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第123話 あいつは絶対に

 主人公の生まれ育った村は、魔物に襲われ滅んでいました。

 主人公の指摘通りに。

 衝撃的な事が続きましたが、逃げる事を優先する様です。

 滅びた生まれ故郷の村から離れ、先へと急ぎ進む。


 色々と思う処も、知りたいと思う事もあるが、今はあのデズモント達から逃げている途中でそれどころではない。


 追っ手を注意しながら先へと進みノーボス町に着いた時には、もう暗くなっていて城壁の門は閉まっていた。


 まあ、急いで領都より離れるつもりだから、当初の予定通り町を囲う城壁の外を迂回し、次の街道まで辿り着き、その横で少し休憩をする。


 移動途中も食事やトイレ休憩や下級エリクサーでの治療はしていた。


 しかし、食事は俺が時間の止まるタイプの魔法の袋に入れてあった食事を移動しながらとっただけだし、温かいモノでも作るかと、魔石コンロを出して麦粥を造る。


 いや。肉とか野菜も入れるからリゾットか。


 皆で黙って食事を食べていると、ラシェルが聞いて来た。


 「旦那様。彼女は?」


 「ああ。それすら説明していなかったね。

  まず、この二人が配下になってもらった、奴隷のラシェルとチェーリア。

  そして、こちらが俺の剣、槍、体術の師匠の娘さんのタチアナさん」


 「それがなぜ」と、ラシェルが不思議そうに尋ねて来る。


 「彼女から聞いた話だと、彼女を妾に欲しいと思っていた辺境伯の3男、エグードとか言う奴が、今日道場へ来たらしい。

  彼女は以前、同世代で剣技の腕が自分より上の者にしか嫁がないって言っていてね。

  その3男は、昇華の宝玉を2つ手に入れて自分の剣技スキルに使い、彼女に剣での勝負で勝ちに来たんだけどさ。

  でも、それより先に俺が彼女に勝っていたんだ。

  その時に、そう言う形で俺の女にするのも問題になりそうだと、直後に師匠と勝負して負けたから彼女が俺に嫁ぐと言う話は無くなったって形にしたんだけど。

  そう言う事があったから、剣の勝負に負けた人に彼女が嫁ぐと言う事は無くなったって思っていたんだけど……」


 「そうなのですか。でも」と、ラシェルはタチアナに対し少し労わる視線を向けて話の続きを催促してくる。


 「そう。その話を聞いて3男が逆上したらしくてね。

  なら師匠に勝つと言う話になった様なんだけど、勝負の為に防具を着ている途中の師匠を護衛の騎士2人で押さえつけ、3男が剣を突き刺して勝ったって勝どきを上げたんだって。

  それでも師匠が抵抗しようとしたから、師匠を取り押さえていた二人に更に切り付けられたんだけど、師匠が彼女を逃がす為に木刀でその2人を撲殺。

  更に木刀を投げつけて3男に重傷を負わせたみたいなんだ」


 「そんな」と、ラシェルもその横で黙って話を聞いているチェーリアも驚愕の表情をしている。


 まあ、3男のやっている事は真面な人の行動じゃないし、師匠の娘への愛情故の強さも凄いし、それは驚くか。


 そう思っていると、ラシェルの表情が驚きから悲しみの表情にかわったので、説明を続ける。


 「まあ、酷い話だよね。

  彼女は、師匠のお弟子さん達に逃げるように言われて俺の処へ来たらしいんだ。

  そう言えば、他のお弟子さんたちは大丈夫なのかな?」


 そう気になった事をタチアナに聞くいておく。


 「あの道場は、レーチス公爵が前ワグスナー辺境伯との友好の印に人材を派遣している道場だから、皆レーチス公爵の庇護を受けていると思います。

  今のワグスナー辺境伯は、レーチス公爵との縁も切りたがっているとか、密偵だと疑っていると言う話もあったので、緊急時には頼るべき人達を決めてありましたから」


 えっ。じゃあ何で彼女は俺の処に来たんだろう?


 そう思っていると「では、何故あなたは旦那様の所に?」と、ラシェルが聞いてくれる。


 「私より圧倒的に強かったし、レーチス公爵に迷惑を掛けたくなかったから」と、タチアナは言い難そうに俯きながら言うが「お。俺なら良いんだ」と、思わず突っ込む。


 すると、タチアナが黙り込んだので、こちらで事情を推測する。


 すると直ぐにピンと来たので「ああ。かたき討ち迄考えると、そうなるのか」と聞いてみると「うん」との返事。


 公爵の庇護を受けたタチアナが敵討ちなんてしたら、下手をすると戦争だろうからな。


 だから、彼女が俺の元に来た事はしょうがないのか納得し、話を続けることにする。


 「そうか。で話を続けると、彼女に蘇生の宝珠を見せたら、それを師匠に使う為に脱兎のごとく駆けだしてね。

  その時の道場の様子を説明して彼女を送り込んだんだけど、蘇生には失敗したみたい」


 「その蘇生の宝珠は、本物だったの?」と、これまで黙って聞いていたチェーリアが発言して来た。


 「ええ。目の前にシステムメッセージが表示されたから、間違いない」


 俺はため息をつきながら「後、2個か3個持っていればね」と言うと、皆がしばらく黙り込んでしまった。


 蘇生の手段は、早めに手に入れないとなと思っていると突然「じゃあ、彼女もケンショウの奴隷になったんだ」と突然チェーリアが言って来る。


 「えっ。違うけど」


 「だって、蘇生の宝珠って2千万GAZUが相場だって。そんなの、2級奴隷に出来る借金でしょ」


 「ああ。契約作成スキルにより100万GAZU以上の借金だと命がけの命令以外はきかなければならない2級奴隷に出来る理なんだったか。でも、彼女とは契約作成スキルで契約していないしね」


 「でも泥棒でしょ」と、チェーリアは言って来るが。


 「ああ。俺がそう認識すれば、そうなったのかもね」


 「じゃあ、奴隷契約の出来る人を探して、そこで認識して奴隷にするんだ」と、何故かチェーリアは彼女を奴隷にするんだと言って来る。


 仲間が欲しいのかな。


 ああ。奴隷にするのがこの世界では常識なのか。


 そう思いつつも「いや。しないけど」と、ハッキリと宣言しておく。


 なのに「なんで?」と、チェーリアは納得していない。


 「あのね。彼女は恩師の娘さんなんだよ。なんで、俺が奴隷に落とさなきゃならないんだよ」


 「私達は奴隷から解放してくれないじゃない」と、チェーリアは俺に文句を言って来るが。


 「俺が奴隷にした訳では無いしね。恩師でも恩師の縁者でもないし」


 そう言うとチェーリアは俺を睨んでいるけど。


 「俺は自分の手は出来るだけ汚したくないタイプなんだろうね。

  他人が俺に関係ない人に酷い事をしている分には、何とも思わないみたいだし。

  まあ、キリがないと言うか、どうしようもないって諦めていると言って良いんだろうね。

  でも、勿論限度はある。

  あいつは何時か俺が殺す」


 「えっ」と、俺の雰囲気と話の内容が一気に変わった事でチェーリアが驚いている。


 ああ。


 まだデズモントの事を説明していないから、困惑しているのか。

 主人公は、無理やり軍に入れようとして来たデズモントに相当腹が立っている様です。

 それでも、殺すと言うのは行き過ぎの気がしますが。

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