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ナショナル・ディフェンス・アカデミー(NDA )~防衛大学校青春物語~陸上自衛隊幹部候補生課程~  作者: 佐久間五十六


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キャリアとノンキャリア

 自衛隊において、防衛大学校卒と言うのは明らかなキャリア組であり、ノンキャリアの叩き上げでは辿り着けない景色を見られる可能性が高い。それが現実である。ノンキャリアでトップの方に行けるのは航空学生や自衛隊高等専門学生(旧自衛隊生徒)上がりの人間や、防衛医科大学校出身者位のものである。ノンキャリアで辿り着けるのは三尉位まで上がるだけで精一杯である。自衛隊の制服組として上を目指すなら、防衛大学校卒業は欠かせないキャリアであると言える。

 防衛大学校を卒業してから防衛省の官僚(背広組)になる人間も極稀にいるが、背広組になれたとしても上まで行けて事務次官に成れる人間はわずかである。本当に自衛隊のトップの座を狙うなら、政治家になって内閣総理大臣を目指すのが一番である。法律上も自衛隊の最高司令官は内閣総理大臣となっている。防衛大学校はあくまでも士官候補生(自衛隊幹部)を養成する場所であって、役人や政治家を育てる場所では無い。幹部自衛官に成る為の必要な知識と技術を修得する為に4年間と言う時間があるのである。

 簡単に言うなれば、銃の使い方は教えるけれども、為政者として必要な政治学は教えないと、言い換える事が出来る。防衛大学校は、自衛隊幹部養成の為に存在する唯一無二の場所である。陸海空各自衛隊には、幹部候補生学校がそれぞれあるが、これらは防衛大学校や一般大学で学んでいる、あるいは部隊内部で学んでいると言う前提で教育をする場所であり、初級幹部としての仕上げをする場所である。自衛隊には少数だが一般大学や大学院を卒業して一般幹部候補生として入隊する人間もいる。

 彼等は、選ばれて高い倍率を潜り抜けた猛者達だが、防衛大学校で学んでいる、専門教育を受けた防衛大学校学生には、はっきり言って敵わない。それは知的水準がどうのこうのと言う事では無い。防衛大学校の4年間と一般大学の4年間ではクオリティ(質)が全く異質なものであると言う事である。一般幹部候補生(所謂B幹)を入隊させる理由は、新しい風を吹き込む事にあると言える。明らかに防衛大学校学生よりも士官候補生としての経験が劣る一般幹部候補生にあって、防衛大学校学生にはない空気を自衛隊に吹き込む狙いがあり、役目なのである。

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