ドブ板通りと一日の流れ
一ヵ所でも不備があると、外出は認められない。基本的に防衛大学校学生は、アイロン掛けや靴磨きや裁縫と言った事を全て自分で行う。自分の事は自分でやると言う自主自立の精神が徹底されている。その為、上級生が下級生に私用を言いつける様な事はない。また、部屋単位の室単位外出も、同居学生の交流を深める為に、行われている。
かつての横須賀鎮守府のあった所には、米国海軍横須賀基地(YOKOSUKA-NAVY-BASE)があったり、日本海海戦でロシア海軍バルチック艦隊を破った際に、東郷平八郎元帥や名参謀として有名な秋山真之中将の乗艦していた戦艦三笠が展示されている三笠公園も近くにはある。こうした地理的条件も重なってドブ板通り(ミニアメリカ)と呼ばれる米軍将校や下士官・兵隊が多く利用する場所も同じ横須賀にある。
しかし、風紀上の問題もあって防衛大学校学生の立ち入りは禁止されている場所の一つである。勿論、毎日外出・外泊とはならない。午前8:30~午後12:00までと、午後13:00~午後17:20までは課業と言う名の授業があり、授業後は校友会活動に精を出す必要があった。
海倉は、絵画が好きな為、美術部に入った。防衛大学校には体を鍛える様な体育会系の部活動だけではなく、一般教養を高める文化的な部活動も存在している。学生舎に戻って来る頃にはくたくたになっているが、夕食と入浴並びに身の回りの事をしていると、あっという間に自習時間を迎えてしまう。自習時間で何を学習するかは学生に任せられているが、基本的に苦手な科目や優先すべき課題に取り組む事で上手な時間の使い方が出来る様になる。一日の流れはザッとこんな感じで過ぎていくのである。正直遊ぶ余裕は無いと言っても過言ではない。