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ナショナル・ディフェンス・アカデミー(NDA )~防衛大学校青春物語~陸上自衛隊幹部候補生課程~  作者: 佐久間五十六


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上官としてのメンツ

 もっと人間臭く、野性味のあるワイルドな感じである。防衛大学校学生は、確かに成績は優等で秀逸な生徒は多い。しかし、我々世間の想像する以上に、一般人と大差ない生活をしている。防衛大学校学生が毎日厳しく教育される中で、防衛大学校学生のしっかりした人間性は教育されていく事になる。防衛大学校学生も入学した当初から何でも出来た訳ではない。先輩に厳しくしごかれ、毎日必死で生活をして行く中で自然と培われて行ったものが積み重なって、ようやく習慣化されていったに過ぎないのである。

 人間には、ある程度の適応力がある。防衛大学校学生が何でもそつなくこなせるように成ったのは、この適応力を上手く利用しているからとも言える。逆を言うなれば防衛大学校学生が、何でも出来る様に、上手く教育するシステムが防衛大学校には存在する事になる。夏季定期訓練で全く游げなかった赤帽組が6㎞遠泳を完泳出来る様になるのは、その良い例であるだろう。

 出来ないものを出来ないままにしない。そうする事で、自衛官として選べる選択肢の幅を増やすと言うのが、防衛大学校の学生教育の原点にある。部下よりも劣ると言うのであると言う事は、単に上官としてのメンツが立たないと言うだけではなく、上官としての選択肢が少ない事による、可能性の縮小にも繋がってしまう。そうであっては、折角のチャンスも取り逃がしてしまう。だから出来るだけ、大きな幅を持って、努力を重ねて、出来る事を増やしていく。

 幹部になると言う事も決して楽な道のりではない事がよく分かる。防衛大学校で学べる期間はたった4年しかない。しかし、その4年で幹部として必要な知識やノウハウを習得していくのである。道上にも、ついにこの時が来た。3月を迎えて三浦半島に春の気配が漂い始めた。浦賀水道の湖の色も心なしか明るく感じられる。学年末試験は終わり、4年生への進級も決まり、春は名のみの風の冷たさと言った日である。

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