文系も無くはないが理系中心
防衛大学校には、こんな言葉がある。上級生に成れば成るほど荷物が少なく、下級生に成れば成るほど荷物が多い…と。上級生は小さなかばん一つでとにかく軽装であるが、1年生の大半はあらゆるものをかばんに詰め込んで、大荷物を抱えて帰省する。教科書や参考書等を持ち帰っても、実際には1ページたりとも開かないのであるが。
多くの防衛大学校学生は、実家に帰省するか、中には真っ直ぐに帰省せず、小さな冒険に出る者もいる。例えば、自転車で実家に帰省するとか、この3週間強の休みの間にしか出来ない事をやる。そう言う期間としては、持ってこいの時期ではあった。道上は流石に1年目からそれをやる勇気は無かったが、2年目以降やれそうな機会があるならやりたいとも思った。
小原台には、残暑の中にも秋を感じさせる日が訪れる様になり、中期の新しい学期が始まる。秋は中間試験や、自衛隊中央式典参加、開校祭と行事がめじろ押しである。1年生もこの時期になると、団体生活に慣れ、身体も固まり、精神的にも落ち着いて、制服も板に付いてくる。
防衛大学校と言う学校がどの様な大学なのかと言う事は、実はあまり詳しくは知られていない。防衛大学校は、大学設置基準に準拠した教育を行う理系大学であるが、今は人文社会学系の文系学部も少数ではあるが存在する。以前は防衛大学校を卒業しても、大卒の資格である学士の称号は貰え無かったが、今は学士の称号を貰える様になっている。
所謂文系と呼ばれる人文社会学系の学部の場合、人文科学、社会科学、語学等が主体で、毎日4~5時間教室で授業を受けている。その後は夕方までは部活(校友会活動)をして、夜間には二時間半の自習時間がある。ここまでを見ると、一般的な大学と何が違うのかよく分からないかもしれないが、防衛大学校では、大学設置基準にプラスして、防衛学や訓練の時間が設定されている。その分一般的な大学よりも、夏休みや春休みの時間が短くなっている。2年生になると、理工学の専門課程に分かれ、機械工学や電気工学と言った、より高度な学習をしていく。




