人のふり見て我がふり直す
ただ、勘違いして欲しくないのは、防衛大学校卒と言うエリートだから偉いと言う訳ではないと言う事である。防衛大学校卒のエリート士官だからと言って部隊で特権があると言う事はない。
ただ、進級が人より早いし、より高い地位につけると言うだけの事である。そう言う事が分かっていない防衛大学校卒のエリートは部隊に配置されてから、部下の印象がすこぶる悪い。結局自衛隊も、人間の組織である。あの上官はああだけど、あの防衛大学校卒のエリートは使えない。部下にその様なレッテルを張られてしまう事だけは、避けなければならない。
人の上に立つ人間は、それ相応の努力と工夫が必要なのである。小原台の日々は、そう言う事を防衛大学校学生に叩き込む。即戦力の人材を養成すると共に、5年後、10年後の自衛隊での中核を担うプレイヤーになっているであろう、防衛大学校学生の未来図を自らに考えさせる様な日常でもある。同じ様に与えられた時間であったとしても、結局成長の度合いは人それぞれ全く異なるものである。
人のふり見て我がふり直すと言う、ことわざがあるが、自習室で効率良く勉強する先輩の姿を見て新入生は、防衛大学校学生とはかくあるべきと察知するのである。自分で勉強すると言っても、受験勉強をする訳では無いから、新入生は要領が分からない。あれもこれも教えてくれる訳では決して無いから、聞かずとも自習時間の先輩の様子をさりげなく見ていれば、それなりにどの様な時間の使い方をしているか傾向が分かる。
19:20から21:50までの2時間30分において、30分毎に区切って様々な強化を満遍なく集中して効率良く勉強する人もいれば、一つの教科だけを2時間30分日替わりで勉強する人もいる。勉強のスタイルは個人差があるのだが、どの方法が自分にとって良いものであるかは、手探りして見るしかない。1ヶ月もする頃には、自習時間の有意義な時間の使い方が見えてくる。そうやって防衛大学校学生としての自分を確立させて行くのである。それが出来れば自分の防衛大学校学生としてのスタイルも出来て来るだろう。