ノブリス・オブリジェ(防衛大学校とは?)
制服の両袖に桜章が3個ついた。1期上の先輩達を陸海空各幹部候補生学校へと送り出して、ついに道上、天野、海倉達は、学生隊の頂点に立った。防衛大学校における学年差の序列は厳格で、最上級生として君臨する1年間は、制服人生における生涯最良の黄金の日と言っても過言ではない。4年生は学生隊のあらゆる権限を掌握し、学生舎生活の運営を牛耳っている。1期違えば虫けら同然、それ以下はアメーバーに過ぎない。と言う小原台の神話がある程である。
その4年生に道上達は進級した。防衛大学校は理系か文系かと問われれば恐らく、その専門課程やカリキュラムから判断して、理系が主の大学であると言える。社会人文学系統の文系の学部が出来たのは最近で、昔の様なゴリゴリの理系大学とは言えなくなったが、それでも大半の学生が理系学部に所属しているのが現状である。機械工学、電気工学や航空工学や土木工学、応用物理学、熱力学や応用力学と言う様な訳の分からない専門分野の科目も多く、先生(教授)が黒板に向かってひたすら書き、学生はノートに書き写すと言うスタイルが防衛大学校では多く見受けられる。
防衛大学校学生は、そのほとんどが卒業後陸海空各幹部候補生学校に入学し、約1年の幹部候補生課程を修了すると、初級幹部として部隊に配置されるが、その事は義務にはなっておらず、卒業後自衛隊に入隊しない所謂任官辞退者も毎年存在する。そうした学生には世間の風当たりも強い。
近年ではそうした任官辞退者には学費や学生手当て等の諸経費を、任官辞退者には請求する様になった。学校を卒業して直ぐに自衛隊を辞めると言う選択肢を防衛大学校学生が選ばないのは、防衛大学校の教育の中で、自主自律の精神を学ぶからである。防衛大学校を卒業して陸海空各自衛隊に行く事は、あくまでも自分の意志で決めた事であり、その気持ちが誰に言われるまでもなく芽生えて行くものなのである。
防衛大学校では、校内禁煙となっており、土日の外出時に友人と楽しむと言うのが鉄則となっている。ルールは守る。それは防衛大学校学生ではなくとも、良識ある社会人ならばきちんと守らなければならないマナーであり、節度と言うものなのである。




