第14話 レベルアップとスキル取得
主人公は恩恵が覚醒し、スキルも得たことにより危機を回避したようです。
神って感じの存在と邂逅し、封印されていた力・取得を阻害されていた力を得てネイルベアの首を切り落とせた。
その事にホッとしてしまったが、今日中にやるべき事をやらないとな。
そう気持ちを切り替えていると、目の前のネイルベアが掻き消え、魔石と毛皮が残る。
この世界では、魔物を倒すと有用な部位だけ残り、他の部分は消え去る。
今まで当たり前だったけど、前世の知識からすると凄いな。
まあ、そういう風に世界の理が創られているだけなんだろうけど、中型トラック位ある魔物から戦利品を剥ぎ取る手間が無いのは助かる。
ちなみに、人や動物は、普通に死骸が残る。
なので、魔物に死骸を食べられたりする訳だけど。
と言うか、これは人族の為の理なのかな。
戦利品の剥ぎ取りに掛かる手間が無いから、短期間に大量の魔物も倒しても戦利品を効率よく得られるわけだし。
そんな事も考えつつ戦利品を改めて見ると、倒したネイルベアは魔石と毛皮となって地面に落ちている。
ちなみに、数時間は魔力による保護膜みたいなものが張られていて土まみれになったりはしないので、戦利人の肉なんかが地面に落ちていても大丈夫だ。
しかし、巨大なネイルベアの戦利品であるネイルベアの毛皮はデカイ。
なので、とりあえずもう一つの戦利品である魔石だけ取り上げてバックに入れる。
ネイルベアはG、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSと10ランクある魔物の強さのランクの中でもDランクの魔物。
A以上の魔物になると多くの人族にとっては災害レベルであり、それらのランクを無視して確認すれば分かのだが、人が対処できる魔物の中ではそれなりに強い魔物で、魔石も小指の第一関節から上くらいの大きさだ。
売ると、それなりの値段になりそうだし、燃料として使えば日持ちはしそうだ。
そう。
魔物が極一部の例外を除き心臓等の位置に持つ濃い紫色の丸い石に見える魔石は、この世界のエネルギーでもある。
その中に高純度の魔力を秘めているからだ。
その魔力を取り出し、火とか光とかに変えて生活に役立てる事が出来る魔石コンロとか魔石ランプとかを造れる魔機工学と言うスキルを持つ人が居るので、魔石は人族にとって重要なエネルギー源になっている。
他にも、魔飛行船とかが魔石の力を利用して空を飛んだりするのだったかな。
そんな事も思い出したが、今は戦利品に思考を戻す。
毛皮も貴重だから後で取りに来られる様なら来よう。
そう決めて、まだ後ろで座り込んでいる連中について考える。
このまま、この連中を見捨てるのも、と思ったので声かける事にした。
「俺はいったん村に帰る。
ついて来る者は付いてきた方が良いだろう」
「ちょっと待って。動けないよ」と腰を抜かしているみたいに言ってくる娘も居るが、過酷なこの世界に生きる者はそんなに弱者では無い筈だ。
「そんな事言って、また襲われたらどうするんだ」
新しく得たスキルに探索スキルがあり、それを使用する事により、この近くに強い魔物は居ないと確認はしたが、それは言わずに自分で動けと冷たく言い放っておく。
「せ、せめて私をおんぶして行ってよ」と、村長の孫が言ってくるが。
「必要なら助け合えよ。
俺の手を塞いで、魔物に襲われたらどうするんだ」
そう言うと、女性陣だけで慰め合い、直ぐに立ち上がり始める。
やっぱり嘘か。
嫌な連中だ。
親父の妻候補だった女性達が後ろについて来ているのを確認しながら、目の前に表示される半透明のメッセージに対し答える事にする。
と言うのも、ネイルベアを倒した事によりレベルが14から17と3つ上がり、スキルを新たに6個取得出来る様になったからだ。
その結果『スキルを取得しますか。はい/いいえ』と言う選択肢が目の前に表示されている。
まあ、後でステータスと念じる事で表示されるステータスウィンドウを表示し、更にメニューと念じる事で各種メニューを表示させて『スキル取得』を選択したり、スキルを取得すると念じるだけで、再度取得するスキルを選べるらしいが。
勿論、移動しながらそんな事をするのは意識が他に移るから危険なのだろうけど、魔物への警戒は上級探索スキルを使い視界の隅にレーダーを表示する事を選択し実行しているので、魔物に襲われる心配は少ない。
なので、今の内にスキルを取得しておくことにする。
そこで『はい』を選択と念じると。
『農業、漁業、動物学、林業、狩人、操船、水泳、商業学、斧技、盾技、毒生成、強打、罠解除が選択できます(残り6種)』
と目の前に表示された。
さて、この世界に意識が戻って来た時に一気にスキルを取得出来た訳だけど、村の連中や世間一般に対し、どう説明をすればいいのか。
それも考えながら、農業、林業、狩人、盾技、毒生成、罠解除を取得する事にした。
本当ならもっと何を取得すべきか考えるべきなのかもしれないが、今の俺なら魔物を倒してレベルアップは難しくないので、時間を掛けずに決めた。
後は、取得したスキルをスキルスロットに装備できる数も3つ増えているので、今度はステータスと念じ、ステータスウィンドウを表示する。
そのウィンドウ内にメニューと言う表示があり、それを選択と意識すると、様々なメニューが表示される。
その中からスキル装備を選択し、装備中スキルと、装備待機中のスキルを見ながら、下級水魔法、中級生活魔法、中級鑑定スキルを装備する。
後は、恩恵:百能の方をどうすべきかと考え始めた処で後ろから声が掛かる。
「ねえ。あんたスキルが得られなかったんじゃないの」
そう、同い年で幼馴染だった村長の孫のエイリーンが聞いて来る。
昔は金髪に青い瞳の愛らしい子供だったが、今では多少美人かもしれないがキツイ目をした嫌な女だ。
だからと言う訳では無いが、異常だと思われない程度に嘘を付く事に。
「戦闘系のスキルはな」
「えっ。だって」とエイリーンは驚いている。
あれだけ『スキルが得られない無能』って蔑まれていたのに、スキルを持っているのを隠していたと言うと不自然になるか。
でも、言い訳は考えてあるので、それを告げる。
「村で一生農業をするなんて嫌だったから、戦闘系のスキルが得られるまで無能のふりをしていただけさ」
「そ。そんな。村人の義務を何だと思っているの」
「お前の家が、そんな偉そうな事言えると思っているかよ」
そう言いながら睨むと、意味が分からないって顔をしている。
本当に知らないのか、惚けているのかは分からないが、無視して足を速めて進んでいると村が見えてきた。
主人公の住んでいた村には、良くない事実がありそうです。




