人気が集まる理由とパイロットの現状
これだけ防衛大学校に人気が集まる理由はそれなりにある。例えば防衛大学校では、その昔、大卒の資格(学士認定)を得る事が出来ず、にも関わらず大学院への受験資格得ると言う矛盾を抱えた船出であった。
しかし、大学設置基準に従った教育が認められ、今では他の私立、国公立大学と同様に学士認定(大卒資格)を得られる様になった。それだけではなく、防衛大学校は在学中学費が一切かからない。特別職国家公務員である自衛官の幹部を養成する学校である防衛大学校は、全寮制であり、学生手当ても毎月支給される。
正に待遇面では文句の付け所はない。勿論、国民の税金でそれらは賄われる訳であるが、留年は4年間で卒業までに1回だけと、他大学よりも厳しくなっている。お金をもらいながら学費も無しと言う大学は日本では防衛大学校と防衛医科大学校以外には見当たらない。
経済的に貧しい家庭も多く志願しているのは、この学校の特徴と言っても良いだろう。ただ、入学する為には、東京六大学と同等以上の学力が防衛大学校学生に成る為には、求められると言う。
天野にとっては、相当なリスクを負っての受験であった。勿論、民間機パイロットの夢も捨ててはいない。防衛大学校受験に失敗したら、位の覚悟で考えていた。勉強を進めて行けば分かるが、9教科を勉強するのは、容易な事ではない。夢の為には、と思えばいくらでも頑張れるのだが、天野は勉強が基本的に嫌いであった。
人間嫌いなものをやり続ける事ほど苦しいものは無いだろう。それでも戦闘機の飛行隊長になれるならば、頑張るしか無かった。戦闘機のパイロットになる方法はいくつかあるが、現代の日本においては、航空自衛隊に入隊する以外には方法はない。
とは言え、航空自衛隊の中でも戦闘機のパイロットになれる者は一握りしかいない。多くの人間は後方支援の為、航空管制をしたりレーダー要員や、整備要員となる。厳しい関門をクリアしても鬼教官による厳しいしごきがある。