第146話 予定と嘘とお小遣い
主人公は、辺境伯領からある程度離れた魔飛行船の発着場のある都市へと到着し、その冒険者ギルドへと行きました。
都市の周りの状況等を教わり、お勧めの宿も聞いた様です。
冒険者ギルドの受付で幾つかの情報を聞いて、お薦めの宿を紹介してもらって皆の元に戻った。
そして薦めてもらった宿を取り、先ずは今後の予定を決めておく事にする。
と言う事で、森のドングリ亭と言う宿に2部屋とった。
勿論、防音のちゃんとしていそうな部屋。
まあ、その分高くて、1泊4人で8000GAZUだけどね。
なんて言うか、この世界の宿は高めだ。
文化・科学技術レベルが違うからしょうがないんだろうけど、朝晩食事つき、風呂無し、トイレ共同で、この値段だからな。
でも、とりあえず3日程借りる事にした。
今は俺の方の部屋に集まり、これからの予定を皆と話しながら決める事にした。
「これからの大まかな予定だけど、南東の平原に4人で狩りに行ってみようと思う。
出来れば、そこでラシェルとチェーリアの最低限のレベルアップ。
それとは別に、3人で接近戦の訓練もしてもらう事になるかな」
「3人で、なのですか?」と、ラシェルが不思議そうに聞いて来るので嘘の説明をする事に。
「ああ。俺は、先達たちが隠したマジックアイテムを回収してこようと思っている」
この嘘は、俺が戦利品向上スキルを持っていて、宝玉関係のマジックアイテムも潤沢に得られるかもしれないから、その得た宝玉を彼女達にも遠慮なく使う為に、どう説明すれば良いかと考えた嘘だ。
勿論、この嘘情報を知られると、捕まって拷問され隠し場所を聞き出されるって心配も出て来るのだけど、戦利品向上スキル持ちと思われるよりはましだろうとの判断で造った嘘。
その嘘を聞いて「隠してあるのですか?」と、不思議そうにしているラシェル。
「ああ。何十代にもわたり引き継ぐべきモノだから、持ち運ぶのも危険かという話になったようで、都市の近くとかに決まった法則で隠してあるんだ。
その中で、俺達に有用そうな物を使わせてもらおうと思っている」
俺がそう言うと「使って大丈夫なんですか?」と、ラシェルは心配そうに聞いて来る。
「強くなったら返さないと駄目だけどね。出来れば増やして」
「ああ。そう言う感じなんですか」と、ラシェルは使った場合の問題を聞くと安心した感じにある。
「まあ、そんな感じだから、隠し場所を見つけても何もない事もあるし、後輩の為に返さないと駄目って言う微妙な部分もあるけど、急いで強くなりたいから、この周りの都市で探して来ようと思っている。
その空いた時間に、3人にはスキル取得の為の訓練をしてもらおうかと」
「そういう事か。なら、私が指導すれば良いの?」
「ああ。タチアナ。二人を御願いね。
で、今日は必要な物を買って来てもらおうかな。
俺は俺で、奴隷商とかチェックして来ようと思っているし」
「そうなんですね」とラシェルは俺の奴隷商巡りが少し嫌そうかな。
まあ、俺を独占したいと思っていて欲しいと言う俺の願望がそう見せているだけなんだろうけど。
そんな事も思いつつ「4人で武器防具は見た方が良いのかな?」と、皆に聞いてみる。
「今ある武器でも十分だけど」
そう言いつつ、タチアナがラシェルとチェーリアを見ると、二人も頷いている。
「なら、俺が予備の武器を見ておくだけで良いか。
後は、魔法の袋をどうするか、か」
そう言うと「魔法の袋持っているんだ」と、タチアナは驚いている。
「ああ。小と中を誰に貸し出そうかなって」
「……、私は大丈夫だよ」と、遠慮気味にタチアナは言って来る。
「なら、時間も止まるタイプの中をラシェルに持たせるから、魔法の袋とバレない様に3人で上手く使って」
そう言って、魔法の袋(中、時間停止)をラシェルに渡す。
「私‥‥‥なんですか」とラシェルは恐縮しているので。
「ラシェルは、もう俺の女でしょ。上手に、隠してね」
そう言うと、ラシェルは複雑な表情で魔法の袋を抱え込む。
まあ、高価だからな。
それとも、俺の女だって言うのが嫌なんだろうか。
まあ、気にしてもしょうがない事だけど。
そう思いつつ「後は、これもか」と言って、3人にそれぞれ硬硬貨1枚、ミスリル貨5枚、大銀貨10枚、銀貨20枚を渡す。
すると「えっ。私も」とタチアナも驚いている。
「お金、持って来ていないんでしょ」
「あ。ありがとう」
「まあ、タチアナも俺の女だしね」
そう言うと、微妙な顔だ。
素直に、認めて頼ってくれたらいいのに。
そう思っていると今度は「私は未だなんだけど、私にもなの?」とチェーリアが聞いて来る。
「チェーリアも俺の女候補でしょ。区別させてもらう処は区別するけど、服とかに差をつける気はないからね」
「うん」と、結局チェーリアも複雑そうに受け取っている。
「にしても金額が多いと思うのですが」と、今度はラシェルが言って来るので。
「まあ、残ったらお小遣いとして持っていて。
服とか、夜着とか、綺麗な方が俺も嬉しいし。
まあ、目立つと変な奴に目をつけられるかもしれないから、綺麗で居るのは俺の前だけにしてほしいけど」
そう言うと、複雑そうな3人。
それぞれ考えている事は違いそうだけど。
「後は、3人でまとまって行動してほしいかな。奴隷の身分だと、トラブルになると弱そうだから」
「そっか。そうだね。私が一緒に居る事にする」
「お願いね」
そう話を閉めて、4人で宿から出かけた。
主人公は、綺麗になってもらいたくてお金を渡したようですが。




