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ナショナル・ディフェンス・アカデミー(NDA )~防衛大学校青春物語~陸上自衛隊幹部候補生課程~  作者: 佐久間五十六


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容儀点検と記念艦「三笠」

 4月一杯かけて3週間の入校時訓練が終わると、1年生も上級生に即した日常生活が出来る様になり、外見上は防衛大学校学生らしくなる。これでようやくスタートを切ったばかりの道上ではあるが、ここが一般のレジャーランド化した大学では無い事を知る為には、充分過ぎる入校時訓練であった。それと同様に自分が将来をどの様に考えなくてはならないのかも真剣に考える必要が出て来た事を実感した。

 近い将来、自分は陸海空いずれかの選択肢を選ばなくてはならない。しかし、その為には知識が全く足りていない。その事も道上はよく分かったつもりであった。中途半端な覚悟では中途半端な結果しかもたらされない。早くも大切な時期を迎えている、いや、防衛大学校においては全ての選択が人生に関わるような選択になると、言っても大げさでは無いかもしれない。まだ、寒さも残る小原台で道上はそう思っていた。

 新入生に初めて外出許可が出るのも、丁度入校時訓練が終わった頃である。容儀点検と言う儀式を乗り越えなければならないが、外出は気分転換に成るものであるから、黙って週番学生の容儀点検を受ける。最初は室単位の外出から始められる。上級生引率の元で、記念艦「三笠」に向かった。防衛大学校正門前を京急バスに乗り、馬堀海岸や猿島を右に見ながら20分ばかり走り、三笠公園入り口で下車する。すると、記念艦「三笠」の艦影が、見える。

 かつて連合艦隊旗艦であった「三笠」がこの様な形で保存されている事に道上は驚いた。「三笠」は敗戦後に、艦上で米兵相手のキャバレーが開かれ、金属部が持ち去られ、甲板のチーク材が剥ぎ取られる等、荒廃していた。これを見かねた米英の海軍関係者が、その歴史的価値を認めて復元保存運動を興し、今日の三笠公園のモニュメントとして整備されたと言う経緯がある。「三笠」の後部甲板に上がると、目の前に青い海が広がり、緩やかにカーブを描く馬堀海岸と、小原台が一幅の絵のように望まれる。

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