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第130話 微妙な関係

 主人公は、剣・槍・体術の道場で鍛えていたタチアナに、ラシェルを鍛えてくれとお願いしました。

 それに対し、タチアナが質問してきたので答えるようです。

 タチアナにラシェルの教育を御願いすると「貴方はどうするの?」との質問。


 なので、俺の状況や認識を知ってもらう為に、それに答える事にする。


 「まずは、俺が強くならないとね。

  その為に時間を使いたいかな。

  それに関連する事だけど、街道沿いにDからCランクの魔物が居る程度の魔素だまりがあったら、俺一人で狩りに行くから」


 本当は、CからBランクを狙うつもりだけど、今後タチアナが俺達とは別の道へ進む事も考えて、力を隠しておく。


 「一人で、なの?」と、タチアナは眉をひそめながら確認してくる。


 俺を心配しているのか、自分も連れて行って欲しいのか。


 その辺が分からないので、こちらから理由を説明する。


 「ああ。余裕が無い。

  俺だけなら、全力で走れば、それ程馬車の移動スピードを下げずに討伐に行けるからね。

  それで運が良ければ、万能草とか魔力草も数本程度は手に入るし」


 「そう言えば、私達はパーティメンバーになっていませんけど、これは良いのですか?」と、ラシェルが俺が戦いに行くと言う話に関連し、気になっている事を聞いてきたようだ。


 「ああ。それは、ステータスウィンドウからパーティメンバーと設定すると、魔物を倒した時に経験値を共有出来るのと関連するのか、探索スキルで薄っすら力の繋がりが見えるんだよね。

  それで、俺の関係者だとデズモントに刻印される事を想定して、パーティ設定をしていないんだけど」


 「そういう事なんですか」と、ラシェルが想像していなかった返答だったようで少し驚いている。


 「そう。だから、もうしばらくはパーティを組まずに行く事になるかな。

  で、俺は丁度良い魔力だまりを見つけたら、そこに突撃するから。

  ゴーレムには、スピードを半分くらいに落とし、そのまま道なりに進むように指示しておくから、最悪の場合は馬車を捨てて逃げてね」


 「戦わずに逃げなければならない様な魔物が来たら、逃げられないと思うけど」と、タチアナは眉をひそめながら言って来るので説明しておく。


 「ああ。探索範囲内に馬車が居る様にするから、すぐ戻っては来るけど、10分くらいはかかるかもしれないし」


 「ああ。私達の方も感知はしているのね」と、タチアナは時間稼ぎをすれば俺が戻ってくると理解してくれたようだ。


 「そうだよ。まだ、2人は弱いしね。それで追加のこれだよ」


 そう言って上級エリクサー(良)をラシェルに渡し、荷馬車に座っているチェーリアに渡してもらう。


 「それで治療は終わると思うよ」


 そう言うと、エリクサーを一気に飲みほすチェーリア。


 そして、自分の体の状態を確認している。


 「筋肉とか落ちている感じかな」


 「あ。うん。大丈夫」と、やっぱりチェーリアでも嬉しそうにしている。


 まあ、ステータス制が導入されているから、手とか足とかが細くなっていても、ある程度は動けるはずだけど。


 ああ。状態異常扱いで、手足が弱っている可能性もあるのか。


 「ステータスウィンドウに状態異常とかある?」


 「ないよ」


 「そっか。ならチェーリアも、武器について話し合って決めればいいよ。

  剣技と盾技は持っているのを知っているけど、他の武器とかも実際に軽く振ってみてもいいし」


 そう言うと「でも、私達は奴隷ですから後回しで良いのでは」と、ラシェルは気を使って来る。


 「ああ。でも、俺の武器だからね。どちらが優先って言っても微妙でしょ」


 そう言うと「……、タチアナ様は旦那様の恋人では無いのですか?」と、ラシェルが少し聞き難そうに聞いてくる。


 「えっ。そうなの?」と俺が驚いていると。


 「違うわよ」と、タチアナがジト目で見て来る。


 でも、それは無視して「……、まあ、その辺は微妙な関係って事かな」と言っておくと。


 「ち、違うでしょ」と、タチアナが困り始めた。


 いや。


 違うんなら、落ち着いてキッチリ否定しろよ。


 ああ。


 あの勝った人に嫁ぐとか言う約束が頭にあるのか。


 そう勝手に納得していると「何となく、分かりました」と、ラシェルは少し拗ねた感じにみえる。


 「ホントに?」と言って、タチアナはラシェルに念を押している。


 しかし「否定も肯定も出来ない微妙な関係ですよね」とラシェルが言い切ると「いや。否定しているでしょ」と、タチアナは少しオロオロしながら返事をする。


 すると「でも、困った時に旦那様の所に来ました」とラシェルがバッサリと切り捨てる。


 するとタチアナは黙ってしまった。


 ふ~ん。


 強い上に、貴族と言ったしがらみがなく、敵討ちに何らかの形で利用できると思ったから俺の下に来たのだと思っていたのだけど。


 なるほど。微妙な関係であっている様だ。


 少しギスギスした感じになった荷馬車の方をスルーし、探索を広範囲で行う。


 うん。魔素だまりはある。


 でも、北側の森は木の密度が高く、魔素も濃く、魔物が強そうだ。


 今の俺は止めておいた方がいいだろう。


 南側の森は、領都から見ると西にあった森。


 その北の果てになるのかな。


 木々の間隔はある程度あるし、魔物の強さもそれ程ではない。


 だけど、街道から俺が走って行って魔物を倒せる距離には、あまり強いのは居ないな。


 しばらく進めば、あるかもしれないか。


 俺は意識的に、女性達の微妙な雰囲気に触れない様にしながら戦いへと意識を向ける事にした。

 女性達3人の関係はどうなるのでしょう。

 主人公とタチアナの関係も、ですが。

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