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第103話 要望は

主人公は、二人の奴隷と自分用の食料を確保する為に、宿から買い物に出た様です。

 外の食事処で、パンに肉や野菜を鋏んだモノを6つほど確保し、木工スキルで造ったと思われる結構立派な木のポットに入った柑橘系の果物を絞ったジュースも確保。


 それで宿の部屋に戻ると、二人で楽しく話しているのかと思ったら、二人とも落ち込んでいる様に見える。


 それが心配になり「どうしたの?」と聞くと「その……。環境の変化が急すぎて、どう考えればいいのか」と、ラシェルが心情を教えてくれる。


 なので「チェーリアは?」と聞くと「どうして」と、まだ混乱している様だ。


 「体を治されて、俺に尽くすのが嫌って事?」と、聞くと「……、訳が分からないよ」との返事。


 「そうなの?」


 「私は、奴隷の奴隷になって、死ぬまで奉仕しろって。それ以外の道は無いだろうって」


 「奉仕ね。性欲のはけ口と言うか、男の奴隷にやりたければ働けってエサにされる事だよね。

  あの体で、そんな事をさせられれば、遠からず死ぬだろうに」


 「……」


 「今となっては、その容姿がバレテしまっているからね。

  奴隷の奴隷ではなく、お金持ちとか権力者の慰み者かな」


 「貴方の慰み者になれって事なんだね」


 「その辺は、チェーリア次第かな。ラシェルもそうだけど」


 「どういう意味?」と俺を睨みながらチューリアが言って来る。


 意味が分からないって感じなんだろうけど。


 「俺が君達をどう扱うかは、君達次第って事」


 「それってどういう事ですか」とラシェルも俺の発言が心配になったようで聞いて来た。


 「俺が命令しなくても、俺の為に心を尽くして働いてくれる人なら優しくするだろう。

  でも、俺に命令されないと働かない様だと、まあ、奴隷として扱うよね」


 「……、優しくしてもらえる可能性もあるんですか?」と、ラシェルは心配そうに聞いて来るので状況を理解してもらう為に俺の今の予定を話しておく。


 「ああ。ほら、ピンク発情期対策で、夜の相手は強制だから、その意味だと優しくは無いか。

  勿論、体調の悪い時とかは、言ってもらえば出来る限り配慮するけどね。

  でも、二人の体調不良まで考えると、後何人か来てもらう必要はあるのか」


 「……」


 「まあ、俺のピンク発情期が酷くなければ良いんだけど、それに期待するよりもう少し人数を増やす方が間違いがないか」


 「私は奴隷として働くので、優しくしないでもらえますか」と、良くない要求をしてくるチェーリア。


 「そうなの。でも、あまり酷いようだと、他の人に売る事も考えるから。

  まあ、チェーリアはその方が良さそうなのかな」

 

 そう言うと、チェーリアは複雑そうに黙り込んでしまう。


 売られるのは売られるので嫌だと言う感じなのだろうか。


 まあ、しばらく様子を見るしかないと気持ちを切り替え「じゃあ、折角食事を買って来たんだから3人で食べよう」と、食事を始めようとすると「わ、私は立って給仕を」と、ラシェルは働きたがって来る。


 「いや。買って来たモノを食べるだけだから、3人で座って食べよう」


 そう言って座らせて、果物のジュースをコップに注ぐのはラシェルにお願いしてから食事をさせる。


 食事がある程度進んだ処で『何の会話も無いのも』と俺から「ラシェルは、俺になんか要望はある?」と聞いてみる事にした。


 「えっ。ど、奴隷の私からの要望なんて」と、驚いている処を見ると、主人から奴隷へ要望を聞く事はあまりない事なのだろう。


 だけど、奴隷として酷い扱いをしたいのならば兎も角、ある程度円満な人間関係を作ろうと思ったら、そう言うのも必要だろうと、話を続ける事にして質問を続ける。


 「絶対に、駄目な事とか。

  可能な範囲内で美味しいものが食べたいとか。

  料理スキルを使うので、調味料はイッパイ欲しいとか」


 「……」


 「いや。夜伽が嫌だとか言われても、それは最初の約束と違うから駄目とか言うよ。

  駄目なものは駄目って言うから、要望を言ってくれていいんだけどね」


 「……、ご主人様をなんてお呼びすれば良いですか」


 「ああ。その辺にこだわりはないから、ラシェルの好きなように呼んでもいいよ。

  まあ、『おい』とか、『無能』とか問題のある呼び方なら、否定させてもらうけど」


 「では。旦那様で良いですか」


 「良いけど。なんか意味がありそうだね」


 「はい。私が子供の頃に見た2級奴隷の人達は、酷い状況でした。

  その中でも、幸せそうに見えた人が、そう主人の事を読んでいたので」


 「そっか。なら、旦那様でお願い」


 「はい」と言うラシェルは少しホッとした感じだ。


 「チェーリアは、何か要望は?」


 「どうして、奴隷の奴隷にならせてくれなかったんですか」


 「チェーリアは酷い目にあった上で死にたかったんだ」


 そう言うと黙り込んでしまった。


 「否定しないんだね」


 「……」


 「頑張っていた父と母が死に、その両親のしてきた事を否定する世界でなんて生きたくないって事?」


 そう言うと、俺を睨んできた。


 彼女との会話で話術スキルが読み取って来た彼女の心情からの予想なんだけど、ある程度正解だったのか。


 「俺は、ある人に頼まれごとをしていてね。

  それは大変そうだし、強くなる必要があるから、それを二人に手伝ってほしい。

  他にも、ピンク発情期なんて厄介の事が起こらない様に、欲望のはけ口にも」


 正確には、人ではなく神だけど、ホントの事を言うと頭がおかしい人と思われるかもしれないし、今は嘘を言うしかないだろう。


 「それが私達の仕事なんですか」と、ラシェルの方が聞いて来る。


 「そうだよ。まあ、仕事は増えるかもしれないけどね。

  でも、その合間に二人がしたい事をさせてあげられるかもしれないから、要望を一応聞いておくと言う話でもあるんだけど」


 そう言って発言を促すと、チェーリアが投げ槍に話し始めた。

 チェーリアの要望とは何なのでしょう。

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