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第150話 戦利品の所有者

 主人公は、平原での狩りで同じ冒険者達から嫌がらせを受けています。

 彼らと比較すると圧倒的強者である主人公の力に気が付いていない馬鹿な連中ですが。

 Eランクの魔物であるビッグファングボアのファースタアタックを奪われたので、振り切って皆の元に帰る。


 その動きで、自分達より圧倒的に強いと言う事に気が付いたのだろう。


 嫌がらせに纏わりついていた冒険者グループ4つの内、2つは諦めて帰る様だ。


 まあ、賢明な判断だ。


 ここからは、更に危険な魔物が居るようだし。


 なので3人に、音を出来るだけ立てず移動してもらう様に指示する。


 それで向かっているのは、ファングウルフの5匹の群れだ。


 Eランクの魔物のグループだから、彼奴ら程度の強さでは対処できない気がするが、気にしてもしょうがない。


 相変わらず、2グループが付いて来ると言うか、俺達がゆっくり動いているから追い抜いて行った。


 俺は、感知されにくい設定にした風の護りも起動し、匂いと音を出来るだけ消して魔物の方へ向かう。


 ファングウルフが視認できる距離になった処で奴らも気が付いた様で、馬鹿な事に騒いでいる。


 あの手の魔物は、音や匂いに敏感だとか分からないのだろうか。


 ファングウルフの群れが、1つのグループに向かっているのを確認し、皆に静かに座る様に指示をする。


 「助けないの?」


 そう聞いて来たのはチェーリアだ。


 「ああ。嫌がらせしてくるような連中に、情けをかけてもね。

  弱いのに、ここまで来た奴らの自業自得だ」


 「でも」と黙り込むチェーリアは、納得していない感じだな。


 「た、助けてくれ」


 そう叫びながら逃げ始めたのが見えた。


 あのパーティは6人も居るのだから、協力すれば何とかなりそうでもあるが、あの装備と度胸じゃ無理だろうな。


 もう一つのグループも、助けには行かず必死な感じで逃げているし。


 そんな風に状況を確認していると、1人が足に噛みつかれた。


 必死に抵抗するとファングウルフは離れたが、足を怪我し全力では走れない男に仲間の1人が駆け寄り援護をする。


 しかし、残りの4人は逃げ続けているか。


 嫌がらせするような連中だから、仲間を思う意識も弱いんだろうな。


 そう思っていると、チェーリアが立ち上がり、助けに向かい始める。


 「はあ」と、俺が深いため息をつくと「止めないのですか」とラシェルは心配そうに聞いて来る。


 対してタチアナは「助けないの?」と、俺を責める様に確認してくる。


 「チェーリアは助けるけどね」


 そう言って、チェーリアを追いかける事に。



 チェーリアは、5匹に囲まれ必死に抵抗している二人に「今、助けに行くから」と声を掛けている。


 今のチェーリアにEランクの魔物5匹を倒せるとは思えないけど。


 全力で走っているチェーリアの首根っこを掴み、地面に座らせる。


 その上で「魔物について権利を放棄するなら助けてあげるけど」と、魔物と戦っている二人に声を掛ける。


 「なっ。そんな事言っている間に」と、助けに戻った方の男が言って来るが。


 「嫌がらせしてくるような連中に、かける情けは無い」


 そうハッキリ言うと「わ、分かった。俺達の獲物では無いと宣言するから助けてくれ」と、必死に言って来る。


 その言葉と横でもう一人が頷いているのを確認し、逃げ出して遠くからこちらを確認している4人を睨み、戦闘に入る。


 まずは、二人の冒険者を囲んでいるファングウルフに接近する。


 俺も獲物と認識し二匹が襲い掛かってくるが、槍を横に薙ぎ払い、二匹の頭を一振りで叩き割る。


 その様子に、残った3匹は俺を狙う事に変えたようだが遅い。


 ダッシュで一匹に接近し、口の中に突き込んだ槍で頭に致命傷を。


 残り二匹は同時に襲い掛かって来たが、一匹は振り上げた槍を叩き付けて頭部を破壊。


 もう一匹は足に噛みついてきたようだが、槍の柄で頭を叩きあげてから、頭に槍を振り下ろして倒す。


 俺がアッサリEランクの魔物を倒したことで、目の前の二人と後ろから追いついて来たチューリアは驚いている。


 ファングウルフ5匹は順次戦利品に変わって行くので、ワザとゆっくりそれらを回収していると、俺がファングウルフを倒したと同時に、全力でこちらに走って来ていた4人が大声で声を掛けて来る。


 「待て。それは俺達の獲物だ」


 「あんたらは逃げ出していたから、あんたたちの獲物じゃない。

  そんな事も知らないのか」


 「いや。まだうちのパーティの2人が戦っていただろう」


 「戦っていたんじゃない。喰われる処だったんだよ。

  それでも、一応放棄を確認したら、戦利品の放棄を確認した。

  そうだよな」


 そう魔物に襲われていた二人に確認すると「ああ」と言いつつ頷いている。


 まあ、この4人は仲間を見捨てて逃げた連中だし、連帯感はもうないよな。


 「違う。俺達の物だ」とまだ往生際が悪いので「じゃあ。そこに落ちている戦利品をとってみるか?」と脅しをかける。


 すると「えっ」と俺の発言の意味が分かっているのか分かっていないのか微妙な感じだけどビビっている。


 俺に、戦利品を奪ったからと殺されるとでも思っているのだろうか。


 そう思ったので「薬草採取スキルでも持っている奴に簡易鑑定させれば分る。所有者は俺達になっている筈だ」と事実を伝えて連中を見渡すと、狼狽えている。


 その辺の知識はあるようだ。


 多分、いちゃもんをつけて俺に所有の意思を無くさせ、所有者欄を空欄にするのが目的だったんだろうけど、それに付き合ってやる義務はないのでハッキリとさせる。


 「なのに、愚かな主張をして奪ったら、お前らは犯罪者だ。

  俺が殺してやるよ。

  俺に犯罪歴は付かないからな」


 「ば、バレジ、本当なのか」と、一応簡易鑑定が出来る奴に確認する様だ。


 ちなみに、バレジは仲間を助けに戻った奴の様だ。


 「ああ。所有者欄に俺達の名前は無い」


 「……」


 「それで、これ以上俺達の狩りを邪魔するなら、犯罪者にならない程度に殴らせてもらうが」


 「わ、分かった。だけど、ガゼリの回復の為の薬を分けてくれ。冒険者同士の仁義だろう」


 「嫌がらせをしてくる奴に仁義がどうこう言われても知るか。自分達で何とかしな」


 そう言って、チューリアの首根っこを掴み、強制的にタチアナとラシェルの元に向かった。

 主人公は、冷静に嫌がらせをしてきていた冒険者に対処したようです。

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