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第15話 格納箱スキルと家の処分

 ネイルベアを倒し、一応女性達を護りながら村へと帰り着いた様です。

 ネイルベアを倒し、生き残りと村に帰ってくることは出来た。


 先に逃げ帰って来ていた親父達から多少事情を聴いていた門番に誰何されたが、違う方向に逃げて帰って来たと言うとそれ以上の問答も無く中に入れた。


 当然、その嘘に俺の後ろにいた女性達は混乱していたが無視して村長の家へ向かう。


 改めて前世の知識と比較すると、科学技術はあまり発展していなくて、中世って感じなのかな。


 村の雰囲気は、土壁とか瓦とかがないし日本ではなく西洋って感じか。


 ただ、魔機工学と言う『魔力を使った科学か?』と言う技術やそれに基づき造られた様々なモノがあるので、中世って感じではなく近代って感じもあるんだけど、まあ、それは置いておこう。


 他の違いと言うと、この世界には人族や人類と呼ばれる人間、獣人、亜人が居る。


 もっとも、この村に居るのは人間と犬人族や狼人族や猫人族といった獣人だ。


 エルフやドワーフと言った亜人は居ない。


 亜人は、そもそも数が少な目で、固まって生活している亜人が多いのだったかな。


 そんな事を考えながら、改めて村の風景を観察する。


 高さ十数メートル城壁に囲まれた村の中には、点々と木造や石造りの家。


 そして、畑が整備されていて、いかにも田舎の村って感じか。


 しかし、貧しそうな小さい家が多いと思いつつ歩いていると、目的地に到着した。



 館の様に立派な、コンクリート造りに見える家に着き、ドアの呼び鈴を鳴らすと村長が出て来た。


 「なんだ、無能のケンショウか。何の様だ」


 「俺は村を出るから」


 「そうか。了承した。まったく、村の恥のお前が居なくなってせいせいする」


 そう言って、乱暴に玄関の扉を閉める村長。


 それを追う様に、村長の孫娘が館の中に入っていくが、俺は無視して自分の家に向かう。


 改めて考えると木造の粗末な家だ。


 お袋の稼ぎならもっと良い家も造れただろうけど、俺のスキル取得の為の訓練にお金を掛けたからな。


 まあ、おふくろは親父に搾取されていたと言うのもあるか。


 その原因は『ピンク発情期』と言って良いのだろう。


 これは広く世間に知られていて、自分に対し発情した相手に様々な契約をさせる事が、この世界では当たり前になっている。


 親父は、スキルの力により契約の履行を実行させようとする契約が可能なスキル契約書を持っていて、母が発情した時にそれを受け入れる代わりにスキルで拘束する契約を結んだ。


 親父との婚姻と狩った獲物の半分を親父に譲ると言う契約だ。


 母が契約に違反した場合心臓や頭に耐えられない痛みが起こる為、契約は守らないと生活が出来ないと言うかなり怖い力だから、契約作成スキル及びそれにより造られたスキル契約書には注意しろって言われていたな。


 実は、母はかなり強い冒険者で、魔物の間引き依頼の為この村に来ていた。


 その依頼中に発情して親父と結ばれたのだけど、それが良かったのかどうかは俺には分からない。


 前世の知識だと、夫婦間の事は夫婦にしか分からないらしいし。


 まあ、子供は欲しかったらしいから、それは良かったのだろうけど、その子供が無能だったしな。


 そして、俺を授かった後はピンク発情期が起こる事も無く、親父とはそれなりに疎遠になり、俺を鍛える事に注力していた。


 その合間の狩りで、俺を庇って深手を負い亡くなってしまった訳だが。


 そんな事も考えながら、家に向かいながら、その途中にステータスウィンドウ内の称号・賞罰欄に表示されている恩恵:百能と意識して百能メニューを表示。


 そこからスキル取得を選んで今取得出来るスキルを確認し、村から出る為に格納箱スキルを取得する事とする。


 未だスキルスロットの方に取得もしていないし、取得待機状態でもないし、百能スキルでも取得した事のないスキルなので、百能スキル取得ポイントを1つ使用しスキルを取得すると同時に百能変更可能回数を1回消費して格納箱スキルを恩恵:百能の方で取得及び百能スロットに装備する。


 そして、その格納箱スキルを起動。


 まだ、下級だけど、最大2メートル四方の物を100個は入れられる、との事。


 スキルを起動すると、黒くて30センチほどの四角い箱が目の前に出て来るので、それを移動させたり、自分で物を運び黒い箱に入れたりして、母の遺品や自分の持ち物を入れて行く。


 タンスとか、中身を含めて1個の勘定になるらしいので、箱に入れたり袋に詰めたりして全てを入れ終える。


 まあ、元々生活に余裕がなく、それ程物はなかったしね。


 作業を終えたので家の外に出て、家を燃やす事にする。


 母との思い出が詰まった家だが、残していくのも嫌だし、過去との決別と決断する。


 下級火魔法や下級生活魔法で身に付く着火で家の彼方此方に火をつけ、火が下火になって来た処で、下級水魔法と下級生活魔法で使える様になる水作成で火を消しておく。


 すると、こちらに流れて来る煙に包まれた途端、何故か体が硬直し、思考が混乱する。


 これは、恐怖か。


 慌てて煙から離れると、まだ恐怖に心が乱れている。


 そっか。


 前世で、焼け死んだのではなく煙に巻かれて死んだから、火ではなく煙が怖いのか。


 と言う事は、煙には注意しなければならないのだろう。


 そう言えば、精神異常耐性スキルを上級で取得し装備待機状態にしていたから、それを装備しておけば恐怖の感情には対応できるか。


 他にも、聖魔法に各種の耐性アップと言うのがあった。


 それを意識しておいた方が良いのかもしれない。


 前世の記憶が戻ったからと言って、全ていい事だけではないのか。


 なら、精神異常耐性スキルを装備し恐怖を感じるか試しておこうか、と思ったが煙と言う程ではなくなってしまっていた。


 では『さあ、新天地に向かうか』と門に向かい始めた処で、五月蠅そうな連中がやって来た。

 村からの出立は、トラブルになるのでしょうか。

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