第132話 呪い?
主人公達は、村ぐるみの強盗団に襲われた感じです。
一応、風の護りで身を守り、やり過ごすと言う形で平和的に行こうとした様ですが、向こうにはその善意が伝わらなかった様で。
こちらを襲う気満々の強盗達。
一応、風の護りで身を守り、やり過ごそうとしたんだけど諦めそうにない。
と言うか頭が悪すぎて、こちらが気を使ってやったのも気が付いていない。
なら、善人で行くのは諦めよう。
そう決めてゴーレムを止め、風の護りに守られつつ奴らの前に立つ。
「お前ら死ぬ覚悟はあるんだな」と一応確認すると。
「行商人如きが、偉そうに」
「死ね」
「門の使用料も払わず、ヤーミア村を通り過ぎやがって」
「女が居ればもっと良かったがな」
「大した物はなさそうだが、荷馬車は良さそうだ」
そんな理由で、人を殺すんだ。
しかも、馬車を守る風の護りが使えると言う事は、風魔法の上級者。
多弾頭化し自動追尾機能すら付いた風弾すら使えると言う事すら分かっていないのか。
「今、俺達を護っているのは風の護り。
当然、風魔法で君らを殺せるんだけどね。
こんな風に」
そう言って風弾を発生させ、全員の足を切り離す。
痛いとか叫んでいるが知るか。
「な、何で」とリーダーらしき奴が言っているので答えてやる。
「ありきたりな言葉なんだけど、人を殺そうとするなら殺される覚悟が必要だろうね。
当然、逆襲で殺される事もあるんだから。
最も、俺達は殺そうとしていなかったけど、殺されそうになったけど」
「違う。俺達は、ただ脅していただけで」
「こ、子供がいるんだ」
「つ、妻が待っているんだ」
「バラレルが楽な仕事だって言うから」
「今更そんな言い訳なんだ。
大丈夫、殺人者の称号が付く事も覚悟したから。
32人だから最大96日か。
まあ、しょうがない」
通常タイプの火弾を燃焼タイプに変えて、打ち込むと苦しみながら死んでいく。
俺は残酷だね。
でも、『生まれ変わった時には、こんな事をしない様に』と言う思いも込めてあるけど偽善だな。
動かなくなった奴に、今度は高温タイプの燃焼型にして火弾を打ち込み、骨も残さない様に。
これで残るのは灰と焼け跡だけだろう。
馬車に戻ると、震える声で声を掛けてきたのはチェーリアだった。
「容赦……、しないんだ」
「あいつらが生きていても人族の為にはならない」
「でも、脅していただけだって」とタチアナも眉をひそめながら言って来るが。
「俺のステータスウィンドウに殺人者の称号は付いていない。
正直、32人もいたから、数人は殺意が無く世界の理で認められる正当防衛にならないかと思っていたんだけどね」
そう言うと、全員が何も言わない。
ステータスウィンドウを他人にも見える可視モードにし「まあ、俺は偽装できるから、皆に見せる事に意味ないかもしれないけど」と言って皆に見せる。
「そうだね。先に進もう」とステータスウィンドウを確認したタチアナが言ってくれたので、先に進む事にした。
荷馬車で次の目的地へ向かっているが、後ろは複雑そうかな。
いや。タチアナはしょうがないと、気持ちを切り替えているか。
ラシェルとチェーリアは、主人の容赦ない一面を見てビビっている感じか。
でも、ラシェルはそれ程でもなさそう。
今まで反抗的だったチェーリアの方は、結構ショックだったみたいだけど。
俺がアッサリ人を殺したので、微妙な雰囲気になり、しばらく黙って進んでいる。
なので、さっきの事について考えてしまうのだけど。
なんて言うか、おかしい気がする。
人族の為にならない?
そんな事で、32人も皆殺しにするような人だったかな。
俺。
いや。
もう一回程度確認して駄目なら皆殺しにしたかもしれないけど、人族の為にならないから、なんて考えなかったと思う。
……。
神様に転生しろって言われた時に、最後まで嫌がったからな。
人族なんて滅びればいいって。
だから、神様が恩恵:百能に人族が滅びなくて済む様に行動しろって思考操作を入れてある可能性があるのか。
そんなの呪だろう。
いや。
理由は分からないが、何時の間にかこの世界の人格ではなく、前世の人格が強くなってきている気がする。
人権とか、世界平和とか、一通り教育を受けてる人格がメインになり、ああいう行為が許せなくなって出た言葉と言う可能性も有るのか。
まあ、前世の知識が影響しているのは間違いないのだろうけど、前世でも過剰防衛って言われそうだし、『社会の為に、皆が滅びなくて済む為に俺も頑張らないと』なんて前世で考えたことがあっただろうか。
神様が送り出す前に、好きに生きればいいなんて言っていた気がするが、神の価値観だと多少の思考操作をされた程度だと『自由に生きている』になる、とかありそうだし、あれを真に受けるのは愚かか。
そんな事を考えていると、ラシェルが声を掛けて来た。
「旦那様は、間違っていません。ですから、落ち込む必要はないです」
なんて言うか、ラシェルは気を使い過ぎていて可愛そうかな。
と言うか、気を使い過ぎで、大丈夫かな。
「ありがとう。でも、落ち込んでいると言うより違和感があってね」
「えっ。違和感ですか」とラシェルは考えても居なかった返答だった様で驚いている。
まあ、意味が通じる訳が無いか。
「うん。俺は『人族の為にならない』なんて言って強盗を皆殺しにするタイプだったかなって」
「……、確かにあの人達の横暴を我慢した上とは言え、アッサリ殺すんだなとは思いましたけど。
手足を燃やすだけでも良かったですし」
「あいつらに頭に来ていたのは間違いないし、殺しておいた方が復讐の可能性は減りそうだし、切れれば後先考えないタイプではあると思うんだけど。
でも、なんか呪でも掛けられているのかなって、考えていたんだよね」
「呪、ですか」
「人族の為にならない奴らを皆殺しにしろ、って呪でも掛けられているのかなって」
「だ、誰にそんな呪を」と、ラシェルは少し脅えている感じ。
呪は、確かに怖いものだからな。
「俺が簡単に取得出来る農業スキルすら取得に数年必要だったって言う呪と一緒だと考えると、神様って事になるんだろうけどね」
そう微妙に真実を織り込みつつ言うと、ラシェルは複雑そうに黙ってしまった。
「まあ、俺の意思で殺したのを他の存在の所為にするのも良くないんだけど。
でも、独善は危険だって知っている筈の俺が、あんな事を言って人を消滅させるなんてね」
「その。あまり気にされない方が良いと思います」と、やはりラシェルは気を使ってくれている。
「ありがとう。
でも、俺の性質が、人族の為にならない者なら容赦せずに殺すと言うのなら、それを意識して、暴走しない様にしないとな、って思っていたんだよ。
それが、落ち込んでいたように見えたみたいだね」
「申し訳ありません」
「いや。俺の方がありがとうだから」
そうラシェルにお礼を言っていると「貴方は、転生者なの?」とタチアナが聞いて来た。
こんな価値観を話していたら、そう思われるか。
でも、まだ真実を話すべき時ではないよな。
そう判断し、嘘をいう事に。
「転生者なら、生まれついて強力なスキルを1個か2個持っているんでしょ。
もしそうなら、あんな惨めな生活はしなくて済んだと思うよ」
「そっか。そうだよね」
そう言っているタチアナは半信半疑か。
まあ、しょうがない。
「魔素だまりを見つけた。周りに盗賊団はいない様だから行って来る」
そう言って、魔物との戦いに逃げる事にした。
主人公は、本当に神に呪いに似た何かを掛けられているのでしょうか。




