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ネームプレートの色

 小隊指導官は、この様に、学生の希望に出来るだけ応え様とはするが、それが不可能だった場合に、それらしい最もな台詞で何とかなだめ様とする。それから2週間後、3月上旬に陸海空各要員が正式に発表された。道上鉄也は、陸上要員、土木工学専攻、第2外国語はドイツ語である。

 それが終わると、4年生はいよいよ卒業であり、小原台を巣立って行く。防衛大学校の卒業式には毎年内閣総理大臣が臨席し、訓示を行う。卒業式は、国家の中における防衛省・自衛隊・防衛大学校の地位、役割、防衛大学校卒業生に対する期待などを認識する良い機会である。自衛隊は憲法の私生児として誕生した事もまた事実である。卒業式の一連の行事が終わると、いよいよ見送りである。整列して見送る在校生の前を、幹部候補生徴章を襟に付けた卒業生が、隊列を組んで、挙手の礼を交わしながら次々と通り過ぎて行く。

 道上は1年間をやりきったと言う満足感と、最上級生が抜けると言う解放感に浸っている。4年生が去った後の小原台は、ガランとした空白感が漂っている。在校生は卒業式の夕方から10日間の春休みとなる。道上は一人で2泊3日の小旅行に出掛けた後、郷里である大阪に戻った。ほんの数日の帰省ではあるが家族とのふれあいは、道上に潤いを与えた。

 小原台名物の春の嵐。それは、地面をなぐように吹き、砂塵を巻き上げて行く。こいつが吹き始めると、小原台に春が来る。

 袖の桜がつき、ネームプレートも緑色から黄色に変わる。ネームプレートの色は1年生が白色、2年生が緑色、3年生が黄色、4年生が赤色である。新入生のうち何人かは小原台の空気に馴染めず、直ぐに退校する。

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