食事当番と学生隊慰霊パレード
また、防衛大学校は全寮制となっており、最大の特色とも言える。防衛大学校学生全員が、学生舎と言う寮で起居し、一室8人の共同生活である。1年から4年生の比率は部屋によってまばらである。とは言え、1年生は最下級生である為、床磨きから便所掃除まで、何でもやらなくてはならない。洗濯やアイロンがけ、靴磨き等己の事は全部自分でやる。それは、全学年共通している。
また、特定の主義主張を押し付けると言った教育は全くなく、寧ろリベラルな学校であると言える。防衛大学校=右翼と言う人間もいるが、そんな事は全くない。実体としては、左寄りではない事は当然であるが、真空中立である事を強く意識している様に思われると言う。
防衛大学校では、朝と昼は、2000人の学生が食堂で、「食事はじめ」の号令で、一緒に飯を食べる。夕食は、部活動や校友会活動に参加している為、決められた時間内に食べる事になっている。夕食は忙しいので時間ギリギリにかっ込む学生も非常に多くいると言う。また1年生は、食事当番と言うものがあり、配食だけは学生自らやる様になっている。食事時間の少し前に食堂に行って、食器にご飯やおかずを盛る。それを食事当番と言う。ただそれだけの事。
初冬の頃になると、空気が澄み大気が安定して、横須賀市街地方向に、白い富士山が見える日が多くなる。太陽が西に傾くと、校舎や人の影が地上に長く延び、やがて夕焼け空を背景に、富士山が黒い影絵の様に浮かぶ。
集会室にはテレビもあり、学生は少しでも時間があれば、少しはテレビを見たくなる。12月8日。この日だけは特別な日である。かつて、大日本帝国海軍機動部隊が真珠湾を奇襲攻撃した日であるからだ。この日だけは非常呼集のラッパで全員が起き、通称暁のパレードと呼ばれる、学生隊主催の慰霊観閲行進が行われる。夜が明けきらない黎明、学生隊は、甲武装で総合グラウンドに集合し、太平洋戦争で亡くなった英霊に対して慰霊のパレードを行う。ブラスバンド部が演奏する行進曲は、「軍艦マーチ」である。