魔物を倒すと宝箱が発生し、手に入る可能性があるって話だけど、実際はBランク位の魔物を大量に倒さないと、そうそう手に入るモノじゃないらしいからね」


 「私の頂いた風魔法の宝玉も、そうではないのですか」と、何故か俺を責めるような感じでたずねて来る。


 でも、それは無視して「そうだよ。DとかCランクの宝箱だと、宝玉は入っていない事が多いらしいし、宝玉が入っていてもスキル消滅の宝玉が殆どって話だし」と事実を伝える。


 すると「私に、そんな価値があるでしょうか」と、ラシェルはまた暗い表情になってしまった。


 なので少し怒る事にする。


 「何言っているの?

  他にも、格納箱スキルの宝玉とか、生活魔法の宝玉とか、裁縫スキルの宝玉とかが手に入れば、使ってもらうつもりだし、他の魔法の宝玉だって、近接系のスキルの宝玉だって、必要と思ったらラシェルに使うつもりなのに」


 そう言うと「……、私は旦那様の便利な道具なんですね」とラシェルはまた厳しい事を言って来る。


 「う~ん。悪く言えばそうだけど、良く言えば俺の一部って感じかな。

  まあ、エッチな事をしている時点で、俺の一部って表現も変なんだけど」


 「……、道具だとしても、大切に使ってもらえますか」


 「いや。使い捨てにするつもりはないよ。

  まあ、俺はガサツな男だから、物みたいに扱ったり言ったりする事もあるかもしれないけど、それは多分結婚相手とかにも、そんな感じで扱ったり言ったりする、駄目なタイプの男だから」


 俺がそう言うとラシェルが複雑そうに黙ってしまう。


 ああ。


 この返事がダメな男だよな。


 そう思いつつ「ああ。大切にする、で良いのか」と言うと「はい」と返事をしてくれた。


 なので「ラシェル。愛している」と、今まであまり言わない様にしていた事をハッキリと言ってみる。


 まあ、ヘタレな俺でも、相思相愛で彼女を幸せな気持ちにしたと言う事実があるから言える事なんだけどね。


 そんな良くない自信を持ちながらラシェルを見ると、驚いた表情だ。


 あれ?


 大粒の涙が。


 折角、好みの女性と相思相愛になったんだし、恩恵:百能の力を使いこなす為だけでなく、彼女を失いたくない、不安を少しは解消させてあげたい、愛したいし愛してもらいたいと思ったから言ってみたのだけど。


 ああ。


 こんな時、どうすればいいんだっけ。


 俺は今16歳だから、押し倒し激しく求めるで良いのだろう。


 いや。とりあえずキスからだ。


 彼女と唇と唇を重ね、ベッドに優しく横たえる。


 うん。若いから、これで大丈夫のはず。


 いや。抱きしめて寝るだけにした方がいいかな。


 ここまで来て嫌われたらショックだし。

 主人公は、相思相愛になったらなったで、自信を無くしたり、右往左往したりしている様です。

 前世でも、今世でも、もてない男だったので慣れていないと言う事なのでしょうか。

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