第1話 無能と余計な事
一年の計は元旦にあり。
と言う事で、新規投降を始めてみます。
もっとも、今現在毎日投稿をしている作品があるので、そちらを休止するまでは1~4週に一回投稿程度かな。
まあ、3日まで毎日に投稿する予定ですが。
俺は、死ぬつもりだった。
目の前に居るのは、ネイルベア(爪熊)。
巨大なくせに動きが早く、状況によって大きく伸ばせる爪で武装した熊の魔物だ。
母を殺した因縁の魔物。
何のスキルも持っていない俺が戦って勝てる相手ではない。
こんなクソみたいな世界は滅びるか、俺が死んで関わり合いを絶てばいい。
いや。
封印されていた記憶が戻る前は、そんな事は考えていなかったか。
ただ、終わりにしよう。
そう思って死地へ向かった。
なのに、余計な事をする奴(神)がいた所為で。
その余計な事に感謝する日は来るのだろうか。
そんな事を考えながら、母の形見の細剣でネイルベアの首を切り落とした。
「おい、ケンショウ。今日狩りに行くから、お前も付いて来い」
そう言って来る父親に、頷いて返す。
「俺が敵わない様な魔物が出てきたら、盾になるんだぞ。
未だにスキルの一つも手に入れられない無能には、その程度の事しか出来ないんだからな。
まあ、そんな事は万に一つも無いがな」
そう言われても、反論する気も起きない。
『4年前、俺を魔物の方に突き飛ばして逃げた小心者のくせに』という事は出来る。
しかし、俺がスキルを持っていない無能者、無能力者である事も事実だ。
俺と同世代である16歳の成人を迎える頃には、皆、数個から十数個はスキルを持っていると言うのに。
理由は分からない。
周りに比べて何倍も努力したと思う。
なのに、簡単に手に入る種類のスキルすら手に入らなかった。
そして、その努力を手伝ってくれていた母が12歳の時に亡くなった。
母の死の原因の一因は、スキルを得られなかった俺にある。
母は、魔物と戦える力を持っていた。
と言うか、親父に手柄を渡していたけど、実際は村一番の稼ぎ頭だった。
だから、その力を使い、スキルが得られない俺がスキルを得る為にと、俺を都市に修行に連れて行ったり、俺が死なない様に守りながら魔物狩りに行ったりしていた。
それとは別の親父のグループでの狩りの時に、魔物の前に突き飛ばされた俺を庇って魔物と相打ちになり、そい傷が原因で母は亡くなった。
つまり、あのくそ親父と無能な俺が殺したようなものだ。
そこからは狂ったように一人で訓練をし、一人で狩れる魔物を狩りまくった。
だけど、結局スキルは得られなかった。
この世界は、魔物に満ち溢れている。
他にも、人族が敵対する魔族。
個体によって敵とも味方ともなる精霊族。
それらとの生存競争で、人族の切り札となるのがレベルアップによるステータスアップと様々な強力な力を得られるスキルだ。
なのに、その切り札の一つであるスキルを得られない俺に生きている価値はあるのだろうか。
母が亡くなった後は、以前とは比べ物にならない程、周りからは無能と蔑まれ、それでも頑張って来たけど。
16歳になり成人になった今でも、スキルは一個も得られない。
そろそろ潮時かもな。
何となく、そう考えていた。
主人公は、無能と呼ばれているようです。
当然、それには裏の事情がありそうです。
新作を始めました。
本当は二章程度まで書き上げてから投稿を開始したかったのですが、色々とあり一章しか下書きできていません。
なので、まだ固まり切っていない部分もあり、色々と変更があるかもしれません。
なお、一話1000~4500文字程度を予定しています。