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第124話 因縁

 主人公は、ふと思い出し「あいつは何時か俺が殺す」なんて言ってしまいました。

 当然、事情を説明しないと、ラシェルもチェーリアもタチアナにも意味は通じないでしょう。

 会話の途中に「あいつは何時か俺が殺す」と言ってしまった。


 話が急に変わり過ぎて、3人とも混乱している。


 事情は説明しておくべきか、と今日あった事を話す事に。


 「ああ。今日は色々とあり過ぎたんだ」


 「……、何があったんですか」と、ラシェルが聞いてくれたので説明を始める。


 「朝、宿を出て武器防具屋で武器を買い、その後荷馬車と馬車用のゴーレムを受け取って宿に帰ろうとしていた処を騎士団の5人に止められてね。

  話を聞いたら、俺の選択肢は、自分から領軍に入るか、拷問の上死ぬか領軍に入るかなんだってさ。

  で、イチかバチか犯罪者になってもいいから、こいつらを全滅させようって心を決めたタイミングで、道場で奴らにとっての重要人物が二人死んだって話になり、奴らが引いてくれたんだ」


 「重要人物?」


 「ああ。斥候系スキルの師匠の話だと、重要人物は4人いるので順次説明するね。

  まず、俺の前に立ちはだかった探索と刻印スキルを持ったデズモント。

  こいつは、多分俺より強い。

  後、もう一人俺の前に立ちはだかった重要人物のバルグって奴は、鑑定スキルを持っていたね。

  それで鑑定されて、俺のスキルがばらされた」


 「それが重要な力なんですか?」


 「探索で力を持ったモノを探し出し、刻印の力で印をつけて、何処にいても追いかけてきて領軍に入れると言う困った力だね。

  鑑定の方は、多分天級になったばかり位の力か。

  戦闘中でもこちらの装備中のスキルは読み取られるから、敵対程度だと力を隠していてもこちらの力を読み取られる」


 「そうなんですか」と言うラシェルは良く分かっていない様なので、更に二人について説明を続ける。


 「あいつらは、力を持つ者を無理やり領軍に入れようとしているでしょ。探索で見つけた強者を鑑定で調べて、その力が必要と思えば無理やり領軍に入れる。

  そして、それが当たり前でそれに応じない連中は拷問しても殺しても良いと思っている連中なんだ」


 そこまで言うとラシェルも『厄介で迷惑と言う意味で、重要人物なんだ』程度には理解してくれたかな。


 そんな風に皆の理解度をその表情等で確認しながら話を続ける。


 「そして、道場の方に行っていた重要人物。

  師匠に撲殺された二人の様なんだけど、1人はガリブ。

  天級の契約作成スキル持ち」


 「そ。それって無理やり奴隷契約が出来る」と、ラシェルが自分の過去を思い出したのか、心底嫌そうに呟く。


 「そういう事。まあ、会話から読み取った感じだと未だ天級になりたてくらいの様だから、無理やりと言ってもかなり弱い人だけなんだろうけどね。

  でも、赤ん坊とかなら無理やり契約できる力だ。

  そしてもう一人が闇魔法と弱体化魔法持ちのサイラスか。

  どちらも上級以上らしいから、それで弱体化されて奴隷契約とかになるのかな」


 「そ。そんな」と驚いている処を見ると、ラシェルに重要人物と言う意味は伝わった様だ。


 タチアナもチェーリアも顔をしかめているから、注意しなければならない重要人物だと思ってくれただろう。


 「その二人が死んでくれていると良いんだけどね。

  デズモントが、何個か蘇生の宝珠を管理している感じだったな。

  会話の内容からすると」


 「辺境伯領軍は、人々を無理やりに戦争に駆り出す準備を着実に進めているって事なんだ」と、タチアナが結論を纏めてくれる。


 「そういう事だね」


 「また、戦争になるんですね」と、戦争で奴隷になったラシェルが落ち込みながら言う。


 「そうならない様に、奴らを殺しておきたかったけど力不足だね。

  まあ、奴らが居なくなったら、ハーベスタル王国の方から攻めて来るのかもしれないけど」


 そう予想を告げると「……、デズモントと言う名前に聞き覚えがある」と、険しい顔で言って来るチェーリア。


 「実は、私もあります」と、同じく険しい表情のラシェル。


 「ん。どういう事?」


 そう俺が聞くとチェーリアが「父が、厄介なデズモントが攻めて来たって言っていました。私達の都市が滅ぼされる時に」と、素直に教えてくれる。


 「その頃から副騎士団長だったのかな」と、更に質問すると。


 「いえ。何人か名前は出ていたんだけど、デズモントは残酷な奴だから負けられないって言っていた」と、チェーリアは唇を噛みながら言って来る。


 親の仇みたいの思っているのかな。


 すると今度はラシェルが「私は、デズモント様、この火傷した少女どうしますかって兵士が聞いていたのを覚えています」とデズモントとの因縁を教えてくれる。


 「そうなんだ」


 「そんなのでも売れるだろうから、連れて行けって」と、ラシェルは顔をしかめながら辛そうに。


 嫌な記憶なのは当然か。


 そう思いつつ「……、全員因縁がある事になるのかな」と言うと。


 「勿論、昔の記憶なので間違っているかもしれませんが、確かにそう聞いた気がします」と、唇を噛み閉めながら言って来るラシェル。


 でも、記憶に自信が無いならあんな顔はしないだろう。


 「あたしは、間違いないと思う」と言うチェーリアには確信があるようでその表情に怒りがある。


 それを横目に「タチアナも、アイツが手に入れた昇華の宝玉を3男にあげたりしなければ、あんな目にはあわなかったのかな」とタチアナにデズモントとの因縁が有るとの認識なのか聞いてみる。


 「父を取り押さえたり止めを刺したりした二人は、デズモントのグループの人なんでしょ。

  全員因縁が有るのかもしれない」


 「そっか。なら全員奴に勝てるようにならないとな」


 そう言うと、皆それぞれ表情が引き締まった。


 俺には、戦利品向上スキル、恩恵:百能、スキル知識源泉がある。


 奴より早く強くなって、必ず泣かしてやる。

 全員に因縁のあるデズモント達。

 様々なチートな力を使いこなし、奴より早く強くなれるでしょうか。

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