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第127話 便利な裁縫スキル

 買い物をし、荷馬車を受け取り、騎士団に脅迫され、師匠の娘に助けを求められ、師匠の蘇生に挑戦して失敗し、領都を逃げだし、滅びた生まれ故郷に色々と考えさせられた一日を終え、新たな一日が始まるようです。

 色々とあり過ぎた次の日も、移動し続けた。


 生き物の馬と違って、ゴーレムだから、休憩無しで夜中も走り続けられる。


 まあ、魔物には襲われるけどね。


 と言っても、街道沿いは空間に満ちる魔力である魔素が薄いので、運悪く遭遇しない限り大した魔物は居ない。


 一匹なら水魔法で。


 複数なら火魔法で倒していく。


 主に遭遇する魔物は、ファングマウス。


 牙が発達したネズミだ。


 昼間は地下で寝ていて戦う事は少ないのに、夜になると活動的になるネズミの魔物と戦いになってしまう。


 まあ、Gランクの魔物なので弱く、戦いと言うより虐殺で、魔法で仕留めて魔石を回収するだけなんだけどね。


 他にも、夜行性だと思われるネイルアウル(爪で武装したフクロウ)二匹にも襲われたが、探索でも察知スキルでも感知出来たので、何とかなった。


 静かに滑空して死角から襲ってくる大きな鳥の魔物。


 馬車で移動しながら、それを感知出来なかった状況を想像し背筋がゾッとしてしまい、感知系を鍛える必要性を改めて感じた夜の移動だった。



 日が昇り、しばらくすると、タチアナとラシェルは起きて来た。


 「旦那様。寝ずに移動していたのですか」と、ラシェルが申し訳なさそうに言って来る。


 「ああ。出来るだけ早く、辺境伯領からは出たいからね。

  だけど、最短距離の北へ向かうのではなく、西に向かっているから」


 「そうなんだ。と言う事は、ヌードラ川沿いに出て、そこから北上して公爵領へ向かうと言う事?」


 そうタチアナの方が聞いて来るので、一応謝っておこう。


 「そう言う事。勝手に進路を決めて申し訳なかったけどね」


 そう言うと、タチアナとラシェルが顔を見合わせて。


 「その辺の判断は、旦那様にお任せしますから」と、ラシェルが何故そんな事で謝るのだろうと言った感じで不思議そうに言われる。


 リーダーに委任って感じなのかな。


 正直、この選択に自信は無いので皆に意見を聞きたかったんだけど、寝てたから勝手に決めたんだよね。


 だから、謝ったんだけど。


 ちなみに、大河の向こう側は別の国。


 なので、大河沿いに北へ向かえば、何処かで隣国へ逃げるチャンスが無いかなと言う安易な考えなんだよな。


 「分岐とかが無いのなら、私が見ていますが」と、ラシェルが気を使って言ってくれるので、それに甘える事にする。


 「そうだね。少しだけ寝させてもらおう」


 そう言って、3人の方を振り向くとタチアナは着の身着のまま。


 武器すら持っていない。


 「あ~、逃げ出す時に、何も持ってこられなかったのか」


 「ごめんなさい」と、素直に謝られたので、幾つか力をばらす事になっても彼女に必要な物を渡す事にする。


 「ちょっと待って。造るし、選別して渡しておくから。その前に3人にも生活魔法の洗浄を掛けておくか」と、起きて来たけど会話を黙って聞いていたチェーリアを含め、全員に洗浄を掛ける。


 水蒸気がしばらく4人の周りをまわっていたかと思うと掻き消えた。


 「後は、これか」と買ったばかりの鉄ミスリルの剣Gグレード2を渡す。


 「鋼鉄の剣? いや、鉄ミスリルの剣か」


 「鋼鉄の剣に見えるけど鉄ミスリルの剣のGグレード2だね。

  まあ、ミスリルは25%程度らしいけど。

  とりあえず、身を守る為に貸すと言う事で」


 「ありがとう」


 「後は」と言って裁縫スキルを起動し、タチアナをゆっくり見て採寸し、女性用のインナーをキラープラントの材木の植物繊維を変質させて作り、魔獣の革鎧をネイルベアの毛皮で造る。


 あまり良い材質は目立ちそうだし、しばらく前線で戦ってもらうつもりもないしと、その程度にしておいた。


 すると「何で私をイヤラシイ目で見たの?」とタチアナからクレームが入る。


 「はあ。秘密事項だけど、下級で裁縫スキル持っているんだよ。スキルの力で型を取って、格納箱内でインナーと革鎧を造っているんだよ」と、誤解されたままも困るので、ちゃんと説明する。


 すると想定外の返事だったようで、タチアナは結構驚いている。


 「ラシェルと、チェーリアにも造らないと駄目なんだけど、まだ戦闘に出すつもりが無いから、微妙か」


 そう言うと「旦那様、私にもいただけるのなら」と、ラシェルに欲しいと言われて改めて考えると、街道沿いにだって魔物は出るし、やはり必要か。


 「そっか。まあ、逃避行中で不安だろうしね。

  チェーリアは、まだインナーだけか。

  いや、全部作って着られる物だけでも、着ておいた方が安心か。

  後はこれだね」


 そう言って、上級エリクサーの良をラシェルに渡し、荷馬車の椅子に座っているチェーリアに渡してもらう。


 「これ。また良いモノなんだ」と、チェーリアは魔法薬ビンを見て良いモノと気が付いたようだ。


 「ああ。逃亡中だからね。

  君を置いて逃げる訳にもいかないだろうし、自分で走れるようになってもらった方がいいだろう。

  余裕が無くて気が付かなかったんだけど、昨日から上級を飲ましていれば良かったんだけどね」


 俺の説明を聞いた後、エリクサーを飲んだチェーリアの右足は、足首程度まで治った。


 「これで、昼には足の治療は終わるかな。さて、これを」と言って、皆に格納箱から出したインナーと革鎧を渡す。


 サイズ変更の付与魔術が付いていないから、着やすい軽装鎧と、伸び縮みするインナーを作ってみた。


 それをここで着ようか悩んでいる三人に「ホロを閉めて着たいのなら着ればいいよ」と言うと、ホロを閉めて着替え始める。


 ちゃんと、ラシェルがチェーリアの着付けもしている様だ。


 防具に身を包んだラシェルが御者台に来たので、馬車のスピードを少し上げてから後ろの荷台に行き、自分用の布団を出して寝る準備をし、少しの間休ませてもらう事にした。

 耐久ステータスが高い主人公も、流石に逃避行で疲れ、少し休む様ですね。

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