第148話 飲み込んだ悪口
夕食後、チェーリアの善行についての意見を話しました。
少しずつ主人公の価値観を話し、共有したいようですが。
夕食と終え、部屋に戻りチェーリアの善行について話し合った。
そして、今後に予定についても話したんだけど。
タチアナは、この国に居たいのだろうか。
まあ、知らない国に行くのは不安だけど、デズモント達とは出来るだけ距離をとっておきたいし。
そんな事も考えつつ、2つ取った宿の部屋の片方でボーっとスキルを確認したりしていると、ラシェルが部屋にやって来た。
「ん。どうしたの?」
「魔法の袋を返しに。後は、夜伽も」と少し暗い表情で言って来る。
「魔法の袋はどうだった?」
「はい。すごく便利で」
「うまく隠せるなら、持っておいてくれればいいけど」
「……、普通は奴隷に持たしたりしません」と、ラシェルは困っている感じだ。
でも「ラシェルは、普通の奴隷じゃないし」と、俺の認識を伝えるが「でも……」と、ラシェルは、少し嫌そうな感じか。
その理由を俺なりに考え「ああ。盗まれたら折檻とかあるのか。まあ、エッチな折檻くらいは許してもらいたいかな」と、軽くいったのだけど「エッチな折檻ですか」と暗い表情で言われたので、冗談にならなかったと彼女の心情を配慮し、言い直す。
「あ~。そう言うのも怖いか。なら、折檻は無しで。お小言と、忠告くらいかな」
「はい。旦那様なら、あまり気にしないのかなとは思いましたが」と、ラシェルは俺の事を少しは理解しようとしてくれているようだ。
その事に気を良くしつつ「まあ、流石に魔法の袋を盗まれたりすると少し痛いけどね。でも、その内格納箱スキルは取得してもらうつもりだし」と言うと「私が、ですか?」と、驚いている。
なので、軽く考えてもらう為に「3人ともかな。まあ、先達の残してくれている資産次第ではあるけど」と言うと「旦那様は、やっぱり普通ではないんですね」と、何故か暗い表情で言われてしまった。
その理由が理解できず「でも、強くなる為には必要な事で、当たり前の事だと思っているのだけど」と言ってラシェルの様子を見ると「それは、そうかもしれません」と言って、ラシェルは少し暗い表情まま俺の横に座ってくる。
「夜伽もって言っていたけど、大丈夫なの?」
「はい。頂いた薬のお陰で傷みは無いので」
「心は大丈夫?」
「えっ」
「長く関係を続ける為には、無理も駄目だと思うよ」
「私なんかに、そこまで気を使わなくても」と、ラシェルは恐縮しながら言って来るが、「ラシェルにふられない為には当然の配慮だと思うけど」と当たり前のことを言ったのだけど。
「……、私は奴隷です」と言い返されてしまった。
まあ、確かに奴隷との関係は難しいと教えてもらったけど、でも諦めきれずに「ラシェルは俺の女でもある」とハッキリと言っておく。
すると「旦那様の女で無くなったら、配慮は無くなるのですか?」と聞いて来るので「そうだね。まあ、物として取り扱うかどうかは兎も角、ここまで配慮はしないだろうね」と真面目に答える。
「何故ですか。何故、そんな面倒な事を」と、ラシェルは少し声を荒げて聞いて来る。
なので、ここはキッチリと気持ちや理由を伝えておく事にする。
「理由はいくつかあるよ。
まだ話せない事もあるけど。
まあ、話せる事から言うとすると、ラシェルは好みのタイプ。
出来れば、普通に愛されたい、は無理だとしても、普通に近い感じで愛されたい。
後は、気を使ってくれているのが分かるから、俺もそれをお返ししているとかかな。
他には、俺が単純に小心者だから奴隷の扱いが下手というのもあるだろうし、手探りで関係を作ろうとしているのだって影響しているか」
「旦那様は……」と、ラシェルは何か言いたい事を飲み込んだようだ。
言わなかったと言う事は俺の悪口なんだろうけど。
「俺はラシェルの主人として、色々と問題ありそうだね」
俺がそう言うと、黙ってベッドに横たわるラシェル。
「いいの? 狼になっちゃうよ」
「はい。私を好きにしてください」
ホホを染めながら照れての発言ではなく、少し険しい顔をしてのラシェルの発言。
百能で確認しても、まだ相思相愛ではないってハッキリしているからな。
でも、優しくキスをして、彼女を求めさせてもらった。
ラシェルとの関係は、まだ上手く行っていない。
それでも、前に進んでいると思いたいですね。




