第149話 嫌がらせ
主人公は、ラシェルと一晩過ごしました。
それでも深まらない関係。
ですが、そろそろ皆を鍛え始めるようです。
朝、目覚めると、横に人のぬくもりが。
うん。ラシェルは朝まで一緒のベッドで寝てくれたようだ。
もう一回挑戦しようかな。
でも、無理やりになっちゃうかもしれないし。
そう悩んでいると「おはようございます」と挨拶されてしまった。
うん。
まだまだ初々しい時期だし、無理は止めておこう。
宿の食堂へ行き、4人での食事。
その後部屋にお戻り、魔物狩りに行く準備。
皆が装備する武器は、一応全員見直した。
俺が、鉄ミスリルの槍G2。
ラシェルが、メイスタイプの鉄ミスリルの槌G2。
力が強くなれば片手でも使えそうなタイプの槌だけど、今は両手持ちで盾は無し。
チェーリアが、鉄ミスリルの細剣G1に鉄ミスリルの盾G2。
タチアナが、鉄ミスリルの剣G2だ。
防具は、前に渡してある革の鎧。
タチアナは、顔や体格を隠せる全身タイプに変更した。
俺を含めた残りの3人は、軽装タイプか。
俺がリーダーになり、ステータスウィンドウからパーティ設定をしておく。
これで、あまり距離が離れなければ、経験値は共有になる。
その作業を終えて冒険者ギルドへ一応行っておく。
4人で冒険者ギルドへ入り依頼を一通り見るが、時間が遅かった様で、冒険者ランクFだとドブ掃除といった人の嫌う依頼や日数が掛かる依頼とかしか残っていない。
まあ、今日は普通に狩りに行こう。
4人で門から出て、南東の平原へ向かっている。
探索スキルによると、結構な数の冒険者達が狩りをしている。
これは、相当都市から離れないと潤沢に魔物は狩れないかな。
そう考え、4人でどんどん平原の奥へ進んで行くと、4つのグループが付いてくる感じ。
嫌がらせか、援助か。
探索で感じる気配は、嫌がらせだろうな。
無視して先に進むが、タチアナは兎も角、ラシェルとチェーリアはまだステータスが低く、4つのグループを振り切る程のスピードは走ったとしても出ないだろう。
旅脚スキルを特級にすれば、同じパーティの人の移動スピードも上げられるんだけど、旅脚スキルに昇華の宝玉を使う気にはならないし。
でも、面倒事になる事を想定し、探索で感知している嫌がらせをしてきそうな連中の気配等に名称をつけておく。
名称を付けると言う事は、その気配等を意識すると言う事になるから、他の連中より詳細に感知する事になり奴らの動向が良く分かる様になるので。
でも、刻印スキルの刻印と違って、一度探索範囲外に出てしまうと初期化されてしまう。
だけど、意識して覚えておけば、範囲外から範囲内に戻った時に名称が付いている事も有るので、気配や姿を覚えておくように意識する。
そんな風に想定されるトラブルに対処しながら俺達が疲れない程度に歩いていると、俺達の進行方向に居る魔物を先取りして喜んでいる感じ。
まあ、ゴブリン程度の魔物なんてどうでもいいから無視。
奴らが感知出来ていない、ジャイアントグラスホッパー(大バッタ)やレッサースライムをラシェルやチェーリアに討伐してもらう。
ラシェルは槌で殴り、チェーリアは盾で受け流しながら剣で止めと言う形を確認させてもらう。
うん。
やっぱり、戦闘系スキルを持っているチェーリアは、それなりに戦える。
戦闘系のスキルを1つも持っていないラシェルは、弱い敵との戦いや訓練で戦闘系のスキルを得てもらわないとな。
そんな事も考えながら、俺達の進行方向の魔物と戦っている連中を避けながら更に平原の奥に向かい進むと、居たのはビッグファングボア。
Eランクの魔物で、気配から感じる4グループの力だと、怪我人を出して倒せるかどうか程度かな。
まあ、戦い方次第か。
3人に小さな声で「魔物があっちに居る。姿勢を低くして奴から見えない様に」と指示をして、ビッグファングボアに向かう。
俺が走って向かうと、ビッグファングボアに気が付き気配が逃げ腰だった4つのグループも俺に追随してくる。
後、十数秒で戦闘開始と言うタイミングで、後ろから風きり音が。
なるほどね。
ファーストアタックは俺達だ、ってパターンか。
まあ、俺を狙っていないだけ、まだ良いんだけどさ。
矢は命中し魔物に刺さったのを確認し、俺は軌道変更。
ビッグファングボアを皆とは違う方向へ誘導し、突っ込んで来た処を避け、奴が俺を見失っている間に、地形を利用し隠れながら奴から離れ、皆の元に戻る。
「あれ、どうするの?」とタチアナが険しい表情で聞いて来る。
「ファーストアタックを与えたモノが、責任をもって倒すべきだよね」
「そうだけど、いいの?」と、タチアナは更に険しい表情になって聞いて来るが。
「あいつらに、戦利品を恵んであげる必要が有るの?」
「それはそうだけど。でも、手負いの魔物をそのままにして移動するなんて」
「でも、その責任は欲を出した連中にあるからね。
まあ、帰りに冒険者ギルドへ行って報告だけはするけどね」
そう言いつつ、ファングボアにクロスボウで矢を撃ち込んだ奴の姿とそのグループ全員の姿を更に意識して覚え、探索スキルに記録した名称も変更しておく。
更に、探索スキルで感知している情報と目で見た姿を関連づけてシッカリと覚えておく。
とは言っても、下級の探索スキルで感じられる様になる気配は、就いている職業とか怒っているとか悪意を持っているとか今の感情程度しか分からない。
また、その人固有の気配となると匂いとか触った感じみたいな曖昧な感覚で、人を区別するのに使い辛い。
ランクアップした中級の探索スキルで感知出来る様になる熱は体格の違いで形に違いが出るが、その熱量は人だとほとんど変わらないので、熱感知により人を区別しようとしても分かり辛い。
幸い、上級の探索スキルで感出来る様になる魔力を探索スキルで感知すると、その人毎の違いが色で表現されるし、その人の最大MPの多さや現在所持するMP量がある程度分かるが、奴らの最大MPはそれ程違わないか。
なので、魔力の色と連中の見た目で覚えておくと言うか、ステータスウィンドウのメモ機能に書いておく。
前世で、俺は書いて覚えるタイプだっだしね。
その作業を終え、更に平原の奥に向かうと、4つの内2つのグループが諦めて帰り始めた。
賢明な判断だ。
ここからは、更に危険な魔物が居そうだしね。
冒険者の嫌がらせは続く様です。




